むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 人生のペース配分

    うちのクリニックの待合には新聞や週刊誌は置いていないのですが、唯一置いているのがランナーズというランナー向けの雑誌です。走ることの楽しさやノウハウが書いてある本なのですが、最近はマラソン人口も増えており、待っている間に読んでおられる方を結構見受けます。

    今日は、この数ヶ月うつで治療していた患者さんが来院され「今度の熊本城マラソンに出ようと思います」とおっしゃっていました。目標ができてそれに向かって進もうとする気持ちが湧き上がってきたのは、うつがかなり改善した証拠です。その力強い言葉を聞いて、嬉しくなりました。体を動かすこと、明るい日差しを浴びることはそれ自体がうつの治療になります。いい季節です。外に出て運動しましょう。

    マラソンで思うのがペース配分です。出だしで頑張りすぎると後半バテてしまいます。マラソンにはテクニックがあって最初にオーバーペースで走っていわゆる貯金を作り、後半は気力でなんとか頑張る、旧来の日本選手型、逆に最初はペースを抑えながら30キロ過ぎた頃からラストスパートをする外国人選手型などあります。私が経営者として思うのは、病院などの施設は「継続」が全てです。急に閉院したりすると多くの患者さんに迷惑がかかります。そんなことにならないためには最初から飛ばし過ぎないことです。継続可能な範囲でじっくりと自分の体力と相談しながら進むことです。かかりつけとして当院を選んでくれた患者さんたちのこの先一生を責任持つ覚悟で自己管理をし、長続きするクリニック経営に心がけたいと思います。

    写真は健軍神社の梅です。紅白の色合いが縁起がいいですね。

  • 疲れ目にはクコの実

    確定申告の季節です。以前は税務署のプレハブで無料相談会に並んで確定申告を作成していましたが、最近はパソコンで作るのが主流となっています。税務署の確定申告作成サイトはとてもよくできており、よくわからない素人でもガイドに従って書き込んでいくうちに仕上がっていきます。

    そうは言っても、たくさんの源泉徴収票や領収書などと格闘すると目が疲れます。疲れ目にはくこのみがききます。枸杞(くこ)は杏仁豆腐の上に乗っている赤いドライフルーツですが、たくさん食べると目に効きます。私は毎日手のひらいっぱい食べます。私の仕事は電子カルテを使うので朝から晩まで1日12時間以上パソコン作業です。やはり目が疲れるのです。クコの実はスーパーのドライフルーツコーナーなどに売ってあるのですが、小さいパックで結構な値段なので、たくさん食べるには抵抗があると思います。当院の前の薬局では、漢方メーカーから直接買い付けたクコの味を安く販売しています。100グラムでも500グラムでも好きな量を小分けしています。特に処方箋はいりませんので、薬局に直接お尋ねください。また、赤ワインに漬けておくと、甘くサングリアのようになります、薬酒として楽しむのもいいと思います。

    もう一つ目にいいのは後頭部の指圧です。後頭部(首の筋肉の付け根)にくぼみが二つあります。ここを指圧すると疲れ目に効きます。是非お試しください。

  • 花粉症の季節

    花粉症の季節ですね。天気がいいと、春の陽気でとても気持ちがいいのですが、花粉症の人にとっては辛い時期です。アレルギー性鼻炎には抗アレルギー剤を使うわけですが、残念ながらよく効く薬は眠くなります。仕事で日中眠くなるのは困ります。また、車の運転をする人にもアレルギーの薬は問題です。市販薬と病院で処方する薬では病院の薬の方が眠くなりにくいものが多いです。

    最近新しく発売になった新薬は全く眠気のこないアレルギーの薬があります。車の運転も制限がありません。もし花粉症で仕事上どうしても営業などで運転が必要な場合はこの新しい薬が重宝することと思います。当院で処方しています。

    漢方でも花粉症に使うものがいつくかあります。単剤でも効くのですが、2種類の漢方を組み合わせた方が効果的です。しかも眠くなりませんから、仕事や勉強で困っている場合は漢方もおすすめです。また、点鼻薬は鼻づまりを一発でとってくれるものもあるしステロイドが入っていて毎日使うことでアレルギーそのものを抑えてくれるものもあります。もちろん眠くならないのでメリットは大きいと思います。目が痒くなる場合も、内服だけでなく点眼薬を使った方が効果的でしょう。

    アレルギーを詳しく調べたい場合は、採血で非特異的IgEという検査を行います。これはまず体がアレルギー反応を起こしているかどうかの判定です。この非特異的IgEが高かった場合、すぎ、ヒノキなどどんな対象にアレルギーを起こしているかを調べます。牛乳、卵などの食品やハウスダスト、ダニ、カビなどに対するアレルギーかどうかも調べることができます。結果が出るまで約1週間です。

     

  • 甲状腺の話

    甲状腺は喉のあたりにあるホルモンを産生する臓器です。喉仏の少し下で左右に蝶が羽を広げたような形をしています。甲状腺が腫れる病気があり、比較的女性に多いことが知られています。

    本日は、自分で甲状腺が腫れている気がすると言って来院された方がいました。私たち内科医だと、健康診断時に一瞬ですがのどのあたりを触って確かめますから、パッと見て怪しいかどうかすぐにわかります。本人が気づいた通り、確かに甲状腺が腫れていました。このような場合、当院ではまず超音波を行います。超音波は首の甲状腺周辺をプローブというセンサーで撫ぜるだけですから全く痛くもなんともありません。10分ほどで検査は終了します。

    それから、採血で甲状腺ホルモンを調べます。甲状腺のホルモンが多すぎるとバセドウ病や甲状腺炎が疑われます。ホルモンが少ないと橋本病や甲状腺炎の亜急性期以降の可能性があります。ホルモンの異常がない場合、甲状腺腫、甲状腺がんなどの可能性を考えて調べます。

    当クリニックでは一次検査を行い、良性腫瘍疑いでも精密検査の必要がありそうな場合は専門の病院に紹介しています。

  • 緊張やストレスで下痢になる病気

    緊張やストレスで下痢になる人がいます。通常の胃腸薬を飲んでもなかなか治りません。内科や胃腸科にかかって胃カメラなどの検査をしても、たいした異常はないと言われます。これは過敏性腸症候群という病気です。世間はちょうど入試も終わりひと段落ですが、これから卒業式、入学式、就職、研修、と大きなイベントや環境の変化が次々と発生する時期です。こういう時にお腹が痛くなっては困ります。

    過敏性腸は内科や胃腸科にかかりがちですが、原因としてストレスが大きく関わっていることと、検査をしても大した異常がないことから、通常の内科よりは心療内科や漢方内科の方が得意な疾患です。私が総合病院で漢方外来を担当している時、時々消化器内科の先生から漢方で直りませんかと紹介状をいただいたりしていました。その当時のことを思い出すと、国家試験や公務員試験を控えた学生さんたちが藁をもすがる思いで漢方外来に来られていました。せっかくいい大学に入っても、国家試験や公務員試験に通らなくては意味がない、そう思えば思うほどプレッシャーで体調が悪くなるのです。

    話は変わりますが、今日診察した患者さんで、入学式や卒業式のような緊張する場面に最後までじっといられないという方がいました。似たような患者さんで、電車に乗れないとか、エレベーターが苦手とか、いろいろな場合があります。こういう特定の場面に対する恐怖症は薬で治療できます。また、精神科では薬だけでなく訓練(認知行動療法)で治す方法もあるようです。