むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 痛風の治療

    最近、痛風発作の患者さんが何名か立て続けに来られました。痛風の発作は足の親指の付け根付近や足背、足首の関節などが突然炎症を起こして歩けないほどの激痛となるものです。原因は尿酸が関節に溜まってしまうことで炎症を起こすと言われています。健診などで尿酸が9を超えるようならいつ発作が起こるかわからない状態です。尿酸が上がる一番の原因はアルコールです。ビールが最も悪者でプリン体が含まれるのがいけないと言われており、プリン体ゼロのビールも売ってあります。しかし、プリン体ゼロのビールでも、もともとプリン体が含まれない焼酎やワインなどでも尿酸は上がります。痛風が怖いからハイボールにしている、というのは間違いです。節酒しましょう。

    発作時にロキソニンなどの痛み止めを使うことが多いと思いますが、これでは1週間たっても歩けないことがあります。先日来院した方は1ヶ月以上痛みが引かないと言われていました。まずは、痛みだけでなく炎症をしっかりとってやらないとなかなか治りません。当院ではロキソニンにあと3種類薬を組み合わせることでたいてい数日で歩けるレベルまで治ります。その際、尿酸治療は後回しです。慌てて尿酸を下げると、痛みが悪化すると言われています。足の痛いところをアイシング(冷や)したり湿布を貼るのもいいでしょう。また、当院では時々患部に針治療をします。非常に細い針ですが、わざと1,2滴血液を絞り出すと痛みが軽くなります。

    1週間ぐらい炎症を取り痛みが良くなったら、尿酸を下げる治療を開始します。昔は、ザイロリックとユリノームという2つの薬があったのですが、どちらも副作用の懸念がありました。今はフェブリクとユリスという新しい薬に置き換わって、副作用が非常に少なくなりました。そして、この度フェブリクのジェネリック薬が発売されることになりました。先発と同等の薬効で価格も安くなるので、患者さん負担も減ります。尿酸が高いのはお酒や美食のしすぎとは限らず、体質的なものが大きく関与しているため、治療が長期に渡ります。したがってジェネリック薬の発売は朗報です。

  • 世界高血圧デー

    5月17日は世界高血圧デーということで、診療が終わってからWEB講演会に参加しました。高血圧の話題です。ARBという種類の降圧剤が世に出たのがもう20年ぐらい前だったように記憶しています。当時は各メーカーがこぞって講演会を開いては、自分のところの薬を使ってくれと大プロモーション合戦がありました。それ以降ほとんど新しい降圧剤は出ていません。殆どの降圧剤はすでに特許が切れてジェネリック薬となり、安いのでメーカーは宣伝することもなくなりました。しかし、考えてみると、宣伝されたから使うというのはおかしな話です。いい薬はいいから使う。だめな薬はだめだから使わない。そういう筋の通った使い方をすべきです。製薬メーカーが講演会でプロモーションするときは心理作戦で洗脳してきますから、聞けばとてもいい薬のような気がして、使いたくなるように工夫されています。

    今、特許が切れたジェネリックの高血圧治療だと、処方する医師の考え方が処方を大きく左右します。特許が切れる前にたくさん使って使い慣れているというのが多いかもしれません。私が降圧薬にもとめる条件は1つ。降圧作用ができるだけ24時間は維持できるものということです。多くの降圧剤は半日程度しか効かないため、翌朝には効果が切れて血圧が上がってしまいます。私のお墨付きの半減期が長く安定した作用を持つ薬はアムロジピンとテルミサルタンの2つだけです。その2剤を合剤にしたミカムロという薬もあります。

    もう一つ、とっくに特許も切れており、1錠が10円くらいしかしない利尿剤系の降圧剤は誰も宣伝しませんが、非常に有用です。日本人は塩分摂取が多いので、塩分制限を厳しくすべきですが、それができないなら利尿剤を使って塩を尿中に捨てればいいのです。血圧はよく下がります。また、利尿剤系降圧剤は足のむくみや心不全も治療できるので、使わない手はありません。

  • コロナ禍の消化器症状

    来週、「コロナ禍の消化器症状に対する漢方治療」という講演を頼まれています。今日は本番一週間前ということで、WEB会議で講演の打ち合わせをしました。もうひとりの演者はこくぶ内科の田中先生です。私の古くからの漢方仲間です。田中先生の講演のスライドを見ましたが、不安、ストレスなどの漢方治療について話されます。本業は消化器内科の先生なのに、やはり漢方をやっていると心療内科的な治療に興味を持つんだということがわかりました。ただ、私が当院でよく見るような心療内科の患者さんと似たような症例でも、違う人がみると違う処方が出るものだと思いました。結果的にはどちらが正解ということはなく、漢方で気血水を整えてあげることで体調は改善するので、不安やうつなども軽くなるのだと思います。

    さて、そのコロナ禍での消化器症状ですが、どんな症例が多いと思いますか?食欲不振?腹痛下痢?それもありますが、実際には過食、肥満の方が多い印象です。在宅ワークで家にいると、ついお菓子を食べながら仕事するとか、中にはビールを昼間から飲みながら在宅ワークという人もいます。人から見られていないところで自制してきちんと仕事をこなすのがいかに難しいことか。やはり、職場に出勤してみんなと一緒に定時で仕事をして定時で帰宅するほうが効率が上がると思います。わたしたちが学生だった頃、夏休みなど一日をどう使ってもいいとなると、一日10時間勉強して宿題を3日で終わらせることもできるのに最後の最後まで遊び続けて、最終日に徹夜で宿題するという人がいかに多いことか。時間を自由に使えるときの時間配分は案外難しいものです。

    あと、コロナ禍で多いのは買い物に行くのを控えるために毎日似たような食材を使った料理ばかり食べている人。買い物に行ったり外食すれば、バライティーに富んだ食材を摂取できますが、あまり買い物に行かないと人参、じゃがいも、玉ねぎなど定番の食材しか食べず、日持ちのしない季節の野菜などは口に入らない。結果、栄養に偏りが出てきて体はもっと食べないと体を維持できないと指令を出すため、過食してしまいます。しかし、過食しても同じ食材ばかりでは結局必須アミノ酸やビタミンなどが満たされず、食欲はおさまらず、どんどん太ってしまうということになります。したがって、肥満防止の観点からも、多彩な食材をまんべんなく摂ることで体は満足し、過食しなくなるので太らないということです。

  • 三里木カリーノは楽しい

    晴れると思っていた日曜は小雨が降ったりやんだりの一日でした。こういう日が私にとっては阿蘇日和です。道があまり混まないのでドライブに最適です。今日は立野のどんどこ湯まで行きました。1時間以上温泉でのんびりして、帰りは三里木のサンリーカリーノ菊陽によりました。ここは私の好きな韓国料理ハヌルオンマの姉妹店があります。そこで少し早い晩御飯を食べ、モール内をブラブラしていたら、なんと韓流OZショップという店を発見しました。GWにオープンしたそうです。スナック菓子やインスタントラーメン、キムチその他の食材から韓国コスメまで何でもあります。たまたま、消費期限が今日までというキムチがあり、なんと7割引にしてくれました。キムチは長く置くと乳酸菌が発酵して酸っぱくなってきます。私はこの酸っぱいくらいのキムチが大好きです。韓国では、酸っぱくなりすぎたらキムチチゲにして食べるようです。私もチゲをよく作って食べますが、キムチを入れると一気に味が変わってしまうので、途中までは入れずに食べて、後半でキムチを入れて味変します。2度美味しいチゲの食べ方です。

    私がこんなに韓国料理にハマってしまったのは、コロナ禍で外出できない時にNetflixに加入して、毎日1時間ぐらい韓国ドラマを見始めたのがきっかけです。もうかれこれ2年以上見続けているので、韓国語がだいぶ分かるようになりました。今日は「サンカブ屋台」というドラマを見終わったのですがとてもおもしろかったです。このままではロス状態になるので、すぐに次のドラマを物色し、「海街チャチャチャ」というドラマを見始めました。第1話でうまくそのドラマの世界に入れたら最後まで楽しめます。

    韓国の話題のついででお酒の話を書きますが、最近はコンビニでも韓国の焼酎「チャミスル」やどぶろくの「マッコリ」などが買えるようになりました。チャミスルはフルーツ系のフレーバーが入ったものがたくさんあり、炭酸で割ったりするとかんたんにチューハイやレモンハイみたいになりますが、それほど美味しくはありません。マッコリは美味しいのですが、ラベルを見るととんでもなくたくさんの人工甘味料や怪しげな添加物の山で値段の高いものほど添加物が少ないような印象ですが、それでも日本の真面目なお酒造りに比べれば、ジャンクです。たくさん飲むと健康を害すと思います。

  • 認知症について

    今週はずっと雨でした。予想通り頭痛の患者さんが多い一週間でした。来週の予報を見ると、天気は持ち直すようですから、しばらくは梅雨入り前の一年で最も快適な時期を過ごせるようです。欧米ではジューンブライドというように6月が最もいい季節(結婚式に最適)とされていますが、日本も梅雨入り前は気持ちいいです。ちょうど、学校では体育祭が予定されているところも多いみたいです。土曜日は連休明けというのもあり、非常に込み合いました。座るところがなくて立って待っておられる方もいて、大変申し訳ありませんでした。

    さて、最近は認知症の相談も多くなっています。認知症は物忘れ、記憶障害という中核症状と、暴力的になったり性格が変わってしまったとか、昼夜逆転して夜中に徘徊するとか、物盗られ妄想のような周辺症状とに分けられます。認知症の中核症状(物忘れ)に効く薬は殆どありません。一方、周辺症状にはいろいろな薬があります。漢方薬もその一つです。したがって、物忘れを良くすることは難しいけど、家族に迷惑をかける暴力行為などは薬の力を借りてなんとか生活できるようにできるということです。

    それでも物忘れをなんとかできないかと言うのが、比較的認知症早期の相談に多いようです。進行してしまえば、物忘れ自体が悩みにもならないのですが、まだ早期だと、自分でも心配になるようです。まずは、物忘れしやすくなる睡眠薬、抗ヒスタミン剤(アレルギーの薬)などを減らすこと、そして頭に良いとされるビタミンやオメガ3などの油をとること、そして家でボーとテレビばかり見ないでデイサービスやリハビリなどに参加して活動的な毎日を過ごすことが大切です。