むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 指数関数とうつ病

    夕食を食べていたら子供から質問。マルチ商法(ネズミ講)はどうして悪いの?

    私の答え:マルチはビジネスモデルとして成り立っていない。必ず限界がくるし、利益を得られるのは始めた人くらいで、ほとんどの人が損する仕組みになっている。面白いたとえ話をしよう。

    殿様が家来に言った。「この度はご苦労。お前に褒美をとらせるから、何が欲しいか言ってみろ」「お殿様、ありがとうございます。では、お米を一粒いただけますか」「何、米を一粒だと?」「はい、でも、明日は2粒、あさってはその倍の4粒という具合にいただけませんか」「たやすいことだ、何と欲のないことを言うやつだ」

    お分かりでしょうか?1ヶ月後には2の30乗として10億粒になります。仮に5粒で1gとすると1kgが5000粒。10億粒は20万kg。こんなありえない事態になるのです。これがマルチ商法です。

    ところで会社では、来年度の目標は今年の実績の+20%とか言い、みんなに発破をかけます。2割増しなら頑張れば1回くらいなんとかなる、と思うでしょう。しかし、会社の要求は来年も再来年も続くのです。すると、今年が100、来年が120、再来年は120×1.2=144。これを数式で表すと100×1.2のn乗です(nは年数)。10年後なら620%つまり最初の年の6倍の業績です。業績を6倍にするなんて、個々の頑張りだけではできません。ビジネスモデルそのものの見直し、新しい投資などがないと実現しません。

    なぜ私たちは常に右肩上がりを要求されるのでしょうか?みんなが満足にご飯を食べられ、平和に過ごせるならば現状維持でもいいのではないでしょうか?ただでさえ地球というマーケットは有限なので、先ほど計算したマルチ商法のように右肩上がりがずっと続くというのは幻想なのです。そんなことで体を壊してうつ病になっている人がたくさんいます。可哀想です。

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