むらかみ内科クリニック

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  • 深部静脈血栓について

    深部静脈血栓症という疾患があります。熊本地震の際にも血栓症のリスクが高まるということで、ポータブルエコーの機械を持って避難所巡りをしたチームがありました。深部静脈血栓症は足を動かさずに長時間じっとしていることで血栓ができる病気です。国際線の飛行機の座席に長時間座っていることでも見られることから、以前はエコノミークラス症候群として知られていました。しかし、じっと座って足を動かさないことがリスクになるので、たとえビジネスクラスでも同じことです。地震の際には車中泊をした人も多かったと思いますが、狭い車の中で夜を明かすとかなりの確率で深部静脈血栓症となります。

    一方、そのような狭い座席の問題ではなく、もっと身近に深部静脈血栓症を起こすことがあります。それは、寝たきり状態です。何らかの理由で寝たきりになると足を動かしませんから、足の静脈に血栓ができてしまいます。最悪の場合、リハビリの最中にその血栓が飛んで心臓から肺に詰まってしまい、急激に酸素化が悪くなってショック死してしまうことがあります。肺塞栓症と言います。

    このような状況にならないようにするには、寝たきりでも車中泊でも、足の運動をすることです。大きく動かさなくても結構。足先を上下に動かしたり回したりするだけでも血行が良くなり血栓を予防します。もし血栓ができてしまったら、抗凝固剤で新たな血栓の形成を抑制し、できた血栓が溶けるのを待つ必要があります。

    上江津湖