むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • オープンから1週間

    先週木曜日からオープンした当クリニックは今日で1週間となりました。最初はいろんな人がお祝いを兼ねて受診してくれたり、ご近所さんも一度覗いてみようという感じでいらっしゃいましたが、段々落ち着いた状態になってきました。

    そういう中、阿蘇や天草など遠方から来ていただく患者さんもあり、感謝でいっぱいです。時間をかけて来ていただいただけの治療効果が出るように、注意深く話を聞いて病態を分析し、薬を選びます。

    私たち内科医というのは自分の手で治すということはあまりなく、薬の力で治していきます。そこで大事なのは、世にある何万もの薬の中で、目の前にいる患者さんに最も適した薬を処方してあげることです。まさに、鍵と鍵穴のように、慎重に選ばないときちんと効きません。単に血圧が高いだけという患者さんでも、カルシウム拮抗剤(アムロジンなど)、ARB(ディオバンなど)、アルファ・ベータブロッカー(アーチストなど)、利尿剤(フルイトランなど)と、いろいろな種類の降圧剤があり、どれが目の前の患者さんに適した薬剤かは膨大な論文やガイドラインに始まり、自分の経験に至るまで様々なレベルのエビデンスをもとに処方します。まさに内科医の腕の見せ所です。

    私の外来ではそれに加えて漢方薬も積極的に使っています。早く患者さんの症状が取れて、体質改善にもなり、副作用が少ないように、とあれこれ考えます。漢方の場合は、味が苦手という人も多いので、いい薬を処方したとしても、きちんと飲めるだろうか、という心配もあります。しかし、臨床は理屈でなく、実践の医学ですから、飲めない薬を処方しても単なる自己満足です。できるだけ飲みやすいように、薬の剤型(粉や錠剤・カプセルなど)を考えたり、味わいや香りなども考えながら、ベストを尽くす。難しい作業ですが、漢方専門医としての醍醐味でもあります。

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    造花とは思えない緻密な出来栄えです。

  • 訪問診療の準備

    前の職場にはホスピタルメントという老人ホームがあり、行き届いたサービスを売りにしています。テレビCMでおなじみのことと思います。私はここの入居者さんのうち約100名を外来で診察していました。そこで、今回の開業にあたり、この患者さんたちは年も80−90歳を超えており、命は私にあずけます、とおっしゃっていた人たちが何人もおられたのですが、私の勝手で病院を辞めて開業したために、この皆さんのことがとても気がかりでした。

    桜十字病院のご好意もあり、この中から12名を今後訪問診療することとなりました。開業してすぐに在宅が始められるように厚生局にも書類を出して、準備万端にしていたので、はじめようと思えば今週からでも始められるのですが、昨日のブログに書いたように、介護保険のみなし事業所としての申請をまだしていませんでした。訪問診療は医療保険で、居宅療養管理指導というのは介護保険となっており、一度の訪問で両方算定できるのですが、片方は厚生局の許可が必要で、もう一方は県庁の許可が必要なようです。

    そこで、とりあえず医療保険だけでスタートする手もあるのですが、介護保険の方の認可がとれてから値上げ(算定を開始するため)となると不自然なので、できたら両方準備が整ってから始めたいものです。患者さんやそのご家族との契約書も医療保険と介護保険は別々なのです。なんとも面倒で複雑です。

    今日は、そういうわけでホスピタルメント(本関、東館、西館)に行って打ち合わせをしてきました。

    一番の悩みどころは同一建物の減算です。施設の場合、効率よく診療できるため報酬額が4分の1に減算されてしまいます。1人見るのと4人見るのが同じ値段なのです。そうかと言って、1日一人のために往診していては効率が悪すぎます。ここは、自分の利益よりパフォーマンスを追求するか、考えさせられます。

    さて、今日は台風の被害もなくホッとしましたが、南風が湿った熱気を運んできて蒸し暑い1日でした。体調を壊さないようにしましょう。

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    写真は、桜十字の外来で診ていたYさんが開業のお祝いにと持ってきてくれた花です。小さくとても可愛らしいです。ありがとうございました。

  • お釣りの準備

    医療をするとき、なんとなくだけれどもお金から最も遠いイメージがある。昔赤ひげという人情で人助けをした医者がいて、困った人、お金のない人からはお金を取らない。それが美徳とされた。しかし、資本主義社会の今、それが美徳とばかりは言っていられない。なぜなら、クリニックを建設するのに何億もかかり、これから20年以上にわたってこの借金を返さないといけないからだ。自分のためというより、銀行に返済するために働くようなものだと、みんなが口をそろえる。そんな状況でなぜみんな開業するのか。それは、たとえ借金の城でも一国一城の主であり、医局や大病院の組織に属していてはなかなか実現できない自由がそこにはあるからだ。使いたい薬はすぐに使えるし、買いたい医療機器は自分の裁量で買うことができる。それが楽しい。

    だが、楽しいと言っていられるのは、毎月の返済のめどが立っている時だけだ。返済できないと、従業員にも給料が払えず、薬の仕入れにも影響する。そこで、赤ひげ的な医業はとても難しいと思う。

    そんな中、自分でクリニックというビジネスを始めるにあたり、初めて自分の仕事に対してお金が動くところを目の当たりにする。そればかりか、患者さんにいただくお金に対して、十分なお釣りを準備しておかないといけない。恥ずかしながら、お釣り(小銭)はどうしたら準備できるのか知らなかった私は、銀行に行って、かくかくしかじかでお釣りを準備したいのだが、やり方を教えてくださいと問うた。すると、両替機というのがATMの横にあるので、ATMカードを使って両替できます、と説明を聞いた。しかも、カードで口座から下ろすのではなく、あくまで両替なので、現金を入れないといけないらしい。それから、手数料のことなどいろいろ詳細にわたり聞いて、毎日少しずつ両替しておけばいいんだな、と理解した。みなさんご存知でしたか?

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    ロビーの大きな胡蝶蘭は桜十字病院の西川理事長からいただきました。ありがとうございます。

  • 恵みの雨

    経験したことのないような猛暑もひと段落となり、朝から曇っているなと思ったら昼前には雷が光ってざーと雨が降ってきました。恵みの雨です。カラカラに乾ききっていた土に潤いが戻りました。気温も信じられないほどの高温が和らぎ、涼しげに感じます。まだ30度は超えていますが、このところ路上は40度超えていますから、10度くらい涼しい感じです。

    そして、当クリニックでは本日より全職員さんが出勤をしてくれています。初の顔合わせとなりました。みんなをクリニック内見学してもらい、社会保険労務士さんにも来ていただいて一人ずつ雇用条件の説明を行い、契約書などを手渡しました。これも、自分ではできないことでした。社労士さんのプロとしての冴えたお仕事を見ながら関心いたしました。

    制服のサンプルが届いていたので試着してもらったのですが、なかなか可愛い感じで良かったです。職場が華やいだ感じになります。写真も撮らせてもらいましたが、本人の許可をもらっていないので、今日は載せません(残念ながら・・・。)

    院内全体がマックになっており、iCloudでデータを共有しているため、朝礼のネタや本日のタスクはメモやリマインダーの中に書き込み、みんなでiPadや受付にあるiMacでそのファイルを見られるようにしました。まずはペーパーレスのクリニックなので、そういうパソコンに慣れてもらうのもいいかと思いますが、初めての職員さんには「なんだこれ」って感じだったと思います。すぐ慣れますよ。

    そして、待合ロビーにはウォーターサーバーが入りました。阿蘇の天然ミネラル水です。フィルター水と違って、味がいいと思います。

    明日から注射器や点滴の道具などを整理して足りない物品の発注に入ります。

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  • 連携について

    熊本地震の後、街は車であふれ、渋滞がひどい。もちろん復興のために県外から沢山の応援が来ているのだろうけど、どうもそれだけではないように思う。というのは、最近車でちょこちょこ出かけると、信号にひっかかってばかりで一向に進まない気がするのだ。以前なら、一度赤信号に止まれば、そのあとしばらくはスムーズに進めた。それが、最近は、赤で止まり、青になったかと思うと、次の信号でまた赤になる。つまり、連携が取れていないのだ。これでは、スムーズな移動ができないため、時間もかかるし、燃費も悪くなるし、経済的損失は計り知れない。想像だが、信号網の連携を調整しているパソコンが壊れているんじゃないだろうか?

    仕事においても、連携がうまくいかないと全てがダメな印象を与える。一人一人が頑張っても、全体の流れが良くないと効率良く完結できない。そのために、コンシェルジェとかコーディネーターとかそういう仕事の人がいる。小さなクリニックではそういう人を雇うことは難しいが、一人一人の患者さんを問診、診察、検査、結果説明、会計とスムーズに誘導するために職員同士の連携が必要だ。患者さんの話を聞いて、ニーズを把握し、ドクターの診察内容から検査や治療の方針を把握し、全体の流れをコーディネートできる、そういう職員を一人でも多く育てたい。そこには、医療事務や看護師という本来の仕事の能力だけでなく、コミニュケーション能力とか気がきくとか、そういう素因が必要だ。

    病院と診療所の間には病診連携という言葉がある。入院を要するような状態の時は病院にお願いし、退院したら診療所(クリニック)で経過を見る、そういう連携のことだ。いずれにしろ、医療の現場は連携が大事だ。

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    クリニックの名前の入ったサイン工事は終わり、足元には植栽が植えられました。お隣の薬局には凌雲堂薬局という名前が入りました。優雅なネーミングです。なんとなく、漢方好きな僕の診療にマッチした薬局の名前だなーと思いました。