むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 完璧主義

    最近、日本の労働生産性が先進国最下位だと発表がありました。先進7カ国(G7)中最下位なのは37年前連続で、今に始まったことではないそうです。OECD35カ国中でも20位だそうです。日本人が1時間あたり46ドル(約4600円)稼ぐ間に、一位のアイルランドでは96ドル(9600円)稼ぐそうです。日本人は、それほど怠け者ではなく、むしろこれでもかと言うほど働いているように見えますが、実際には1位の国の半分しか稼げていないというのはショックです。

    この原因の多くは完璧主義だからではないかと思います。客の要求が非常に高いし、それが当たり前だと思っている。製品の製造でも、不良品の許容がむちゃくちゃ低いのです。アメリカでは不良品が出たらいつでも無料で交換するというシステムを確立して、不良品の%をある程度許容しています。アメリカに限らず世界中そんな感じです。しかし私達日本人はそれが許せないがために、最後の1%を完璧に詰める努力をします。実は、99%でよしとする場合(100個に1個不良品)と、99.99%(1万個に1個不良品)まで品質を高めようとする場合、生産コストがむちゃくちゃ違ってきます。

    この完璧主義が世界でも有数のおもてなし文化を生み、外国人が日本の航空会社に乗るとそのサービスに驚くのです。結局、お金にならない最後の詰めを強要されているのです。会社でも、会議用の資料できれいな資料作成(スライドなど)を要求するところがあるかもしれません。こういうのが無駄です。資料は数字を間違えていなければいいのであって、見栄えのする色付けなど無駄です。働いても働いても仕事が終わらないという場合、おそらくこういった完璧主義に陥っているのではないかと思います。それが我々の文化であり、客がそのレベルのサービスを要求する限りはこの状況は変わらないと思います。世は働き方改革といいますが、実際は、もう少し肩の力を抜いて世界標準レベルの品質で良しとしなければ、仕事量(無駄)は減らないと思います。

  • みんな横並びを好む日本人

    いよいよGWですね。天気もいいようですが、皆さんいかがお過ごしですか?私は連休の前半は残念ながらあまりゆっくりできません。私達開業医は毎月1ヶ月分の診療報酬請求(レセプト)チェックを月初めに行います。私がチェックして、さらに医療事務で訂正作業があります。これを期限までに済ませないといけないのですが、何しろ連休ですから、作業できるのは祝日でない5月1日、2日、7日、8日の4日間しかありません。その4日は事務作業に専念できるように、私のチェックは5月1日には終わらせておきたいのです。折角の連休ですが、朝から晩までずっとレセプトチェックです。また、クリニックはこの連休を利用してワックス清掃が入るため、一日院内にいないといけません。

    仕事が休みの人もいれば、小売業や飲食店などここが一番忙しくなる業種もあることでしょう。ご苦労さまです。実は、日本は世界でも有数の祝日の多い国です。日本人が休んでいるうちに世界はどんどん進みます。アメリカも中国も東南アジア各国も猛烈に働いています。経済力も日本だけが停滞して他国は伸びていますから、比較すると日本はとても貧しい国になってしまいました。海外に行かず日本国内で過ごしていれば、物価が安定していて過ごしやすいのですが、外国では物価が高くてびっくりします。逆に、中国人などからすると日本は物価が安くて買い物天国です。数十年前は日本から中国に旅行すると1週間の滞在でも1万円を使い切れないほどの物価でしたが、今や逆転しています。

    生活費ランキングは日本は21位だそうです。ビッグマック指数というのがあり、世界中でビッグマックがいくらで売られているかと言う経済指標が有ります。日本は390円。一位のスイスは720円、スエーデン660円と各国500円以下というのはほとんど有りません。ぜひネットで調べてみて下さい。

    日本がこんなに祝日が多いのは実は日本人の心理的問題があると思います。みんなが休みでないと自分だけ休みを取りづらい。だからみんなで休みましょうということになる。そうすると、国が休みの日まで設定して来るのです。結果、どこへいくにも大渋滞です。外国は祝日が少ない分、適当な時期にそれぞれが休みを取るので、分散される傾向にあります。みんな横並びでないと安心しない日本人と、個人主義の欧米の違いがここに見えます。

  • 朝鮮半島の記念すべき日に考えた

    午前の診療を終え、訪問診療に出かけたところ、ニュースやワイドショーは南北朝鮮の首脳会談の話題で持ちきりでした。これまでにない歴史的な一日となったようです。金氏は命がけだったと思います。韓国がもし罠を仕掛けようと思えばどのようにでもできる状況に肝をくくって飛び込んだのは勇気ある行動だったと思います。昼食は車で北朝鮮側まで戻って食べたというのは戦略としては非常にもっともなことで、慎重この上なくまた判断をあやまらずに一旦冷静になる時間を作ったのは素晴らしいと思います。毒をもられたり狙撃されたり、盗聴されたりどのような可能性もあったわけですから、相当緊張したと思います。国境近くを会談場所にしたのはこのようにすぐに国境をまたいで心穏やかに過ごせる場所があるという、アウェイでありながらホームの近くという絶好の場所を指定したと考えられます。大した戦略家です。今後、いい方向に和平が進展することを期待します。

    ところで、会社で働いている人で、このようにいつもアウェイの感じが抜けない人がいます。同僚を仲間や身内と見ることができず、馴染めないのです。そうすると、一日の大半が敵に囲まれて過ごすような感覚でストレスは大きいことこの上ありません。そういう人も帰宅して奥さんや子どもたちに優しくしてもらえれば家庭という癒やしの場があるのですが、それすらもない人は心休まる時間がありません。次第に体調が悪くなるのは理解できます。

    こういうストレスに長時間さらされると、交感神経が緊張しっぱなしとなります。ドキドキしたり眠れなくなったりします。副交感神経にスイッチを切り替えるには、ゆっくり食事をすること、スポーツをして汗を流すこと、サウナや温泉で汗を流すこと、マッサージや鍼治療をしてもらうことなどがあります。自分なりにリラックスして肩の力を抜く時間を持ちたいものです。

  • 情報は多いに越したことはない

    このところ外来患者さんの急増で大忙しです。新しい患者さんも多いので、聞き取りには時間がかかります。風邪のような新患はすぐに終わりますが、何ヶ月も悩んだ末にもう限界、と思って意を決してこられた患者さんの場合、数分の診察というわけにもいかず時間がかかります。たとえば、認知症ではないかと思ってご家族を連れてこられたとしましょう。受け答えがしっかりしていると、数分の会話では異常かどうかわかりません。かなり時間をかけて話しているうちに、やっぱり何か変だぞと思うわけです。ご家族にしてみれば、それが24時間続くわけですからどう見ても昔のおじいちゃんおばあちゃんの姿でないことはわかるでしょうが、私達が初対面でお会いして短時間でその人の個性なのか、病気なのかを判断するのは難しいものです。もちろん認知症のテストなどもありますが、それが全てではありません。

    時間をかけて面接すればいいのですが、あとに控えている患者さんのことを思うと、そんなに余裕はありません。限られた時間で診断をつけるには効率的に状況を把握する必要があります。当院では、医師の診察の前に専門の看護師や精神保健福祉士による聞き取りを行っています。そこで、できるだけたくさんの情報を頂いていると、実際の診察の限られた時間内に最大の情報が私の方へ伝わります。もちろん事前に言い忘れたことがなかったかは確認しますが、最初からいっておいていただくと効率的な診察ができます。

    他院で検査した検査結果のコピーやお薬手帳なども重要です。あのピンクの錠剤とか言われても、確認するのに時間がかかります。情報は多いほど助かります。緊張して上手く言えないようなら、メモしてきて下さい。色々話されなくても、それを渡してもらえば診察に役たちます。わたしは毎日、一人でも多くの患者さんに健康で幸せになっていただくため、努力しています。それが、当院の経営理念です。ご協力よろしくお願いします。

  • 季節により使い分ける薬もある

    もうすぐゴールデンウィークですね。皆さん予定はいかがですか?連休中に血圧の薬など切らさないように確認して下さい。もし切れそうなら、なんとか今週中においで下さい。当院はカレンダー通りの診療です。土曜日は午前中の診療です。祝日はお休みですが、訪問診療のみ行います。5月1,2日は通常通りです。

    昨日の大雨に引き続き、今日は肌寒い一日でした。このところ半袖で良い日が続いていましたが、今日は寒かったです。このように温度差が大きいと風邪に注意です。来院される患者さんで、風邪引いたみたいだから家にあった麻黄湯を飲んできたという方がいますが、今の季節の風邪で麻黄湯ということは殆どありません。麻黄湯や葛根湯は冬の風邪に使う薬で今の季節は滅多に使いません。多分使っても殆ど効かないと思います。

    血圧の薬も夏と冬で変えることがあります。夏は汗をかき脱水になりやすい季節です。暑さで血管が拡張して血圧は下がりやすくなります。そこで、血圧を下げるために使っていた利尿剤は夏の間は中止したり減量したりします。血圧の薬も軽くします。血圧の薬は一生飲まないといけないと思っている人が多いですが、当院通院中の患者さんでこの先半年くらいは薬無しで行けそうですね、という人は何人もいます。減塩や運動という健康管理ができれば、血圧の薬はいらなくなります。夏に向かって今からしばらくがそのチャンスです。皆さん頑張りましょう。