むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 保険診療が全てではない

    日本は国民皆保険ですから保険証を持って病院に行けば1割から3割の負担で医療を受けることができます。こんなに恵まれた国は世界中にも日本くらいでしょう。ありがたいと感謝しないといけません。しかし、国の財政難でこの医療制度が今後もずっと続く保証はありません。以前は高齢者は負担ゼロでした。それが1割になり、一定の収入のある人は2割になりだんだん上がっています。

    そんななか、私たちクリニックや病院ではほとんど保険診療を行っています。国が保険適応と認めた診療しかできません。一部、美容整形などは自由診療ですから保険に縛られることなく自由に診療できます。そのかわり値段設定も自由ですから、結構な値段になります。一方、私たち普通のクリニックでも、保険に認められないものがたくさんあります。健康診断(人間ドック)や予防接種は自費となります。鍼治療なども保険適応外です。さらに、がん治療などに先端医療をやっている場合、保険で認められないものが多数あります。効果がいかに優れていても自費となります。今日は統合医療学会に参加し、そのような最先端の医療の情報を学びました。この学会は保険など関係なく、患者さんの役に立つならなんでもOKの学会です。

    今日学んだのは陽子線治療。放射線より効果が良いようです。樹木希林さんも実はこの治療を受けていたそうです。素晴らしい効果があるようですが、日本中どこでも受けられる治療ではありません。もう一つは水素療法。飲む水素水はブームですが、水素の吸入で体の酸化が抑えられると同時に免疫能がアップするそうです。今年ノーベル賞をとったオプジーボ(免疫チェックポイント阻害剤)も水素吸入を併用すると効果が倍増するそうです。

    鹿児島中央駅 その2

  • 後輩が内科クリニックを新規開業します

    今日届いた「リビング熊本」を見ていたら私の後輩の田中先生のクリニック(田中内科クリニック)オープンの案内が書いてありました。長嶺の小中学校の近くにいくつかクリニックがありますが、そこです。今度の週末に内覧会があるそうなので、お近くの方は覗きに行ってはいかがでしょうか?私も日曜にお邪魔しようと思っています。開業の際にはたくさん患者さんが来てくれるだろうかと心配します。病院も採算が合わないと話になりません。内覧会にたくさん来ていただけるとそれだけでも励みになります。

    田中先生もですが私も村上という名前は非常に多いのでそれをクリニックの名前にすると似たクリニックから文句が出ないか心配でした。私の場合は、クリニックオープンの半年くらい前から保健所と市の医師会に問い合わせてこのネーミング(むらかみ内科クリニック)で問題ないか確認を取りました。たまに保健所ではOkがでても、オープンした途端医師会を通して似た名前のクリニックからクレームが来たエピソードを聞いたことがあります。また、開業当初はグーグルで検索しても似た名前のクリニックしか上がってきませんでした。今はこのブログの効果もあり一番上に上がってきます。

    当院は現在医療法人設立に向けて準備中です。ご存知のかたも多いと思いますが、医療法人のネーミングは〇〇会というのが多く、たいてい自分の名前や土地の名前が付きます。当院なら村上会とか東稜会とか榎会のようなネーミングです。いずれもすでに登録されているので使えません。そこで、私は経営理念を一言カタカナ(英語)で表したネーミングにしました。年明けに発表します。

  • 時間は作るもの

    時間がないと嘆く人は多いです。来院される患者さんも時間がほしいという訴えの方が結構おられます。残念ながら、私は時間を処方することはできませんので、なんとか時間を作る工夫をしないといけません。多いのは残業などでよる10時過ぎに帰宅し、晩御飯、入浴で就寝できるのは1時か2時になるというもの。そういう人に限って朝も早起きで5時か6時に起きないと仕事に間に合わないので、実質睡眠には4時間ほどしか確保できないというものです。どうしようもないですね。

    対策として、やはり残業時間の短縮です。自分で何でも抱え込まないこと。ひとに頼めることは頼むこと。仕事効率を上げること。部下や同僚を信じて任せるだけの度胸も必要です。そして、自分ひとりしかわからない状況にしないこと。自分が万一休んでも代わりに仕事をやってくれるスペアの同僚がいることが大切です。これは会社がそのように取り組むことがリスクヘッジになるのでそうすべきです。

    日本はマルチタスク(一人で何役もこなす人)のほうがスペシャリスト(一つのことを極めた人)より重宝がられます。そのせいで少人数でみんな無理しながら頑張りすぎる社会となっています。同僚と仲良くしてお互いの仕事をシェアし合うのがいいと思います。個人プレーは責任も疲労も一人の肩にのしかかってしまいます。

  • 本音を聞き出すワザ

    患者さんの本音を聞き出すのは難しいものです。昨日NHKの番組を見ていたら、看護学生がロールプレイで患者役を演じながら、看護師役の人はその人の本音を聞き出す実習風景があっていました。その設定は、手術を明日に控えた患者さんが眠れないと訴えている、というものです。手術の不安で不眠になるというのは誰もが思いつくことですが、実はその人は家に残してきた子供に弁当を作ってあげられないことなどが心配で眠れないという設定でしたが、誰もそこまで聞き出せた人はいませんでした。

    私の外来でもこのようなことは毎日あります。眠れないとかお腹が痛いとか、表面上はシンプルな訴えなのですが、その背景は人それぞれです。聞いてみないとわかりません。眠れない人には睡眠薬みたいな簡単な話ではありません。背景に仕事のこと、家族のこと、学校のこといろんな悩みを抱えています。その解決の糸口が見つかれば薬がなくても眠れるかもしれません。

    私は、あまり回りくどく探りを入れることはしません。診察時に何度も患者さんに聞きます。「何か思い当たるきっかけはありませんか」「眠れなくなるような出来事や心配事がありませんでしたか?」「ほかに何か気になることはありませんか」という感じです。ストレートに聞くに限ります。しかも、最初に聞いたときは答えない人がいるので、答えるチャンスを3回くらい作るように心がけています。

    県立図書館の横の自生する芭蕉

  • SGLT2阻害剤の勉強

    月曜は患者さんが多くゆっくりする暇がありません。月曜と土曜は訪問診療をやっていませんので、その分時間的には余裕があるのですが、月曜と土曜の慌ただしさは格別です。そんな中、今日は雨が降っていたので渋滞を避けて裏道を帰ったら結構道が空いていて帰宅に10分ほどしかかかりませんでした。そこで、急きょ近くのテルサで予定されていた勉強会に参加しました。

    テーマは糖尿病性腎症です。透析になってしまう患者さんの背景で一番多いのは糖尿病ですから、糖尿病の人は腎機能の悪化に要注意です。最近新しく出てきたSGLT2阻害剤という糖尿病治療薬は血糖だけでなく心不全や腎不全にも有効で、ひょうたんから駒という感じで次々と素晴らしいデータが発表されます。最初に出てきたときはこの薬どう使うんだろうと思っていましたが、今や使わないこと自体が罪になるレベルの優れた薬剤です。

    今日の勉強会でもあたらしい作用について学びました。日頃忙しすぎて勉強する暇がないのですが、こういった勉強会で耳学問ですが少しずつ賢くなり臨床に役立てば、勉強した甲斐があるというものです。医学の世界は日進月歩ですから一生勉強です。

    熊本市総合体育館(水前寺)