むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 心筋炎について

    コロナワクチンで心筋炎が話題ですが、 実際にはインフルエンザなどの風邪を引いたときにたまたま心エコーをして心筋炎が見つかることがあります。コロナウイルスだけでなくインフルエンザウイルス、そしてコクサッキーウイルスなどで心筋炎を起こすことが知られています。最初はただの風邪症状ですが、息切れ、動悸、むくみ、不整脈などがあれば心筋炎を疑います。軽症だと本人も気づかないで自然と治るくらいのものもあり、ひどくなると集中治療室に入院するレベルまで様々です。コロナワクチンはウイルスそのものではありませんが、mRNAを入れた結果、ウイルス蛋白が心筋で発現すればそこで炎症を起こすものと思われます。当院でも、ワクチン接種後に不整脈が悪化したという人が4−5人います。いずれも軽症で、自然経過のうちに落ち着きました。ただ、もしワクチン後に気になる症状があれば、念の為心電図や心エコーを確認しておいたほうがいいのではないかと思います。

    今週は月曜日に漢方のセミナーで講演をしましたが、明日は座長を頼まれています。座長は単なる司会進行ですが、講演が終わったところで適切な質疑をしたり、まとめの発言をしたりする必要があります。そのために、誰より発表の内容を理解していないといけないし、わかりにくかったところはうまく質問して解説を加えてもらわないといけません。

    来月は東洋医学会九州支部総会という学会があるのですが、会場は沖縄です。本来なら現地に行かないと参加できませんが、私みたいに土曜の昼過ぎまで診療をしているとまず行くことはできません。ところが、今回はWEB学会となったので、旅費を使わず、しかも診療のあとからゆっくり学会に参加できます。この学会でも一つのセッションの座長を頼まれているのですが、自宅から座長の仕事をする予定です。ZOOMは素晴らしい技術革新です。

  • 鉄製のスキレットのすすめ

    月曜日は診療が終わってから漢方の講演をしました。WEB講演会なので診察室のパソコンに向かって話をしました。聴衆の反応が見えないので、全く緊張することはないのですが、どのくらい自分の声が届いているのかわからないのが話しにくいです。それでも、与えられた時間ぴったりに終えることができて、いい感じに話ができました。講演のテーマは「腹部膨満の漢方治療」です。よくお腹が張って仕方ないと言う訴えで来院されます。それをいかに漢方で治療しているか、という話をしました。

    話は変わりますが、鉄不足の女性がたくさんいます。検診で貧血を指摘されればわかるのですが、貧血でない鉄欠乏の方もたくさんおられます。血清鉄、フェリチンという検査項目で診断できます。このような鉄欠乏は、体内でのミトコンドリアの働きが落ちて倦怠感が出たり、スタミナがなかったりします。また、精神的にも不安定となり、不安や緊張、うつなどの不調をきたします。鉄をしっかり取れば改善するのですが、毎日レバーや大量のほうれん草など食べられませんから、サプリに頼るしかありません。病院で処方する鉄剤もいいのですが、結構な割合で、副作用(胃の不調)で飲めないと言われます。そういうときはサプリのヘム鉄を勧めています。ビタミンCを一緒に取ることも大切です。

    また、日常、食事で鉄をしっかり取るにはフライパンを鉄製にすることを勧めています。簡単なのはスキレットというアウトドアで使う小さな鉄のフライパンがあります。ホームセンターで500円くらいです。私は蓋付きのものを重宝しています。先日、ホームセンターに行ったら、鉄製でない物が売ってありました。見かけはスキレットなのですが、アルミ製でテフロン加工がしてある、これはだめです。軽いのでニセモノはすぐわかります。本物(鉄の鋳物)は重いですが、火力が抜群です。アルミより熱くなるので料理も美味しくなり、鉄分が料理に溶け込むのでいいことずくめです。きちんと手入れすれば焦げ付きはさほど問題ありません。

    草なしくん ビフォーアフターです スッキリしました

  • コレステロールの管理

    検診を受けるとLDLコレステロールが120以上で再検査、あるいは要治療と言われます。実際はLDLの正常範囲は139までで140以上が高コレステロール血症なのですが、なぜか検診では20引いた値をボーダーラインに設定してあります。早めに注意をうながすためと思いますが、こんなふうに正常範囲を勝手にいじられると患者さんはよくわからずにすぐにでも薬を飲まないといけないのかと思ったりされます。そして、コレステロールの薬なんか一旦飲み始めたらずっと飲まないといけないから、病院に行きたくないと言ったりされるのをよく聞きます。

    実際には高コレステロール血症はその数値だけでやみくもに治療をするかどうかを決めるわけではありません。リスクファクター(危険因子)の組み合わせにより将来心血管障害(狭心症や心筋梗塞など)を起こす確率を考えて治療の必要性を考えます。最も大切なのは、一度でも心筋梗塞や脳梗塞などを起こしているなら、厳重にコレステロールを管理しないといけないということです。これは再発予防ですから2次予防と呼ばれます。一方、まだ心筋梗塞など起こしていないけどたまたま採血したらコレステロールが高かったという場合、今後起こるかもしれない心血管障害を予防する意味で一次予防と呼ばれます。

    1次予防に関しては、単なるLDLの値で決めず、高血圧や糖尿病の有無、喫煙の有無、HDL(善玉)コレステロールの値、男女差などの因子を加味して治療方針を決めます。血圧や糖尿があればそれだけ厳格なコントロールが求められます。実はそこに男女差という大きなファクターがあり、閉経前の女性は動脈硬化の進展が遅いのでLDLの目標値は少し高めで設定されています。しかし、閉経後は男女差が小さくなります。繰り返しますが、コレステロールの管理は単にその数値だけでは決まりません。専門的なエビデンス(科学的事実)に基づいた治療方針があるということをご紹介しました。

    稲刈りも終わり

  • 血管を若返らせるには

    冷えてくると血圧が上がります。血管が体温を奪われないよう縮むからです。高血圧の患者さんで、夏と冬で処方を変えたりして調整します。ちょうど今頃がその境目で血圧が不安定になる時期です。朝は高く、午後は低いと言った大きい変化で一喜一憂される場合もあります。血圧が大きく変化するのは、自律神経の緊張が関係しています。家ではそれほど高くないのに病院では高いことはよくあります。これは、交感神経が緊張するからです。また、血管年齢を測ってみるとびっくりするほど高い時があります。本当は30歳の人が血管年齢は80歳ということもあります。血管年齢は血管の硬さを表しています。血管がしなやかだと心臓からの圧を血管が吸収してあまり上がらないのですが、血管が硬いと心臓からの拍出する圧力がそのまま血圧として伝わります。パスカルの原理です。そこで、心臓が強く打つと血圧はボンと上がり、心臓が穏やかに打つと血圧はストンと下がります。

    こういった血圧の変動が大きいのは体にとって良くありません。末梢血流が不安定になるからです。一旦固くなった血管を柔らかい状態に戻すのは簡単ではありません。日なたで劣化して固くなったゴムホースを思い浮かべてもらったらいいと思います。一度固くなったらもとには戻りません。とはいえ、人体の血管はゴムホースではないので、頑張れば多少の若返りは期待できます。そのポイントは運動することです。以前見た「ためしてガッテン」では、ぐーぱーする運動だけで良いと言っていました。これは、本当に効果的で、真面目に暇を見てぐーぱーしていると血管年齢が改善します。

    ぐーぱーする運動がなぜ血管にいいかというと、血管から一酸化窒素(NO)という血管拡張物質を放出させる刺激になるからです。このNOが血管の若返りに必須なのですが、もう一つ考えないといけないのはNOの材料です。これはアルギニンとシトルリンというアミノ酸がNOの材料となることがわかっています。いずれも肉をしっかり食べれば取れるアミノ酸なのですが、肉を取りすぎてコレステロールが上がってしまえば血管には逆効果です。そこで、私はアルギニン・シトルリンというサプリを取り寄せて飲んでいます。

    イオンモールクレアのフードコート「ビビン亭」にてチゲ鍋。唐辛子のカプサイシンも血管を拡張します。唐辛子はビタミンCが豊富でアンチエイジングになると思います。

  • 徒歩通勤再開

    私は、基本天気がいいときは歩いて通勤します。片道30分です。往復するとだいたい1万歩になります。ただ、毎年梅雨入りから9月の涼しくなるまでの約4ヶ月は車通勤にしています。暑すぎて職場についたとき汗だくになるからです。ところが今年は10月になっても真夏のような暑さが続き、例年より1ヶ月車通勤が伸びました。そして、今日からやっと徒歩通勤に戻りました。毎年、数カ月ぶりに徒歩通勤に戻ったときは、朝の30分歩行が一仕事終わったような軽い疲労感があったのですが、この夏はスポーツジムで体を鍛えていたおかげで、4ヶ月近いブランク後の徒歩通勤もらくらくでした。やっぱり、週末だけでもジムで運動するのは効果があるんだと実感しました。

    最近、アサヒビールが微アルコール(0.5%)のBEERYという商品を出しています。出てすぐ飲んでみたのですが、今まであった0.0%のフリーとどこが違うかわかりませんでした。今日、コンビニを探索していたら、BEERY第二弾誕生<香るクラフト>と言うのが出ていました。早速買って味見しましたが、抜群に美味しい!私好みの味でした。私は真夏でもほとんどビールを飲まないのですが、これならケース買いしてもいいかなと思いました。

    帰宅して、今日もWEB講演会に参加しました。順天堂の河盛先生の講演でインスリン誕生100年という記念すべき講演会でした。先生のお話はいつもにもまして熱が入り、予定時間を20分も超過する独壇場でしたが、素晴らしい話を聞くことができました。この数年で糖尿病治療は飛躍的に進歩しています。以前はとにかくがむしゃらに血糖を下げていましたが、これからの時代は、いろいろある糖尿病治療薬をいかに選択していかに治療するかという主治医の哲学、基本的方針がしっかりしていないと患者さんの予後は大きく変わってくる時代となりました。医者が怠けて勉強しないのは患者さんの不利益に繋がります。素人の患者さんにはわからないと思いますが、その道のプロが、患者さんのもらっている処方を見ると、その処方をした先生がいかに勉強しているかひと目で分かります。