むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 学生に教える講義と考えさせる講義

    昨日取りかかった漢方の講義のスライドを今日仕上げました。

    大学の講義は1コマ90分です。私の場合、講演で使うスライドは1分1枚で計算します。60分の講演なら60枚作ります。その計算でいくと、今度の講義は90枚作らないといけないのですが、さすがにそれは多すぎると判断し、60枚ちょっとで完成としました。

    学生は漢方のことなど全く知らないわけで、そういう人を相手に話をするには1分1枚のスライドでは早すぎます。また、アメリカに留学中に教えられたのですが、1枚のスライドは6行まで(タイトルを入れれば7行)が精一杯で、それ以上の情報を1枚のスライドに入れようとすると、誰も読んでくれず、単なる自己満足のスライドになっていまいます。要点をしぼって、キーワードだけをしっかり盛り込んだスライド作りを心がけます。

    アメリカではインストラクター(講師)をしていたのですが、学生に講義をする前に、講義の予行練習があり、スライドや話し方などを専門家がチェックしてくれました。専門家というのは、医学のことは全然わからないけど、このスライドはもっと変えたほうがいいとか、講義の内容が説明が多すぎるので、もっと学生に考えさせる構成にしたほうがいいとか、そういうアドバイスをもらっていました。

    日本の大学教育というのは昔から教師が一方的に話すだけで、学生との会話などはめったにありませんでした。今では、文系のビジネススクールやロースクールなどでは学生主体でどんどん話し合って講義が進むという場合もあるでしょうが、医学部の場合はほとんどが知識の詰め込みなので、習わなくても後で教科書か友達のノートのコピーがあれば事足りるような、そんな講義でした。私が留学していた頃の10数年前のアメリカでは、学生に考えさせる講義をするように言われていました。日本でも遅ればせながらそんな風潮になってきてはいます。しかし、そのような講義は準備も慣れていないし、学生の方も慣れていない。しかも日本人はアメリカ人に比べてシャイで当ててもあまり発言しません。国民性の違いもあって、なかなか難しいのです。

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