むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 救急は過酷な労働現場

    夕方テレビを見ていたら、ドクターヘリの番組をやっていました。私も10年以上前ですが、国立病院医療センターの救急を担当していました。当時は3人体制で当直しており内科系、外科系、研修医の3名です。一晩に20台から40台の救急車が入っていました。テレビでやっていたようなドクターヘリもちょうど熊本で稼働し始めた頃でした。天草や山都町あたりでも15分もあれば患者さんが飛んできます。ドキドキしました。

    それ以外にも、植木にある寺尾病院や南区の東(あずま)病院などの救急病院でかなり長い間勤務した経験から、ムカデに刺されたとか、耳に虫が入ったというような急患から、高速道路での交通事故や日本刀での殺傷事件などありとあらゆる救急を見てきました。アメリカに留学していた時も集中治療部に所属し、ER(救命救急部門)の回診をしていました。アメリカでは日本と違って拳銃による外傷もあるし、水上スキーで転んだ人の多発骨折などもありました。このような患者さんを救うことを生きがいのように頑張っていました。

    しかし、日本の救急の現場はあまりに過酷です。24時間、365日不眠不休の仕事を医師に強いられます。(アメリカでは完全2交代制で12時間働いたら次の12時間は絶対呼び出されることはありませんでした)今では働き方改革とか言いますが、それをまともに遵守すると地域の救急医療体制が崩壊するので、国も迂闊に手をつけられません。国はもっと救急ドクターを増やす努力が必要だとおもいます。医師の献身的な努力とその家族の犠牲の上に成り立っている救急システムというのはほめられたものではないとおもいます。