むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • コロナによる心外膜炎の症例

    朝晩は幾分過ごしやすくなりましたが、まだまだ残暑が厳しいです。それでも、クリニックのベランダにはよしずを買って日よけをしているのでほとんどクーラーがいらないくらい涼しいです。驚くべき効果です。伝統的な和のアイテムですが、現代に通用するすぐれものでした。おかげで電気代の節約にもなっています。

    今日診た患者さんで印象的だった症例について。コロナに感染後隔離期間が明けて仕事に出てはみたものの少し動いただけで動悸と息切れが強い、仕事にならない、とのことで来院。心電図は低電位。レントゲンでは肺野はきれいでうっ血なし。心胸郭比53%と軽度の心拡大を認めました。酸素飽和度98%と異常なし。この所見から、もしやと思い心エコーをしたら、予想通り全周性に心嚢液が貯留していました。コロナ感染に伴う心外膜炎の所見です。

    当院でコロナに関する心外膜炎はこれで3例目です。最初の2例はワクチンの後遺症でした。ワクチンも本物の感染症も心膜炎を起こす理屈は同じです。前の2例はステロイド投与で速やかに改善したので、今回の症例にもステロイドを開始しました。実は、このようなウイルス性心外膜炎は珍しくありません。有名なのはコクサッキーウイルスによるものですが、インフルエンザでも見られます。ほとんどの場合、内服治療で速やかに改善しますので、心配はいりませんが、早期診断早期治療が肝心です。今日の患者さんはすぐに診断がついてラッキーでした。