むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 邪気と正気の戦いについて

    雨はふらずいい天気なのですが、黄砂で霞んでいます。今日は風も強いので桜吹雪でした。犬の散歩をしていると、ホコリが目に入ります。ところで風邪は「ふうじゃ」とかいて「かぜ」と読みます。風のように突然吹いてきて体に影響するという意味です。脳卒中のことを中風(ちゅうぶ)と昔呼んでいました。中という字は「当たる」という意味です。的中(てきちゅう:的に当たる)という字があるのでわかると思います。したがって、中風というのは突然手足が麻痺する脳卒中の病態を風に当たったようだと表現したわけです。

    邪(じゃ)というのは風だけではありません。漢方の理論には、病因論というセクションがあります。そこには、病気の原因は内因と外因の2つに分けられると書いてあります。内因は生活習慣病、ストレスなど内的な問題です。一方、外因としては、風寒燥湿暑火という6つの要因が挙げられています。つまり、風邪(ふうじゃ)だけでなく、寒の邪もあるし暑の邪もあるということです。私が漢方の診察をする際にはこういったどのような病因(邪)が悪さをしているかを考え、治療方針を決定します。

    漢方の理論では、邪だけで病気になるとは考えません。邪正闘争というのですが、邪に対して体には正気というものがあり、免疫力や抵抗力の意味です。つまり、病気になるかどうかは「正気」と「邪気」の戦い(闘争)の結果、正気が邪に負けると病気になるわけです。今話題の新型コロナも「邪」なのですが、発症する人の割合は少ないので弱い邪です。体力さえしっかりしていれば邪にさらされても発症しないというわけです。したがって邪を怖がるひまがあれば、正気を高める努力をしましょう(正しい栄養、十分な睡眠、ストレスを避ける、が大切)。