むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 糖質制限とケトン体

    糖質を制限する炭水化物ダイエットは、ケトン体と関連があります。ケトン体というのは、体の中に糖分が不足した際に脂肪がエネルギー源として利用されると出てくる物質です。例えば、感染性胃腸炎で食べられなくなったり、妊娠初期につわりがひどい時など、糖質が少なくなった結果、体に蓄積された脂肪が燃焼しますからケトン体が発生します。これまで、私たちの常識ではケトン体が出たら栄養状態に問題があるので急いで点滴などで水分と糖質を補うように習ってきました。

    一方、糖質制限のダイエットでは極力炭水化物を制限しますから、自然と体の脂肪が燃焼してケトンが出てきます。ただ、糖質制限ダイエットをしてケトンが出ても、健康面には問題ないようです。これは、最近いくつもの書物を読んで調べたのですが、間違い無いようです。これまでの医学常識を覆す、新常識です。

    炭水化物をアミラーゼで分解して糖にしたものをエネルギーとして燃焼させても少ししかATPは産生されませんが、食べた糖を一旦中性脂肪の形で体に蓄積して、必要な時にケトン体としてクエン酸サイクルで燃焼すれば、大量のATPが得られます。したがって体に有利なのは糖をエネルギーとして利用するのではなく脂肪を利用する方です。しかし、日本人の食事は糖質に偏っているため、エネルギー産生の小さな解糖系ばかりが働いて疲れているようです。元気を出すには、十分量のタンパクと脂肪をとり、炭水化物を減らすことです。また、クエン酸サイクルを活発にするためにはビタミンをしっかりと補うことが大切です。