むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 予防接種

    インフルエンザの予防接種はおすみですか?当院では今週に入ってから予防接種に来られる方がかなり増えてきました。風邪で来院される患者さんも多いですから、実際にインフルエンザの流行時期に入る前に予防接種を済ませることをお勧めします。ワクチンも例年になく品薄ですから、年末になると入手困難になるかもしれません。お早めにどうぞ。

    風邪の治療というのは内科医にとっては簡単ではありません。インフルエンザは治療薬があるのですが、インフルエンザ以外のウイルスに対しては効く薬がありませんから、熱に解熱剤とか、鼻水に鼻炎の薬とか、そういう対処療法が中心となります。私の場合は漢方も使うので、数多い漢方の中で目の前の患者さんに最も適した漢方を考えると、結構時間がかかります。喉が痛い人、咳がひどい人、お腹の調子が悪い人、症状だけでもいろいろです。また昨日から調子悪い人、すでに1週間以上経っている人など、時期によって使う薬が変わってきます。しかし、漢方はきちんと使えば劇的に効きますから、処方する側としては、とても達成感があります。漢方の初学者にとっては処方した漢方がちゃんと効くかどうかは勝率5割以下だと思います。5分5分ならサイコロを振っても同じだと思うかもしれませんが、風邪に効くであろう漢方が10種類以上あるので、そのうちの一つを選んで効く確率は数学的に考えれば20パーセント以下です。5割効かせるのは結構難しいのです。私たち専門医はその訓練を20年以上していますから、それなりに効かせるだけの自信はあります。ただ、考えに考えた挙句、漢方は苦手で飲めません、と言われた時は、がっくりきます。それなら最初から解熱剤と抗生剤の処方で3分で解決です。西洋薬ならあまり考えなくてもパタンで処方できます。

    そういうわけで、通常内科の先生にとって風邪の患者さんが来ても楽しいことは何もないのですが、私たち漢方専門医にとっては、来る患者さんみんな違う処方を考えるので、難解なパズルを解くようで一例一例が刺激になって臨床って面白いなーとつくづく満足感を得ながら診療できます。それは精神衛生上もいいと思います。やはり、どんな仕事も楽しんでやっているのが一番ですね。

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