むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 国民皆不安障害

    来週、久しぶりに漢方の講演をします。以前から定期的に講演をしているのですが、今年に入ってからコロナの影響でことごとく講演会はキャンセルになりました。私は講演が本職ではないので全然困りませんが、講演を生業としている人たちは大変です。そして、今回の講演は産婦人科の先生向けに話をするのですが、リアル講演会ではなく、WEB講演です。クリニックの診察室からパソコンに向かって話をします。講演会場に出向かなくていいので遅刻の心配もありません。気楽な講演会です。当院は熊本市の中心部から車で20−30分かかります。夕方7時頃ならラッシュも重なり、いつもは遅刻しないかとヒヤヒヤです。クリニックから講演できるのは、まるでドラえもんのどこでもドアくらいすごいことですね。時代はすでに未来へと突入しています。

    最近はコロナ・ノイローゼとでも言うべき患者さんが毎日のように現れます。微熱が続く、だるい、喉が痛いみたいな症状。通常夏にこの症状だと、夏風邪だ、熱中症かもしれない、で終わりです。なんの憂いもなく、薬を飲んでゆっくり休んで、しばらくすると症状も改善します。そんな風邪にかかったことさえ忘れてしまいます。しかし、今年はみんな一日になんども熱を測って一喜一憂しています。そして、コロナ怖い怖い、ばかりです。

    こんなノイローゼ(神経症)をどうやって治療しよう、と毎日頭を抱えます。レントゲンを撮って、採血して、異常なしと太鼓判を押してもまだ不安が消えない人がいます。安定剤、抗うつ剤、抗不安薬、睡眠薬、あれこれ治療法を考えますが、いまだにこれと言った決め手がありません。精神科的にはコロナノイローゼは「不安障害でややパニック気味」の診断なので抗うつ剤(SSRI)をしっかり入れれば落ち着くだろうというのがセオリーですが、しかし、たかがTVに不安を煽られて変な思い込みをしている人に抗うつ剤をどこまで入れるべきか悩みます。おそらく国民の6割は不安障害です。いっそ、全員に抗うつ剤を配って飲んでもらうか、TVを見ることを一切やめてもらうか、しかないと思います。

    南阿蘇