むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 鬼宿の日

    先日の日曜日は清掃業者による院内ワックスがけでした。年末なので、いつもにも増して綺麗に磨いてくれました。窓もピカピカにしてもらって、正月を迎える準備ができました。旧暦の12月13日はこよみでは鬼宿(きしゅく)日というらしいのですが、鬼が宿にいて外を出歩かないので何事をするにもいい日だそうです。この日を正月事始めといって、すすはらいや餅つきなど正月を迎える準備をする日だそうです。確かに今日はニュースを見ていたらお寺で煤払いをやっているのをみました。お歳暮を送るのもこの日が目安となっているそうです。正月を迎える準備を2週間以上前からするのは優雅ですね。私はクリニックが29日まで通常通りなので、30日に年賀状を書いて余った時間が大掃除です。しかし、今のうちから少しずつ手をつけるのがいいですね。

    今日のニュースを見ていてもう一つ年末の風物詩ですが、「今年の漢字」があってました。「金」だそうです。オリンピックもあったし、コロナ給付金もあったし、ということです。これは、世の中のみんなの多数決みたいなものですが、個人的には関係ないので、自分にとっての今年の漢字はなんだろうと考えてみました。うまく思いつきませんが、「接」でしょうか。その心は、「ZOOMのおかげで、滅多に会えない人とオンラインで会えたり、自宅から学会に参加できたり、とにかくバーチャルに多くの人と繋がることができた一年でした」みなさんにとって、今年の漢字はなんでしょうか?

    最近、熊本県東方医学研修会という学会の事務局を私が引き継いだのですが、会計も頼まれたので、事務局名義の通帳を作りに銀行に行きました。毎週銀行に行くので、窓口の女性とは顔なじみで、「先生、急いで作りますからお待ちくださいね」といってもらって、実際にできたのは45分ぐらいかかりました。個人でなく正式な法人でもなく学会事務局という通帳はさすがに簡単にはできません。でも、銀行の椅子で昼寝ができたおかげで、午後はノンストップでトイレにも行かず夜7時までぶっ通しで診察しました。

    待合の床もピカピカ

  • エディロールの処方を再開します

    この数カ月、骨粗鬆症の予防薬エディロールという薬の生産が滞っており入手できない状態が続いていました。この度、ついに生産が再開し、当院前の凌雲堂薬局にも入荷しましたので、処方を再開します。エディロールは活性型ビタミンDです。ビタミンDは骨の形成に大切なビタミンです。また、副作用が少ないので、安心して服用できます。一方、以前は使っていたけどいまはほとんど使わないのがカルシウム製剤です。骨はカルシウムでできているというのは間違いではないのですが、カルシウムを摂ってもたいして骨折の予防にはなりません。それどころか、カルシウムをとり過ぎると尿中にカルシウムが排泄されるため、尿管結石のリスクとなります。アメリカやデンマークといった酪農王国でも骨粗鬆症が非常に多い事実から考えて、カルシウムや牛乳をたくさんのんでも骨は丈夫にならないということがわかります。

    骨はカルシウムだけでなく、コラーゲンが重要な成分です。建物に例えるならコラーゲンが鉄筋で、カルシウムはコンクリートです。鉄筋のないコンクリートの塊はもろくも崩れます。コラーゲンは肉や魚を煮たときに出る煮こごり(冷えると固まるゼラチン)にたくさん含まれます。食べたコラーゲンは消化されて吸収されますが、ビタミンCを十分とると体内でコラーゲンに再構築されることがわかっています。したがって、骨を丈夫にするためには肉・魚(コラーゲン)や野菜(ビタミンC)をしっかり取らないといけません。

    もう一つ骨粗鬆症予防に大切なのは、運動です。骨に重力(G)をかける運動をしないと骨は丈夫になりません。寝たきりの人がどれだけビタミンDやボナロン(アレンドロン酸)などをとっても効果は期待できません。骨にGがかかっていないからです。骨にGをかける運動としては、ジョギング、縄跳び、テニスなどがありますが、家庭でできる簡単な運動としてはかかと落としです。つま先立ちしてかかとからどんと体重を足にかけます。これを1日10回以上すると骨密度が改善します。

  • 絶品、自家製レモンサワーを作ってみた!

    先日、久しぶりに友人と街で食事をしました。その際、自家製レモンサワーを飲んだのですが、あまりに美味しくてびっくりしました。どうしてこんなに美味しいんだろうと思って考えたら、アルコールのベースが焼酎やウイスキーではなく、ジンだと気がつきました。なるほどーと思い、帰宅してから早速自家製レモンサワーの作り方をググってみました。すると、レモンサワーの仕込みにはできるだけ香りのいいジンや麦焼酎がレモンと合うみたいでした。レモンは皮の部分を使うので消毒(ポストハーベスト)していない国産レモンがおすすめ。まず、レモンの皮をかつらむきにして皮と実を分けます。皮を蓋のあるボトルに入れてジンや麦焼酎に漬け込みます。1週間以上つけた方が香りが良くなります。一方、実の方はできるだけタネを除いて房ごとにバラして冷凍します。

    1週間以上レモンの皮を漬け込んだお酒ができたら早速レモンサワーを作ってみましょう。冷凍したレモンの実をいくつか取り出して、香りのついたお酒に浸します。少し溶けたらミキサーにかけてシャーベットにします。出来上がったシャーベットに強炭酸水を加えて、軽く混ぜます。もしあれば、グラスの上にレモンの皮をおろし器でおろして振りかけます。これで完成。自宅で作ってみたら、店で飲んだ感動の味が再現できました!同じやり方で、患者さんにいただいたシークワーサーやカボスを使ってサワーを作ってみましたが、こちらも絶品でした。それぞれの柑橘にあうお酒を見つけたらいいと思います。

    このところ奇跡的に日本だけコロナが落ち着き、2年ぶりに少人数の飲み会(忘年会)ができています。今まで当たり前にできていたことが、ほんとうは普通ではない幸せなんだと感じます。やはり、実際に人とあってワイワイ飲んで話していると、オンライン飲み会にはない情報交換ができて大きな収穫があります。

  • 胃腸炎が増えています

    前にも書きましたが、最近は胃腸炎が増えています。このところ新型コロナもインフルエンザもない平和な年の瀬ですが、胃腸炎ばかりは例年通り見受けられます。胃腸炎を起こすウイルスは、アルコール除菌できません。コロナ対策であちこちにアルコールスプレーが置いてありますが、あれを使っても防げないのです。塩素系(次亜塩素酸など)で消毒できるのですが、臭うので、通常次亜塩素酸は手指消毒には使いません。ではどうしたらいいか。それは手洗いです。石鹸を使っても使わなくても、流水で30秒ほどしっかり洗えば感染予防できます。もし家族に下痢している人がいたら、トイレの便器、洗面所、ドアノブなどを塩素系消毒薬あるいは薄めた漂白剤(ハイターなど)で拭き掃除しましょう。

    胃腸炎はビオフェルミンやガスターのような胃腸薬では治りません。そんな治療では1週間はきつい思いをします。しかし漢方で治療すると2−3日で治ります。私の経験では1回飲んだだけで効いている実感がしますので、相当即効性があります。私が一番使うのは黄蓮解毒湯です。カプセル製剤や錠剤もあるのでお子さんでも飲めると思います。そのほか、半夏瀉心湯、黄芩湯、柴苓湯なども効果はありますが、黄蓮解毒湯の方が鋭く効果を発揮します。当院では胃腸炎で食事が入らなくてきついから点滴してほしいという人は1年を通してほとんどおられません。みなさん漢方治療で治っていると思います。私がこの処方にたどり着いたのは偶然ではありません。漢方の勉強会でとある先生から教えてもらったのですが、その処方はもっと複雑でした。とにかく効くから騙されたと思って使ってみるよう勧められました。その処方が劇的な効果を発揮することはすぐ確かめられたのですが、その処方をシンプルに研ぎ澄ませた結果、黄蓮解毒湯単剤で素晴らしく効くことがわかったのです。この件に関しては、すでに10年以上の臨床経験があります。

    漢方薬はこのように、医者が10年20年とひたすら臨床知見を積み重ねた結果、間違いないと確信したものだけが後世に伝えられてきたと思われます。つまり、漢方4000年の歴史の総決算が今残っている処方だということです。効いた効いたと喜ぶのはお子ちゃま。効いて当たり前なのです。

  • 足が攣(つ)った!

    寝ていて、久しぶりに足が攣りました。あいたたたたたた。飛び起きてうめき声をあげます。ふくらはぎが攣ったときにはすぐに足の親指を手で上に持ち上げ、足首の関節に上向きの力を加えます。そうすることで、ふくらはぎが痙攣して縮こまっているところをひっぱり伸ばします。手で足先を引っ張ってアキレス腱を伸ばすのと、ふくらはぎがつって縮むのと力比べみたいになりますが、5分10分と頑張って引っ張り上げると痛みは遠のいていきます。

    どうして足が攣ったのか考えたら、前日革靴でクリニックまで3キロ歩いて通勤したからではないかと気づきました。いつもは運動靴で歩くのですが、その日は夜に会合があったので、革靴で通勤したのです。やはり、日頃使わない筋肉の使い方をしたのでしょう。マラソンとか登山でも足が攣ることはよくあるので、攣った時の対処法は体得しておいた方がいいと思います。さて、漢方でもこのように足が攣る場合、有効な治療があります。ご存知、芍薬甘草湯(68番)です。この薬は寝る前に飲んでおけば寝ていて足が攣るのはかなり抑えられます。私の経験では、透析患者さんが透析をした日の夜に足が攣るとよく言われるので、透析日の夜だけこの漢方を処方したら、まったくつらなくなりました。また、この処方は予防投与だけでなく、足が攣ったときに急いで飲むと効果を発揮します。漢方なのに即効性がある貴重な処方です。

    このように、素晴らしい効果を発揮する芍薬甘草湯ですが、一つ気をつけないといけないことがあります。甘草の副作用で使い過ぎると血圧が上がるのです。ある日急に上がり始めてびっくりしますが、漢方をやめれば下がります。しかし、この副作用はよくないので、私は治療が長期にわたる場合、四物湯を使います。芍薬甘草湯ほど即効性はないのですが、甘草を含まず、毎日飲めば足が攣るのを抑えてくれる働きがあります。