むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • うつ病を励ます

    最近、井原裕先生の「激励禁忌神話の終焉」という本を読んでいます。「うつ病の人をうかつに励ましてはいけない」と言われて久しく、今では素人の人たちもそのことを知っています。しかし、この本は激励禁忌(励ましてはいけない)は間違いであると説いています。これは、実際にうつを体験した人たちの証言からも正しいことだとわかります。

    通常、私たちはうつの人と話をするときには「それは辛かったですね」という傾聴に徹し、決して頑張れ、とは言いません。頑張れと言われなくてももう頑張れないレベルまで頑張っているし、もっとがんばりたくても体が動かないから、頑張れと言われるのは酷だということです。なかにはその言葉をきっかけに自殺してしまうこともあると言いますから、うかつに励ませません。

    しかし、傾聴しただけではせっかく病院に来て、長いこと待合室で順番を待ったのに、「そうですかー、きついですね」とだけ言ってもらっても何の解決にもならないと感じる人がたくさんいます。たまに、家族が「そんな悩まなくてもうつなんて時間が経てば治るんだから」とか、いろんなアドバイスをしてもらって霧が晴れることがあります。私も、この本を読んで、やっぱりうつの人のも適切な愛のこもった励ましの言葉と、治るから安心して、というメッセージをしっかり込めてお話しするべきだと思いました。

    PS:気合が足りん、怠けるな、といった体育会系の言葉はダメですよ。

    夕暮れの浮島神社にて