むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 傾聴の先には

    ストレスなどで体調を悪くして来院された際に、私たちドクターができるのは親身になって話を聞くことです。私たちの専門用語で「傾聴」と言います。耳を傾けるという感じの意味でしょう。これは、「それはきつかったですね、大変ですね、辛かったでしょう」と話を聞いて相手の価値観を共有し、存在を認め、尊重する、といった治療行為です。しかし、それだけでいいのだろうかと、以前から疑問に思っていました。そして、最近のいろんな出会いや勉強の結果、傾聴も大切ですが、その先にしてあげるべきことがたくさんあることがわかりました。

    これは、医学部の教育で習うことはなく、卒後教育でもあまりそういう話題はありませんので、今まで特には気にしていませんでした。また、私たち内科をベースとする心療内科医はカウンセリングのテクニックにあまり精通していないため、薬物療法に偏る傾向があります。私も、薬の使い方にはとてもこだわりを持っています。一方、傾聴だけではいけないと思い、最近は生活習慣の問題、会社での過ごし方、嫌な上司から小言を言われた際にどんな反応をするのか、どうしてそう考えるのか、というところまで注意して情報を集め、私なりにアドバイスをするようにしました。

    こういうアドバイスが功を奏すかどうかは短期間で評価することはできませんが、自分なりには一つ段階がアップした気がします。毎日が勉強であり、実践でもあります。常に今の自分にできるベストの医療を提供したいと思っています。

    健軍神社で見上げた青空