むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 終わりは始まり

    受験シーズンです。先日は大学入試(共通テスト)でしたが、今度は高校の推薦などの試験が始まるようです。皆さん頑張ってください。受験に合格すると、やっと終わった!と思うと思います。しかし、実際はそこは終わりではなく新しい生活の始まりなのです。同じことは結婚にも言えると思います。恋愛の末ついに結婚、というとそこがゴールみたいですが、実際は始まりなのです。人生はこれの繰り返しです。ドラマでは結婚式が最終回のことが多いですが、最近私が見た韓国ドラマは立て続けに3本ともドラマの1回目が結婚式でした。そこがスタートだからです。

    会社を作る(起業する)ことを目標として頑張った人が、ついに会社設立にこぎつけた際に、目標達成感でそこが人生ピークみたいになってしまう人がいます。経費で外車を買って夢に見たような生活を現実にした途端、経営がうまく行かなくなります。起業をゴールにしたからです。起業はゴールではなく始まりだと言うことを忘れるとその先うまく行きようがありません。

    会社を設立する際には企業理念の確立が最も大切です。どういう思いで会社を作ったか、という社長の思いを端的な文章に表し、社員みんなでその思いを共有するのです。当院の場合、「患者さんとその家族の健康と幸せのために全力を尽くす」と掲げています。通常、病院の理念として患者さんの健康を願うのは普通ですが、当院は患者さんだけでなくそのご家族の幸せも考えます。病気は本人だけの問題ではなくご家族にも精神的・経済的負担を強いられますので家族みんなの幸せを考えるという意味です。

    ガラス細工

  • 医学論文のトリックを見抜く

    早い人はすでに花粉症の対策を始めています。よく、早めに薬を飲むと軽くて済むといいますが、真偽の程はわかりません。なぜなら、たいていそんなことを言うのは製薬会社だからです。製薬会社は薬がたくさん売れればいいだけなので、早い時期からたくさん使いましょうと言うのは当たり前です。以前、糖尿病治療薬を糖尿病になる前から始めたほうが良いというデータを見たことがあります。いわゆる境界型の人に薬を使ったほうがいいというデータですが、これも製薬メーカーが持ってくるデータなので、真偽の程はわかりません。論文というのはいいというのがあれば、良くないという論文もあります。それぞれ嘘を言っているわけではなく、調べた範囲ではそうだったというしかありません。その研究の対象となった患者グループの特性が偏っていると結果も偏るわけです。したがって、論文を読む際には結果や結論を読むことは大事なのですが、患者背景をしっかり読むことが大切なのです。

    研究をする場合、まず「仮説」をたてます。そして、その仮説を「検証」して、「結論」を導きます。例えば「Aという血圧の薬が心不全の治療に有用だ」と仮説を立てます。それを検証するために患者さんを2群に分けてAという血圧の薬を使った群とBを使った群で血圧の変化と同時に心不全の改善具合を検証します。

    そこで問題なのはどんな心不全患者さんを研究対象にするか。例えば、心筋梗塞後の重症心不全の症例、あるいは高血圧で心肥大をきたした軽い心不全の症例、あるいは慢性心房細動のある不整脈由来の心不全。どういった患者さんを対象とするかで結果は違ってきます。仮説が正しい(治療効果に差が出る)ようにするためには慎重に対象を選ばなくてはいけません。そのようにして、考え抜いた結果、うまく差が出たら、製薬会社はそれがまるでどんな心不全にでも効くかのようにプロモーションします。私たちはそういった嘘に騙されないようにしないといけません。患者さんはプロではないので、我々がプロとして論文の目利きをしてあげないといけないと思っています。

    南阿蘇

  • システムエンジニアは花形職業か?

    毎日NetflixやAmazonプライム・ビデオで海外ドラマを見るのが忙しい毎日ですが、先日からお風呂でYouTubeの講話を聞くようにしています。ちょっとの時間も惜しみません。最近気に入っているのは勝間和代のYouTubeチャンネルです。5分ほどの動画がたくさんアップされているのですが、気づきや役に立つことがたくさんあります。彼女は頭もいいですが、割り切った合理主義が聞いていて面白いです。

    この週末、クリニックのパソコンのメンテナンスをしました。電子カルテの端末が8台あるのですが、古いものと新しいものがあり、使われているOSがそれぞれ少しずつ違っていました。全部のパソコンがサーバーを介してネットワークされているのですが、OSがバラバラだと不具合が起こりやすいそうです。最近、そういった不具合がちらほら出始めたので、おもいきって全部のパソコンのOSを統一する作業をしました。新しいOSをダウンロードするのに45分、それをインストールするのに45分で合計1台あたり90分程かかりました。データをダウンロードする際、当院の光回線でも3台同時にダウンロードしたら極端に回線が遅くなったので、2台ずつしか作業が進みません。それでもなんとか終了しました。

    こういう作業は大きな施設ではSE(システムエンジニア)さんがやってくれるものです。SEの需要は非常に逼迫しており全然足りていません。実は中国で1年間に輩出されるSEの人数は全米のSE数に匹敵するそうです。もはや中国にはどこもかないません。SEは外国では引く手あまたの花形職業ですが、日本ではブラック扱いされていて、きつい、残業が多い、という職業として倦厭されています。おかげで日本だけ世界からどんどん取り残されて行きます。

    あそ望の郷 久木野  暖かくいい天気でした

  • 受験生の健康管理は大切

    世の中は大学入試ですね。私たちの時代は共通一次と呼んでいましたが、いつからかセンター試験と呼び名が変わり、今年は昔に戻って共通テストと言うらしいです。なぜ呼び方を変えるのでしょうね。受験の季節はこれから3ヶ月ほど続きますが、受験生を持つ家族はいろいろ気を使います。風邪を引かないようにとか、縁起が悪いこと、たとえば皿を割ったりおとしたりしないように気をつけるとか、です。そして、受験生本人の健康管理が何より大切です。ストレスがつよいと免疫が落ちて風邪をひきやすかったりします。そろそろ花粉症の季節となりますから、アレルギーの薬で眠くなるのは受験生にとっては一大事です。

    そんなときにおすすめなのが漢方です。漢方は免疫を高めて風邪の予防に役立つものもあるし、眠くならない鼻炎の薬もあります。風邪薬もうかつに飲むと眠くなるので注意しましょう。実際、受験の最中に寝てしまったという話を聞いたことがあります。葛根湯や小青竜湯なら眠気はきません。むしろ頭が冴える作用があります。

    受験に限りませんが、ストレスでお腹が痛くなったり下痢したりするのもよく相談を受けます。これは過敏性腸といいます。通常の乳酸菌などの整腸剤では治りません。専用の薬があります。もしお困りの際は本番直前でなく余裕を持って早めにご相談ください。

  • あきらめない嚥下障害

    私が以前勤めていた桜十字病院では「口から食べるプロジェクト」という取り組みをやっていました。今日は診療が終わってから、保険医協会主催のウェビナー(WEB講演会)で桜十字の安田先生、建山看護師さんなどによる講演を聞きました。桜十字での嚥下障害に対する取り組みの紹介です。歳をとって喉の筋力が衰えたり、脳卒中の後遺症で嚥下(飲み込み)が悪くなる例があります。食べ物だけでなく水を飲んでもむせるので、しょっちゅう肺炎を繰り返す困った病態です。

    肺炎を起こすと命取りになることから、以前は”胃ろう”といってお腹から胃に直接チューブを入れて経腸栄養をする方法を取ることが多かったのですが、患者さん本人が望まないのに強制的に胃の中に栄養を入れることで寝たきりになっても体だけは栄養状態もよく、いつまでも生かされる、という意味で、逆に問題視され、安易に胃ろうを作らないようにという流れになってきました。そういう中で、桜十字病院では頑張って口から食べていただこうという取り組みをやっているわけです。今日の講演ではその6年間の取組の成果について発表されました。

    講演を聞いてわかったのは、やはり嚥下が悪くなった人の嚥下リハビリは大変だということ。嚥下を専門とする専門看護師やST(口の麻痺を専門とするリハビリスタッフ)、歯科衛生士などが多職種連携をとって一日も休まず取り組まないといけないといっていました。やはり素人が家庭でなんとか食べさせようと口に食べ物を突っ込んだら命取りになります。今日の講演では言っていませんでしたが、嚥下を改善する鍼治療があります。また、むせないように食事にとろみを付けるのは常識ですが、味を香辛料(唐辛子や胡椒など)でスパイシーにすると喉の神経が刺激されて嚥下が改善するというデータがあります。知っただけでは意味がありません。そうと知ったら即行動。動いた人にだけ幸運がやってきますよ。