むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • みんなの家庭の医学

    「みんなの家庭の医学」というテレビ番組があります。いつもは見ないのですが、たまたま夕食後にTVをつけていたらこの番組が始まり、漢方の特集をやっていました。ご覧になった方はいますか?2時間もある長時間番組でした。CMをカットすれば1時間でも十分な内容なのに、引っ張って2時間にした感じでした。しかし、内容はなかなかよくできていて感心しました。漢方の診断から治療、鍼灸の話まで網羅していました。中でも重症の冷え症の患者さんが2例紹介されて、漢方を1週間飲んだらあっという間に良くなったというエピソードがあり、ビートたけしが、「なんだかテレビショッピングを見ているようだ」とコメントしましたが、まさにそんな印象でした。実際にあんなにうまく行く症例は何例かに一例です。

    それにしても、西洋医学では治らない症状が漢方の力で治ることがあるというのは最近随分知られてきました。そもそも日本人にとって漢方や鍼灸が効くというのは江戸時代までは当たり前で、それが日本の医療のスタンダードだったのです。しかし、オランダから蘭学が入ってきて特に外科の分野が飛躍的に発展しました。そして明治になり西洋医学がスタンダートとなった挙句、漢方のことが忘れ去られたのです。医師国家試験も西洋医学だけで、東洋医学に関しては全く教育されていませんでした。

    しかしこの10年くらい漢方の教育が医学部のカリキュラムに採用され、次第に若い医師の方から漢方が効くのは当たり前、という認識に変わってきたのです。私もこの10年ほど大学の漢方教育の一翼を担ってきました。系統講義、臨床実習など学生さんたちに漢方がいかに素晴らしいかを啓蒙してきました。

    今日の外来では、多彩な訴えのある患者さんが数名来院されました。診察中、自分の頭の中では西洋薬で行こう、と思っていたのですが、患者さんからは漢方でお願いします、と言われました。それも一人や二人ではありません。そうなると、こちらも気合が入ります。やっぱり時代は漢方を求めているんだ、と思います。逆に、この症状は西洋薬では治せないから漢方で行くしかない、と思って処方したのに、漢方は苦手なので、他の薬に変えてください、と言われる方もおられます。できることならそうしますが、漢方以外で治す自信がない場合があります。洋の東西にこだわらず、ベストな治療方法を考えることは当院の経営理念です。