むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 雨と頭痛・めまい

    雨が続きますね。こういう天気では頭痛やめまいが増えてきます。台風が近づくと頭痛がするという話はよく聞きます。喘息も台風と関連して悪化します。

    天気や湿度が体調に影響を及ぼすというのは漢方の世界では当たり前のことです。病気の原因に、内因、外因というのが考えられれおり、外因をさらに詳しく分けると「風、寒、暑、湿、燥、火」の6つが想定されています。六淫の邪と言います。暑いのも寒いのも、湿度も体調を悪くするということを何千年も前から考えていたのです。

    今雨が続いてめまい頭痛がするのは「湿」の問題です。漢方では苓桂朮甘湯や五苓散が効きます。

    不思議なことに、西洋医学ではほとんど天気などを病気の原因とは考えません。CTやMRIあるいは血液検査などで異常を探し、見つからなければ遺伝子検査まで行ってしまう現代医学の、圧倒的に考えが足りない部分です。ここには東洋医学を使って補ってやらなければ、治せません。thumb_img_0008_1024

    写真は私の前職場である桜十字病院の外来処置室です。私のクリニックは、この処置室の間取りやベッドの配置、ベッドとベッドの間隔などをメジャーで測って、ほぼ同じ機能性を持たせるように設計しました。なので、広さもベッドの数も大体同じです。

  • ヘモグロビンA1c

    糖尿病の患者さんにはおなじみの検査でヘモグロビンA1cというものがあります。この1か月の血糖の評価がこの数字です。来院する前に慌てて食事に気をつけても、この数字は騙されません。採血した日をさかのぼって約1か月間の血糖の推移をあわわします。

    糖尿病の薬を飲むと、このヘモグロビンA1cの数値をめどに薬の調整をします。7を切っていれば良好。8を超えていれば不可。7から8の間はもう一歩という感じです。

    通常、この検査には静脈血採血をします。そして、検査を外注する場合には結果が来るまで1日かかります。したがって、通常糖尿病の治療で来院した患者さんが採血結果を聞くのは1ヶ月後の受診日になります。

    当クリニックでは、迅速ヘモグロビンA1c検査器を導入しています。驚くべきは、その検査に必要な血液量です。血糖を測る簡単な方法に指や耳たぶからわずか1滴の血液をとって測る方法がありますが、その1滴で血糖とヘモグロビンA1cが両方測れます。時間も5−6分です。今まで他院で糖尿病の治療をしていた患者さんが今日当院に初めて来院し、この検査をして、あっという間に結果までわかったことにとても感心していただきました。もちろん、すぐ結果がわかるので、その日の処方内容もその結果に基づいて調整できます。非常に嬉しいことだと思います。

    私たちのクリニックの理念として、「患者さんの健康と幸せのためにベストを尽くします」としています。ベストを尽くす一つの姿勢として導入したのがこのヘモグロビンA1c迅速検査です。その日の検査結果でその日の処方を調整すれば、当然良い方向に進みます。

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    犬はじっとしていないので、写真がぶれます。綺麗に撮れていませんが、とりあえず・・・。

  • 葛根湯

    風邪に葛根湯というのは誰でも知っていると思う。しかし、葛根湯の特徴や使い方はあまりきちんと知られていない。

    葛根湯は寒気(悪寒)と頭痛がするときに飲む薬なので、イメージとしてはインフルエンザの初期。ゾクゾクしてきて、後頭部が重く痛む。熱を測ると38度くらいある。鳥肌が立っていて、汗ばんだ感じはない。

    そういう状況で一服飲むと、体が温まり、寒気と頭痛が和らぎ、ほのかに汗ばんできて熱が下がる。

    ところが、今の季節の夏風邪は、症状が全く違う。熱い。熱を測ると39度。気温が高いから鬱熱している。だるい。寒気はない。じっとり汗をかいていて気持ち悪い。こういう症状は決して葛根湯の適応ではない。葛根湯で体を温め、汗をかかせる治療というのは、最初から病態にあっていない。それを「風邪には葛根湯」と思って飲んでも全く効かないばかりか、かえって調子が悪くなるかもしれない。夏風邪には日本にある漢方薬ではなかなかいい処方がないのが現状だ。中国には桑菊飲や天津感冒片という処方があり、日本でも横浜や神戸の中華街の漢方薬局には売ってあったので、買ったことがあるが、扱っているところは少ない。保険適応でもないので、病院では処方できない。

    そこで、夏風邪は僕の場合西洋薬治療が多い。そこは、漢方にあまりとらわれずに、ベストの治療法を考える。

    今朝NHKを見ていたら夏型過敏性肺炎というこの季節独特の肺炎の話をしていた。僕の外来にもちょうど昨日それを疑う人がいたので、印象的だ。その患者さんは、この春に京都から熊本に引っ越してきて、それ以来微熱と咳が止まらないと言っていた。京都に帰ったら咳が止まったりしませんか?と聞いたが、はっきりしなかった。しかし、高温多湿の熊本では、カビが原因の肺炎が見られる。特にキッチンや風呂場の風通しを良くして、拭き掃除など丁寧にしたほうがいい。テレビでは、アルコールスプレーが除菌に効果的だと言っていた。

    また、最近マイコプラズマによるしつこい咳も結構多い。以前からオリンピックの年にマイコプラズマは流行していたが、今年はオリンピックもあるしなんとなく多い気がする。これも適切な抗生剤を使わないとうまく治らない。

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    クリニックの玄関周りには植栽が植えられた。暑い日が続くので水やりが大変そうだ。枯らさないようにしないと・・・。

  • 夏バテに漢方

    暑い日が続いています。毎日36度くらいになっています。昼間に外を歩くのはとても厳しいと思いますが、外で働かないといけない場合もあります。くれぐれも熱中症や夏バテに注意しましょう。

    熱中症予防は十分な水分補給と、日陰や涼しいところで休息をとること。そういう注意をしても体の疲れがたまってくると、食欲がなく、疲労感が抜けなくなってきます。夏バテです。西洋医学では、夏バテに効く治療法はありません。脱水があれば点滴もいいかもしれませんが、水分を十分とって、それでもきつい場合は点滴は有効でないことが多いです。食欲不振にも胃薬なんかはあまり効きません。

    そこで漢方の出番です。今日は高校生でちょうど1年前にも来院した子供が同じ体調不良で来院されました。部活で夏休みにハードな練習があり、水分は摂っているけど、胃がもたれてお腹がチャプチャプ音がするといいます。これは胃内停水といいます。たくさん摂取した水分を胃が処理しきれなくなっているのです。この症状には白朮、茯苓などの生薬が入った六君子湯や五苓散がよく効きます。去年はこの子に五苓散を出したらすごく良くなったそうで、またあの薬が欲しいと言われたので、今回も五苓散を処方しました。

    その他、全身倦怠、食欲不振には清暑益気湯や補中益気湯を使います。とてもよく効くので、夏バテしたかなーと思ったら、この辺りの薬を入手されたらいいと思います。暑い夏を元気に乗り切りましょう。

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  • 頻尿の話ー補足

    昨日は頻尿について書きましたが、十分書き足りなかったところがあるので補足します。

    まず、一晩に何回くらいトイレに起きれば病的かというお話です。誰でも一晩に1回くらいはトイレに起きるでしょう。これは病気ではありません。年をとってくると2回くらいはあると思います。特に冬は回数が多くなるので、一晩に2回までは正常範囲です。これを薬で治療して欲しいと言われてもなかなか難しいと思います。しかし一晩に3回以上となると、やはり多いと考えます。3回なら2時間おきです。ちょうどレム睡眠とノンレム睡眠のサイクルが90分なので、1時間半ごとに眠りが浅くなり、そこで目がさめる計算です。これでは睡眠不足になってしまいます。こういう場合は病院で相談してみてはどうかと思います。

    心不全気味で足がむくむ場合、夜間頻尿となります。その原因は昼間に足を下げている間に足に水分が溜まり、夜横になると足にたまった水分が心臓の方まで上がってくるために夜間利尿されるのです。そのため、朝になるとむくみは取れるのですが、夜中にそれだけトイレに起きてオシッコを出したということなのです。この頻尿を改善するためにはできるだけ足を下げっぱなしにしないことが大切です。寝る前1−2時間くらいはソファーなどで足を高く上げて横になり、寝る前にしっかり利尿しておくといいでしょう。まあ、ここまで足を高くとは言いませんが、高く上げるほど効果的です。写真はネットで拾ったものです。

    Women relaxing on bed together

    もちろん寝る前にビールなど水分やお酒をたくさん飲むと夜中にトイレに起きることになりますので、晩酌するにしても夜遅くまで飲まないようにするといいでしょう。