むらかみ内科クリニック

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  • 危ない不整脈:心房細動

    テレビで不整脈には放っておいて良いものと、早めに受診しないといけないものがあると言っていたそうで。それを見て来院された患者さんがおられました。心電図をとってみると心房細動でした。心房細動というのは脈が一定せず、早くなったり遅くなったりします。リズムがバラバラなので割とわかりやすいのですが、慢性化すると自覚症状がなくなって気がつかないことがあります。

    心房細動というのは、放っておかずに早く受診した方がいい不整脈です。何故なら脳梗塞の危険性が高いからです。不整脈そのものの治療はともかく、脳梗塞予防のために薬を早く開始しないといけません。心房細動が原因で起こす脳梗塞はとても重症になることが多く、死に至る場合もあり、重篤な後遺症(寝たきり、半身不随、失語症など)を残すことが多いのです。

    今日の患者さんは、テレビのおかげで自分の不整脈は放っておいて大丈夫でしょうかということで来院されたのですが、結果きちんと診断がついて脳梗塞予防の治療を開始しました。とてもラッキーだったと思います。

    その心房細動がいつも出ている人もあれば、日頃はほとんど出ず1日のごく短時間だけ心房細動を起こしている一過性心房細動という人もいます。これは、心電図検査をしてもその検査中に心房細動が出ていなければ異常なしと診断されてしまうため、注意が必要です。きちんと診断するためには24時間心電図(ホルター心電図)検査が必要です。今のホルター心電図の機械はとても小さくSDカードに記録するので、検査をしながら仕事もできるし日常生活に差し支えることはほとんどありません。自分の不整脈が気になるけど、いつも出ている訳ではないという人の場合、こういう検査がありますので心配せずにご相談ください。

    また、心房細動の患者さんが脳梗塞の確率を上げる因子として、血圧、糖尿病、年齢、心不全や脳梗塞の既往などがあげられます。もし高血圧や糖尿病などがあれば、絶対に放置しないでください。老後は健康で自由に動けてこそ悠々自適なものです。寝たきりにならないようにできることはいろいろあります。心房細動を放置しないこともその重要な一つです。

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