むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 妊娠糖尿病の新しい管理法

    当院の近くの産婦人科の先生から、妊娠糖尿病の患者さんが紹介されてきました。妊娠中は血糖が上がりやすく、糖尿病を発症する人もいます。血糖コントロールと同時に、胎児の体重コントロールが大切です。糖尿病では胎児が大きくなりすぎて帝王切開になったりする割合が非常に高くなります。母と子の将来がかかっているので、責任重大です。

    この患者さんは検査してみたらさほどひどい状態ではありませんでした。食事療法で十分うまくいきそうです。糖質制限をしてご飯やパンなどを食べすぎないこと、その代わり肉、魚、チーズ、豆腐などをしっかり取るように指導しました。ご飯は一日一膳のみ可とする(できれば玄米にする)、としました。通常の妊娠糖尿病の治療では、1600キロカロリーとか厳しくカロリー制限し、驚くほど質素な食事を強制します。しかもそれでうまく行けばいいのですが、たいていはインスリンが必要となります。インスリンは成長ホルモンの一種なので、打てば打つほど胎児は大きく重くなります。その分お母さんはさらなる食事制限を強いられるのです。

    これではいけません。胎児が育つには良質な蛋白が十分量必要です。今回は、この患者さんにしっかり蛋白をとっていただき、炭水化物のみを制限し、カロリーはうるさく言いません。それでも、すでに体重は5キロ痩せて良好な経過です。尿にケトンが出ているのを見て他の内科の先生が驚いたそうですが、食事制限がうまく行っている証拠です。がんばってますね!としっかり褒めて、この調子で行くようお話しました。この新しい妊娠糖尿病の管理方法については宗田哲男先生の「ケトン体が人類を救う」(光文社)に詳しく書いてあります。

    アスペクタのゲート前