むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 腎機能と蛋白摂取の関連

    医療系のネットニュースを見ていて、ついにでたか!という論文を発見しました。糖尿病性腎症に蛋白制限は逆効果というものです。これまで腎機能が悪化すると、とにかく蛋白制限をするよう厳しく指導されていました。それが糖尿病となると、炭水化物も食べられず、タンパク質も食べられず、そうかと言って油ものもカロリーが高く食べられない、野菜以外何も食べるものがないと嘆いている人がたくさんいました。これが間違いだったと、やっと証明されたわけです。ただでさえ日本人の食事は蛋白が少ないので、それを制限したら筋肉量が落ちてフレイルとかサルコペニアという状態になってしまいます。蛋白をしっかり食べたほうが腎機能の保護になるとのことなので、真逆の結果となりました。

    医学にはこのように迷信みたいに根拠なく信じられて来たことがたくさん残っています。特に栄養学の世界にはそれが多いように思います。病院で栄養士さんにお金を払って食事指導をしてもらうのなんて、私からすると無駄です。科学的根拠がないことだらけだからです。尿中に蛋白が出れば、タンパク質を制限する。また、最近は尿中に糖を捨てて糖尿病を治療するSGLT2阻害剤が治療の中心となってきたのに、尿糖があれば再検査にしてくる検査会社があります。勉強不足にも程があります。

    もうひとつ、栄養指導で大切なのは家庭環境の把握です。70歳過ぎのご主人にいくら食事指導をしても、食事を作るのが奥さんやお嫁さんなら指導した意味がありません。食材を買い出しに行くのが誰かも重要です。そして、経済状態(裕福かどうか)も重要です。タンパク質(肉や魚)をたくさん食べてもらうにはお金がかかります。また、肉が食べられるだけの歯があるか、胃腸が沢山の肉を受け付けるかもポイントとなります。そういうことをすべて把握した上で個別に適切な栄養指導しないと意味はないと思います。

    辛島公園からサクラマチ方向