むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 漢方の勉強

    雨が続くとやはり外来患者さんもさほど多くなく、久しぶりに自分の時間ができました。医療保険の制限から、熊本県では漢方薬は一度の処方で2剤までと決まっています。患者さんの訴えがどんなに複雑でも漢方2つで治さないといけないのです。これは私たち漢方を専門としているものにとっては厳しい規制です。仕方ないので、難解なパズルを解くように処方を構成生薬に一度バラして、患者さんに必要な薬を決めていきます。今日は本棚から漢方のテキストを出してきてあれこれ調べました。

    私が座右の本として以前から重宝しているのはたった1冊です。漢方の古典でもなんでもありません。中医処方解説という神戸中医研から出ている辞書みたいなテキストです。これ以外何もいらないくらい大切にしています。本の後ろを見たら1991年出版(初版が1981)ですから、30年以上昔のテキストです。でも構いません、漢方は2000年前の医学をやっているわけですから、30年古いテキストでもなんてことないのです。(今、アマゾンで調べたらもちろん絶版ですが18000円から34000円で売られていました!!)

    この本を改めて読むことで、また新しい発見とこれまで実践してきた内容が間違っていなかったことを確認できました。日本の漢方を専門としている古方派にとっては、古典の解釈に柔軟性がなく枠にはまっているのですが、中医学的理論で考えれば枠を超えて自由な発想で処方できます。私の外来の漢方処方はそのような中医学的背景があるので、おそらく薬局でもらう薬情の紙に書いてある説明では到底説明し尽くせないと思います。つまり、2剤混ざって初めてその患者さんのためにブレンドした処方になっているのです。