むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 糖尿病の治療とA1c

    糖尿病の状態がいいかどうかを測る検査にヘモグロビンA1cという検査があります。ヘモグロビンというのは赤血球の中にあるタンパク質で酸素を運ぶものです。血液中のブドウ糖濃度が高いとヘモグロビンと糖が結合して糖化蛋白を形成します。これがA1cの本体です。その他にも血液中のアルブミンという蛋白に糖が結合したグリコアルブミンという検査もあります。血糖値が高い状態が続くとA1cが高くなるので、治療目標としては7以下にしましょうと言います。治療中に問題となるのはA1cが8以上でどうしても下がらないときです。患者さん本人は元気ピンピンなのですが、10年20年とその状態を放置すると心筋梗塞や脳梗塞などをおこす可能性が高くなります。腎不全が悪化して透析になる場合もあり、網膜症になって失明する場合もあります。動脈硬化が進みすぎて足が壊死を起こして切断となることもあります。

    私は循環器が専門なのでこのような悲惨な行末をたくさん見てきました。糖尿病は若いうちからきちんとコントロールすることが大切です。一方、80過ぎたら、糖尿の治療も少し緩やかなものとします。厳密にしすぎると、知らないうちに低血糖を起こすからです。たとえばA1cが6を切るようなら、主治医からすごくいいと褒められるかもしれませんが、私はその数字を見たら慌てます。低血糖は心臓に悪いし、認知症のリスクでもあるからです。年をとったらある程度の高血糖は許容されます。むしろ低血糖が怖いのです。

    そういうわけで、当院では糖尿病患者さんのヘモグロビンA1cをこまめにチェックしていますが、これまで、検査が立て込むとどうしても待ち時間が長くなってしまって、申し訳ないと思っていました。そこで、今週、A1cの測定器を2台揃えました。これでどんどん測れます。同じ検査機械を2台も買うなんて開業医では普通しないと思いますが、患者さんの待ち時間短縮は患者さん満足度に大きく関与すると思ったので、思い切って買いました。

    天神