むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 薬の上中下

    くすりに上中下があると聞いたことがありますか?上薬、中薬、下薬といいます。これは2000以上前の中国の話です。漢方の古典に書いてあります。上薬は体に優しく、長期に飲むことで体質が改善される生薬です。中薬は病気を治療する効果がありますが、あまり長期に使うものではありません。下薬は治療効果が高い代わりに副作用もあるため長期投与は向いていません。生薬の例を挙げるなら人参や霊芝は上薬です。柴胡は中薬です。附子や大黄は下薬です。私達漢方専門医はこれらの薬をうまく組み合わせて治療します。上薬を長期間使いながら体質を改善しますが、一方で中薬や下薬を使って今困っている症状をとりあえず治していきます。ただ、その薬が上薬か下薬かを意識しながら、常に次の一手を考えます。

    西洋薬の大半は下薬だと思います。抗がん剤や解熱鎮痛剤などその典型です。中薬に相当するのが血圧の薬や胃薬などでしょう。西洋薬で上薬はすくないですがビタミン剤などでしょうか。わたしは漢方をほとんどの患者さんに処方するため、西洋薬に関してもいつもこの薬は上薬か、下薬かを考えます。抗うつ剤や抗不安薬にも上中下があると思っています。これは、西洋医学しか使わない先生には理解できないかもしれませんが、経験豊かな臨床医は肌で体感して、私達と共通の認識があると思います。

    このような肌感覚で薬の上中下を考えながら使っています。下薬がだめだというわけでなく、下薬はすごく効く代わりに使いこなしに注意が必要です。最近私が力を入れているのはビタミン剤による治療です。ビタミンは上薬ですから、安全性が高く長期投与ができます。うつやパニックもこういう上薬で治療できたらいいなと思って取り組んでいます。

    朝日をバックにに光るシクラメン