むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 労働市場は売り手市場

    また、月初めでレセプトチェックが忙しい時期です。先月(1月)はインフルエンザの患者さんが多かったため、レセプト枚数が多く、チェックにも時間がかかります。今週末はそれにかかりっきりとなります。さて、来週2月4日からは、熊本電子ビジネス専門学校から医療事務の勉強をしている学生さんが実習に来ます。当院で3週間に渡って医療の現場を体験してもらうことになっています。受付や診察室で見かけたらよろしくおねがいします。若い学生さんですから、将来の金の卵です。大切に育てたいと思います。

    当院の通院患者さんからよく聞くのですが、どこの職場も人手不足が相当深刻なようです。これからの日本は更に人口が減って来ます。高齢者は増えて、若者が減りますから大変です。若い人を雇いたくても無理ですから、シルバー人材に期待するしかありません。それにしても、すでに若い人たちには相当な負担がかかっているようで、夜勤などをしてくれる人手不足は深刻です。シフトに入ってくれる人たちはかなり無理しているので、体を壊さないか心配です。先だっての国会では外国人労働者の受け入れを議論していましたが、タイムリミットはすぐです。

    特に介護現場などでは人がいないため、建物を作っても可動できないようなところがたくさんあります。よほど給料を上げれば人材も揃うのでしょうが、人件費にかけられる額は限度がありますから、厳しいです。私が患者さんにお話できるのは、いまは働き口は探せば結構あるということです。今の現場が嫌なら転職も割と簡単な時代です。売り手市場ですから、なんとかなります。そのあたりに希望を持って頑張っていきましょう。

    江津湖に沈む夕日

  • 骨を丈夫にするには

    以前は骨を強くする(骨粗鬆症の治療)薬はビタミンDしかありませんでした。しかし、最新の骨粗鬆症ガイドラインではビタミンDはファーストラインから外れてしまっています。あまり効かないという認識です。ビタミンDが不足すると「くる病」という乳幼児の骨の病気になります。そこで、ビタミンDを取れば骨が強くなるというのはある意味正しいです。しかし、高齢者の骨粗鬆症がビタミンDで治るとは限らないのです。ビタミンDがあると消化管からカルシウムの吸収が高まります。そこで骨の材料は体内に取り込まれ、弱った骨を修復する条件は一つ整います。しかし、それだけでは十分ではありません。

    体内に取り込まれたカルシウムは血液中を流れますが、それが骨に行くとは限らないのです。腎臓から尿中へ捨てられれば、尿管結石の原因となります。そうなれば災難です。また、血管にカルシウムが沈着すれば、血管の石灰化と言い、動脈硬化となります。心臓の冠動脈などはCTで撮影すると高頻度に石灰化を認めます。狭心症のリスクです。

    では、ビタミンDでカルシウムを体内に取り込んだら、どうすればそれを骨にできるのでしょうか?実は、ビタミンKが必要なのです。ビタミンKは納豆にたくさん含まれるので、納豆を食べていればあまり不足することはありません。また、以前も書きましたが、骨はコラーゲンが鉄筋、カルシウムがコンクリートに相当します。コラーゲンを増やすには肉や魚、豚骨(スープ)、ビタミンCが必要です。それにプラスして、カルシウム(小魚)、ビタミンD(日光浴、干ししいたけなど)、ビタミンK(納豆や青野菜)が必要となります。さらに、骨を丈夫にしなさいというシグナルは骨にかかる重力です。つまり運動をしないと骨は出来ません。「牛乳を飲めば骨が丈夫になる」とか、そんな単純な話ではないことがおわかりいただけるかと思います。

    統計を調べたら、沖縄は骨粗鬆症が少ないそうです(全国2位)。沖縄は日光(ビタミンD)、カルシウム(水がサンゴのカルシウムを多量に含む)、ビタミンC(ゴーヤ)、コラーゲン(豚肉)など全体的に足りているのでしょう。

  • 日光浴の効果とビタミンD

    むかし、結核の治療法がなかった時代、結核療養所はサナトリウムと呼ばれ、郊外の小高い丘の上などにありました。治療はもっぱらきれいな空気と日光でした。それでも、療養の甲斐があって元気になる人もいたようです。抗結核剤(特殊な抗生物質の組み合わせ)を使わずに治るというのは不思議ですが、日光浴が薬になったであろうことは想像できます。日光浴をすると、体の中でビタミンDが合成されます。ビタミンDはビタミンという分類ですが、ステロイドやコレステロールに似た骨格(構造)を持ち、どちらかといえばホルモンです。

    ビタミンDは骨を強くするとか、カルシウムの吸収を助けるというイメージですが、じつはそれだけではありません。最近注目されているのは、免疫能をあげて風邪の予防になるということです。さらに、糖尿病、動脈硬化、花粉症、うつ病などにも効果的だと言われています。ビタミンDは日光(紫外線)の刺激で体内で合成されるため、夏は比較的十分なのですが、秋から冬にかけて足りなくなってきます。風邪やうつが冬に悪化するのもその影響がありそうです。最近読んだ本では、冬になるとビタミンDはが減ってくるので、それがシグナルとなって体は冬眠体制に入るそうです。そうすると、代謝が落ちて節約モードとなり、脂肪が増えて肥満に関連するようです。

    そこで、冬にもちゃんとビタミンDはをサプリで摂ったり十分な日光浴(ひなたぼっこ)をすることで、肥満の予防になるようです。もちろん風邪の予防にもなるし、いいことずくめです。日焼けを気にして長袖、帽子、サングラス、日焼け止めという完全防備をすると夏でもビタミンDは不足が起こりますから、日焼け対策を程々にするかサプリを飲むことを検討したほうがいいみたいです。私は、うつの患者さんには毎回のように明るい日中に外を散歩してくださいと言っています。これは、日光が脳内のセロトニンをふやすのに大事だと言われているからですが、ビタミンDも重要な関与をしているようです。

     

     

  • 鶏肉とサルモネラ(食中毒)

    鶏肉や卵にはサルモネラという食中毒を起こす菌がいます。生焼けの鶏肉は要注意です。先日、スーパーで買った鶏肉をフライパンで焼いて食べようとしたら、味と香りがいまいちだったので、食べるのを止めました。そのときの鶏肉パックの残りをさっと焼いてうちの犬(ゴンちゃん)にやってみました。ちょっと生焼けだったのですが、ゴンは散歩中にわけのわからないものを拾い食いしてもどうもない強靭な胃袋の持ち主なので、このくらい傷んだ鶏肉のソテーなどごちそうだろうと思ったのです。

    ところが翌日仕事から帰ってみたら大変です。ゴンが激しい嘔吐下痢でした。ゴンは留守中サークルの中にいるのですが、サークルの中が吐物と下痢ですごいことになっていました。食中毒です。慌てて、サークル内をアルコール消毒し、ゴンには殺菌効果の強い正露丸とビオフェルミンと整腸作用のあるエビオスをあげました。幸い翌日には元気になりました。

    私が子供の頃は、鶏肉は肉屋には売ってありませんでした。(覚えていますか?)肉屋にあるのは牛肉と豚肉でした。鶏肉は鳥専門の店がありました。当時、二本足の動物(トリ)と四つ足(牛、豚)は別の扱いと言われていましたが、おそらくトリはサルモネラが多くて他の肉と同じ扱いにすると大変だからだと思います。今はスーパーなどで鶏肉とその他の肉は同じ売場で扱われているので法律がかわったのでしょうか?生卵の殻にもサルモネラがついています。日本人は小さい頃から生卵を食べるので、サルモネラに比較的強いのですが、外国では生卵は食べません。最近日本の卵は洗浄消毒してから店頭に並ぶので、食中毒が減ったのかもしれません。とにかく、鶏肉の生焼けは要注意です。

     

  • 健康にいいミネラルと鍋について

    パソコンで複数の仕事を同時にすることをマルチタスクといいます。検索しながら論文を書くとか、YouTubeをみながらメールを書くとか、そういう「ながら仕事」のことです。私はできるだけ「ながら仕事」をするように心がけています。えー反対じゃないのという方もおられるかもしれませんが、一つだけに集中せず、いくつも同時に仕事をこなすのは若い頃からの習慣です。この前両親と話していたら、私の父もそうだといいます。逆に母はひとつずつきちんとこなすタイプだそうです。iPad2つとパソコン2台を駆使して仕事をします。AIスピーカーのアマゾンエコーも活躍します。最近気づいたのですが、アマゾンで買ったkindle本(電子ブック)はアマゾンエコーのAI(人工知能)に朗読させることができます。これで更にながら仕事がパワーアップします。

    今日は、ミネラルの話題を書いておこうと思います。ミネラルというのは金属です。体に必要なミネラルの代表はナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛、銅、などです。一方、からだに悪いのは鉛、水銀、アルミ、カドミウム、ヒ素などです。

    身近な話題として、鍋やフライパンを考えましょう。よくあるのはアルミの鍋。軽くて熱伝導もいいので、ご家庭にいくつかあると思います。酸に弱いので酢を加えた料理は要注意です。アルミが溶けて体内に入ると神経毒となります。認知症のリスクです。アルミホイルやアルミ缶の飲料水やビールなども避けるべきです。テフロン加工したフライパンもテフロンの下はアルミで出来ています。テフロンそのものがフッ素ですから加熱しすぎると猛毒を発生します。テフロンが剥げてくるとその下がアルミですから、どっちみち体に悪いのは間違いありません。うちはテフロン鍋は全部処分しました。銅は必要なミネラルと書きましたが、過剰摂取は禁物です。銅の鍋はプロっぽくてカッコいいですが避けたほうがいいです。一方、使ったほうがいいのが鉄鍋です。最近は技術が進んで焦げ付かない鉄のフライパンや中華鍋があります。貧血なども治ります。また、よくあるステンレスやホウロウ、土鍋などは健康的です。このような生活習慣からくる健康被害は何十年もたったときにはじめてわかりますが、後悔しても間にあいません。ぜひご参考ください。

    上江津湖