むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 香害(こうがい)について

    香りの害と書いて「こうがい」というのが最近話題となっています。西洋人は香水をつける文化がありますが、もともと体臭がそれほどきつくない日本人にとっては香りをつけなくてもそれほど人に不快感を与えることはないと思います。それなのに、最近は柔軟剤に強力に残り香がつくよう設計されたものが多くなっています。香り成分を閉じ込めた微粒子を洗濯が終わっても服から流れてしまわないようにすることで、いつまでも香りがするのです。化学物質に過敏な人にとってはとてもつらい世の中です。病院ではこのような香りがしないように心がけています。私は、白衣を洗濯する際にも、洗濯機の洗剤のところには洗剤と塩素系の消毒・漂白剤(ハイターなど)を入れます。一方、柔軟剤を入れるところには、クエン酸を入れます。洗濯石鹸はアルカリ性なので、最後に酸性のクエン酸でリンスすることで残った石鹸は完全に流れてしまいます。洗濯物が乾いたときにゴワゴワするのはアルカリ性の石鹸が残っているためなので、クエン酸で完全に石鹸を除去するとゴワゴワしなくなります。自然な仕上がりとなります。もし、柔軟剤に過敏で困っている場合、お試しください。

    夜、暗い道を犬の散歩しているとどこからともなくサラリーマンの香水の香りがします。柑橘系の爽やかな香りで特に嫌な感じではありません。匂いを嗅いだだけで、その人が働いているオフィスの様子や、部下の人たちが目に浮かびます。その人が厳しい場合、部下の人たちはその爽やかな柑橘系の香りを嗅いだだけで鳥肌が立ったり吐き気をもよおします。条件反射です。私は、犬のようにその香りをかぎながら夜道をあるいて、「あ、この人はこの角を右に曲がったな」とか鼻でわかります。ほら、そこで信号待ちをしている、あの人です。やっぱり厳しい上司風です。匂いだけでわかってしまいます。

    このように香りというのはその人の人格すべてを象徴する静かなる自己主張となります。それを意識的に武器とすることもできます。アロマセラピーもそんな力を借りています。しかし、あまりに多くの人がそういった香りの持つ(暴力的とも言えるほどの)力について無頓着だと思います。あなたはどうですか?