むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 認知機能改善の技

    昨日の「たけしの家庭の医学」でもうひとつ面白かった話題について書こうと思います。それは、認知症を改善させる方法です。これもまた薬に頼らない方法です。脳全体を活性化し、血流アップさせることで認知症を改善させるというものです。学会がエビデンス(科学的根拠)Aとして間違いのない根拠があるとしたのが、楽器の演奏でした。番組中の実験では脳の血流を測定しながらキーボードの演奏をすると、一気に脳血流がアップしました。

    しかし、ピアノやギターなど楽器に関しては年とってからいきなり練習するのも大変だし、ちゃんとできないでイライラしたり、長続きしなかったりすることでしょう。そこで、番組で取り組んだのが、歌を歌いながら手拍子する、というものです。これなら誰にでもできます。お年寄りの参加するデイサービスなどでも、歌の時間はあります。そこで、歌いながら自ら手拍子することで、脳が活性化するということです。

    私は、歌も手拍子もしませんが、診察で患者さんとお話ししながらキーボードを叩きます。実は、自分の努力目標として、患者さんが話しているときは目をそらさずきちんと話を聞いて、鉛筆で紙にメモし、診察が終わってからパソコンに入力するようにしています。しかし、処方の確認は患者さんの目の前でします。湿布を入れて欲しいとか、頭痛薬は今回いらないとか、細々したことを忘れないうちに入力しないと、後回しにしては間違いの元だからです。そこで、若干ですが、話しながらキーボードをたたくという認知機能改善の作業を行なっていることになります。

  • 休みなしの連休でした

    日曜は休日当番医でした。まだインフルエンザもさほど多くないのでゆっくりした診療ができました。それでもインフルエンザの患者さんは数名いました。今後増加すると思われます。注意しましょう。それより多かったのは、胃腸炎です。胃腸炎は嘔吐、下痢が特徴的ですが、高熱が出る場合があります。初期段階は熱と倦怠感だけで、1日経ってからお腹の症状が出てくることがあります。風邪症状(喉や鼻の症状)がなく熱が高い場合、胃腸炎の可能性も考えないといけません。

    診療が終わったら大急ぎで帰宅し、その足で済生会病院の連携の会に参加しました。熊本じゅうのドクターが集まったんじゃないかと思うほど大入り満員でした。久しぶりにあういろんな先生たちと挨拶できました。このように、病院主催でやってくれる連携の会は本当に有用です。お互い顔の見える関係性を保つことで、困った時に助け合う気持ちが強くなります。

    結局、連休でしたが全く休むことなく働きづくめでした。月初でもあり、空いた時間は全部レセプトのチェックに当てました。お陰で今月はチェックは素早く終了しました。ここで一つ大切なポイントです。疲れた時に甘いものを取りたくなりますが、それは間違いです。甘いものを食べると頭で幸せホルモンが出て一瞬幸せになりますが、血糖が上がってその後下がるのは体調を悪化させる原因となります。

    県庁前の銀杏並木のライトアップが始まりました

  • 素直に相手の欲求を訪ねることの大切さ

    ある小話を読んだのですが、正確には忘れてしまったので、その雰囲気をオリジナルで再現します。

    あるところで、男の人が道を歩いていたら大きな穴におっこちてしまいました。一人では出られません。そこに医者が通りかかりました。「怪我はないようだね。痛いところに貼るシップをあげましょう」つぎに牧師さんが現れました。「助かると信じて祈りなさい」次にケアマネージャーがやってきました。男の家族構成、家の間取りなど聞いて「今度ケアプランを持ってきます」と去って行きました。つぎに心理カウンセラーが来ました。生い立ちや両親との関係性などいろいろ聞いたあげく、「あなたの人生において今回穴に落ちたことをポジティブに考えるように」と言われました。つぎに弁護士がきました。「あなたにはこの道路の管理者を訴える権利がある。いつでも連絡下さい」と名刺を置いて行きました。そこへ男の子が通りかかりました。「おじさん、どうしたの?」「ああ、動けないんだ。よかったら救急車を読んでもらえないかな」めでたく男は救出されました。

    まあそんな感じです。みんな職業人は自分の仕事の範疇で物事を考え、行動します。誰に相談するかで人生は大きく変わります。多くの人は相手に何かを聞くときも自分の専門分野に落とし込む作業として話を聞きます。専門外のことを話されたら面倒なことになるし、自分で力になれるか自信がないからです。最後に男の子が素直な気持ちで相手の要望を聞き出せたのが救いでした。(ポイント:穴に落ちた、をガンになった、会社をクビになったなどの個々の悩みに置き換えて考えましょう)

  • 難しい症状は漢方が良い

    目の周りの筋肉がピクピクするという訴えは結構あります。おそらく、かかりつけの先生に相談しても、「それはストレスのせいかなー」くらいで流されて、治療はしてもらえないことがほとんどだと思います。そんな症状をどう治療していいか、大抵の医師は習ったこともないと思います。実はこの症状は漢方薬で治せます。気の巡りを改善すればいいのです。

    他によくあるのが喉の違和感です。喉に何か詰まったような気がして気になる、息苦しい、飲み込みづらい、などの訴えです。梅干しの種が引っかかったような感じということで漢方用語で梅核気(ばいかくき)と呼びます。人によっては干し肉(ビーフジャーキー)が引っかかった感じとも言います。この症状も漢方で改善が見込まれるのですが、案外難しくて治療に難渋することがあります。そんな時は、漢方にこだわらず、安定剤なども使います。

    更年期でよく見られるホットフラッシュ(突然カーと暑くなったり汗が出たり)も漢方が効きます。その辺りは産婦人科の先生も漢方を勉強してうまくコントロールされます。しかし、たまにそういう標準治療ではうまくいかない場合があり、そういう患者さんが当院のような漢方専門医を受診されます。さすがに治療困難なことが多いのですが、いろんな工夫で症状は軽くできる場合が多いようです。日々新しい治療法の勉強と研究です。

  • 漢方整形外科

    整形外科はたいてい手術したりリハビリしたり、関節にヒアルロン酸の注射をしたりという治療です。そういう中、福岡の「みやにし整形外科」では積極的に漢方薬を取り入れられているそうで、熊本に講演に来ていただきました。タイトルは「痛み止めに頼らない漢方整形外科」です。整形の分野は裾野が広く、整体、鍼灸、カイロプラクティスその他色々な病院以外の診療があります。それだけ患者さんが多いということと、標準的な整形外科的アプローチだけでは不十分だということだと思います。

    当院は内科クリニックですが、整形外科に行って治らなかった痛みの患者さんは多数来られます。そういう場合、私なりに考えて漢方を処方したり、鍼治療をしたり、電気(低周波治療器)なども併用します。特に針は整形疾患に有効だと思います。

    今日の講演会では、さすがに整形外科を専門とされているだけあって、症例も豊富で使われている漢方処方も洗練されていました。私たち漢方のプロから見てもきれいな処方というのはいい処方です。逆に、それはないでしょう、というような処方をする先生も世の中にはいます。しかし、患者さんにとってはその見分けは難しいと思います。漢方は案外即効性ですから、1ヶ月飲んで効果がないようならその処方は諦めて他を考えたほうがいいと思います。そういうフレキシブルな治療をしてくれるかどうかで見分けがつくのではないかと思います。

    住吉神社;博多