むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 空腹時血糖と随時血糖

    朝ごはんを食べずに来院してもらい、血糖を測るのを空腹時血糖、食事と採血のタイミングをランダムに測るのを随時血糖と言います。もちろん空腹時血糖の方が低い値になることが予想されます。昔は朝ごはんを食べずに来てもらい採血するのが当たり前でした。しかし、最近は随時血糖もだいぶ重視されるようになって来ました。随時血糖を測ると、空腹時ではわからない高血糖が見つかることがあり、隠れた糖尿病を診断することができるのです。

    糖尿病を治療中の場合、ヘモグロビンA1cという検査をよく耳にすると思います。7以下を目標に治療します。一方、ヘモグロビンA1cばかり見て治療していると、思わぬ低血糖を来すことがあります。血糖降下剤が効きすぎて血糖が下がると、気分不良となり、吐き気や冷や汗が出たり、ひどくなると意識が遠くなります。非常に危険なので、低血糖にはならないように注意が必要です。そこで、食後の血糖は下げ、空腹時血糖は低血糖にならない程度に維持するのが糖尿病治療の腕の見せ所なのです。

    さらに、血糖がやや高いところで安定しているのと高かったり低かったりの変動が大きい場合を比べると、少し高くても変動が少ない方がいいとされています。そういう最新の知見に基づいて治療しないと、単にヘモグロビンA1cをがむしゃらに下げればいいという時代ではなくなっています。また最近は、治療薬も新しくどんどん出てきており、以前に比べると治療がとてもしやすくなっています。