むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • いろいろな種類の汗と治療法

    暑くなりましたね。診察室は今シーズン初めてクーラーを入れました。患者さんはまだ厚着の方もいらっしゃいますが、私は半袖白衣です。難しい症例を考えると頭がオーバーヒートしそうになります。頭を涼しく冷やしたほうがいいのはパソコンのCPUと同じです。こう暑いと汗が出ますが、汗にもいろいろあります。暑くて出るのは当たり前ですが、緊張して手や頭から滝のように汗が出る人がいます。多汗症といわれる状態です。恥ずかしくて握手できないとか、顔を流れる汗を拭き取るハンカチが手放せないといわれます。もう一つ困るのはワキ汗。洋服の素材によっては汗で色が変わり目立ってしまう。これは、これまで美容整形でボトックスの注射をして汗を止める方法がありましたが、最近新しい塗り薬が発売されました。保険適応です。塗ることで局所的に発汗に関する神経伝達物質のアセチルコリンをブロックし、発汗を抑えます。面白い薬ですが、また当院では使ったことはありません。

    多汗症は、漢方治療を希望して来られる場合も多いので、わりと治療しています。漢方が効けばいいのですが、100%有効ということはありませんので、やはり抗コリン剤も使います。抗コリン剤の内服は汗は止まるのですが、体に熱がこもったようになることがあり、結果的には使えない場合もあります。逆に、発汗が少ない人で熱中症になりやすいということで漢方を希望される方もいます。その場合、汗を出す治療というより、漢方で体を冷ましてあげる治療をします。これは、更年期でほてって仕方ないという場合の治療法にもにた感じの処方となります。

    寝汗というのもあります。寝汗は普通の暑くて出る汗とも緊張して出る汗とも異なります。多くの場合、体力を消耗したような虚弱体質で寝汗が出ます。体表の汗腺(毛穴)をギュッと締めておくには気のパワーを必要とします。その気が不足すると毛穴が開き、汗が漏れてしまうと考えるのです。したがって、寝汗の場合は気を補う治療をします。このようにひとことに汗といってもその背景によって適切な治療法を考えるのも漢方の面白いところです。