むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • ドグマチール

    ドグマチール(スルピリド)という薬があります。とても古い薬で、精神科領域や消化器領域などで広く使われています。不思議な薬で、少し使うと胃薬として作用し、食欲が出てきて元気になります。気分が沈んでいて食欲がないという時は驚くほどよく効きます。また、たくさん使うとうつ病や統合失調症に対して効果を発揮します。私も色々な状況で処方します。ただ、気をつけているのは、一日2錠以上は使わないこと、何ヶ月もダラダラと使わないことです。心療内科ではたくさん(3錠以上)使うとうつ病にも効果が期待できますが、今はもっと選択性が高い抗うつ剤がいろいろありますから、私はあえてこういう薬を大量に使うことはありません。

    良く効くのにちょっとしか使わないのには理由があります。副作用です。女性が長期に使うと乳汁分泌(母乳が出る)、生理不順などが起こってきます。男性でも女性化乳房(胸が大きくなる)、乳頭が痛い、などが見られます。また、使用量が多いとそわそわしたり手足が震えたりします。いずれも薬をやめると元に戻ります。また、眠気が来ることもありますが、うつで眠れない人にとっては心地よい眠さと言われることがあります。

    そんな感じでいいところ、悪いところいろいろあるのですが、古い薬で長年の使用経験が蓄積されていますから、逆に安全性も確認されています。副作用に関するデータも揃っており、未知の副作用を心配することはないと思われます。こういう古くて効果的な薬を適切な量でうまく使いこなすのが大事なことと思います。

    熊本高校の校舎前で