むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • GWはカレンダー通りです

    春だ、桜だと思っていたらもう4月も最後の週となりました。ゴールデンウイークもまもなくです。当院の営業日はカレンダー通りです。29日(金)はお休み、30日(土)と5月2日(月)は通常通り、5月3−5日はお休みです。お間違えの無いようよろしくおねがいします。

    心療内科をやっていると、5月には本当に5月病の患者さんが急増します。5月病とは、4月に新入社あるいは転勤や部署異動して新しい生活を始めた人たちがなれない仕事を1ヶ月頑張ったけどもう無理、と体が悲鳴をあげて朝起きれなくなったり吐き気や頭痛がひどくなって出勤できなくなるものです。そうならないためには、わからないことをためらわずに周りの人に聞くこと、できないことを自分の責任と責めないこと、この仕事は自分に向いていないと思わないことです。洋服を買うとき、自分で好みのものを買うとクローゼットの中は同じような色形のものばかりになってしまいます。たまに、人からプレゼントしてもらったりすると、自分では選ばないような色やデザインのものだったりします。自分ではその色は似合わないと思っていても、案外そういったものが似合ったりします。仕事も、自分で自分の枠を決めるのではなく、人に与えられた仕事が案外天職かもしれません。無理とか、自分らしくないとか思い込まずに与えられた環境を楽しみ、自分のものとする努力をしてみましょう。

    ところで、男の私でも容姿の老化は嫌です。特に白髪とか、目の周りのシワなどは年取って見えるのでなんとかしたいと思います。白髪は簡単に染められますが、目のシワは消すのが難しいですね。CMではドモホルンリンクルなど思い浮かびますが、効くのでしょうか?実は私は韓国コスメのアイクリームをいくつか試したのですが、効果は感じませんでした。ところが、数ヶ月前にiHerbで買った高濃度レチノール(ビタミンA誘導体)アイクリームはすごいです。シワが薄くなり肌に張りが出てきました。https://jp.iherb.com/pr/yeouth-retinol-eye-cream-1-fl-oz-30-ml/81493 あくまでも個人的感想です。商品を推奨するものではありません。少し刺激があるので敏感肌の人は気をつけてください。

    今日は2万3500歩あるきました!

  • 魔法の薬その4:五苓散

    3日連続で私の好きな漢方処方の解説をしました。どれも使い方がいくつもあって、万能薬です。漢方は本当に面白いです。こんなふうに処方解説をすれば延々できるのですが、読んでいる方もだんだん飽きてくるかと思いますので、今日までとします。最後に、魔法の薬その4は五苓散です。五苓散は体内の過剰な水分を調整してくれるのですが、西洋薬の利尿剤と違って過剰な水分がないときは水を抜く働きはありません。したがって、脱水になる心配はないのです。

    40歳女性。看護師。立ち仕事のため夕方になると足がむくむ。仕事が休みの日はむくみも軽い。夜に仕事から帰って五苓散を飲むとむくみは取れるが夜間のトイレの回数が増えるので、日勤の日は朝から飲むようにすると、あまりむくまなくなった。結局、冷え性や生理痛もあったので五苓散を当帰芍薬散に変えて定期で飲むようにしたところ、体調全般がよくなった。

    50歳男性。会社員。コロナ前の話ですが、接待でお酒を飲む機会が多いが、お酒が強いわけではなく二日酔いすることが多い。頭痛、吐き気など困っている。五苓散を宴会の前に飲んでおくと二日酔いの頭痛や吐き気が軽くなる。飲みに行く前に1包、帰宅して1包、そして翌朝もう1包という飲み方。黄連解毒湯を合わせると更に効果的ですが、五苓散+黄連解毒湯を飲む前に飲んでおくと酔いが回りません。接待する側で酔って失敗してはいけないときは飲んでおくといいでしょう。昔は製薬会社のMRさんたちは毎年12月になるとこの処方をもらいに来ていました。

    10歳男性。クラスで流行っている胃腸炎に罹った。嘔吐下痢がひどい。胃腸炎は前回書いた黄連解毒湯が著効しますが、子供の場合黄連解毒湯が飲めないときは五苓散がいいと思います。水をたくさん使って飲むとまた吐いてしまうので少量の水で飲むと吐き気もおさまり、下痢も止まります。大人は黄連解毒湯のほうが効きますが、場合によっては五苓散と黄連解毒湯を合わせて使います。奇しくも上述の二日酔いのときと同じ組み合わせになります。

    25歳女性、生理前や雨の前に頭痛がひどい。五苓散を毎月生理前の2週間だけ飲むようになり鎮痛剤がほとんどいらなくなった。天気が下り坂のときは天気予報を見た時点で予防的に五苓散を飲むと頭痛はコントロールできるようになった。このように、五苓散も魔法の薬です。

    LEGO(レゴ)の生け花

  • 黄連解毒湯:魔法の薬その3

    私が好んで使う魔法の薬3つ目は黄連解毒湯です。苦い処方なので当院ではカプセル製剤を採用しています。体を冷やしてくれる薬の代表です。

    50歳女性。更年期で上半身がカーと熱くなり汗が滝のように流れる。婦人科で加味逍遥散をもらって飲んでいるがおさまらないため来院。黄連解毒湯を追加して様子を見たところ、上半身の熱感は改善した。

    40歳男性。口内炎ができた。痛くて食事が取れない。口内炎は仕事が忙しく無理したときや宴会が続くとしょっちゅうできる。そのたびに痛みが酷くつらい思いをしていた。食前に黄連解毒湯をカプセルから出して苦い粉を口に含んでしばらくしたら飲み込むように指示した。痛みはまたたく間に軽くなり食事を摂ることができるようになった。しばらくするとまた痛くなるので、毎食前に同じ飲み方をしたら数日で口内炎も改善した。

    30歳女性。昨日から子供が感染性胃腸炎になり、世話をしていたら今朝になって腹痛、吐き気、下痢となった。黄連解毒湯を処方したところ、3日目には完全に良くなった。感染性胃腸炎は漢方ではすぐ治りますが、胃薬や整腸剤では1週間ぐらい治りません。当院で胃腸炎で食事が取れず点滴までする人は年に3−4人くらいしかいません。ほぼ全例黄連解毒湯で治ります。

    15歳男性。バトミントン部で、真夏の暑い日に風も吹かない体育館内で毎日練習をしている。ある朝、頭痛、吐き気などで体調不良となり来院。熱中症の診断で黄連解毒湯を処方。数日で回復し、それ以降毎年夏の練習時にはこの処方を欠かさない。ある夏の日、サッカーの試合があり、父兄も応援に参加していたところ、熱中症で倒れた父兄がいた。すぐ木陰に移動して体を冷やした。たまたま私が処方した黄連解毒湯を持っていた父兄が、その人に1回分飲ませたところ、まもなく元気になり、歩いて帰宅できた。その他、ビニールハウスで作業する農家の人や炎天下交通整理をする警備会社の社員さんなど、毎年梅雨明けと同時に黄連解毒湯をとりにきます。魔法のようによく効きます。

  • 抑肝散加陳皮半夏:魔法の薬2

    昨日に続いて私がとても良く使う抑肝散加陳皮半夏をご紹介します。。抑肝散というもともとの処方に陳皮(みかんの皮を干したもの)と半夏という生薬を加えたものというネーミングです。

    その1:50歳女性。子供と夫がコロナの影響でリモートワーク(学習)となり、みんな家にいる用になり、ストレスでイライラしたり、眠れなくなったりで体調不良。家事、自分の仕事に加えて、子供や夫の面倒まで見ないといけない。抑肝散加陳皮半夏を処方したところ、気分が落ち着き眠れるようになった。

    その2:45歳女性。事務職。年度末でいつもにまして忙しい。そんななか上司が嫌がらせとも思えるような仕事を振ってくるため、昼休みもゆっくりとれない。文句を言い返したりするのも面倒なのでぐっと我慢して仕事をこなしているが、次第に仕事に対するやる気も出なくなり、突然涙が出たりする。朝から仕事に行こうとすると吐き気がしたり頭痛がしたりする。抗うつ薬に加えて抑肝散加陳皮半夏を処方した。抗うつ薬は効果が出るまでに1週間以上かかるが、抑肝散加陳皮半夏は即効性があり、飲み始めてすぐ気分が穏やかになる。抗うつ剤が効いてくるまでのつなぎとしても大変有用である。

    その3:40歳女性。慢性頭痛。もともと片頭痛体質で、生理前や天気が悪くなる前に頭痛がしていた。最近子育てのストレスもあり、肩こりがひどく頭を締め付けるような頭痛が毎日ある。イブを一日2回朝夕毎日使っている。これは、薬物乱用型頭痛です。頭痛外来に行けば、頭痛薬を飲むな、我慢しろと言われます。当院ではこういう患者さんに抑肝散加陳皮半夏を処方します。飲んでもらうと、頭痛がだんだん減ってきて鎮痛剤を使わなくて良くなります。頭痛薬中毒みたいな悪循環が簡単に断ち切れます。

    その4:35歳男性。会社員。就職して仕事にもなれたところだったが、この春部署異動となった。仕事はわからないことばかりだが、周りに教えてくれる人もいない。会議に出るため資料を準備をしていると、目がピクついてしかたない。抑肝散加陳皮半夏を処方したところ、数日で目のぴくつきは良くなった。

    すごいですね、魔法の薬。大好きな処方です。

    たんぽぽはタネが飛ぶ前に草取りしないと来年が大変です

  • 苓桂朮甘湯:魔法の薬

    琴平にオープンした韓国系スーパーYESマートでキムチペースト(浅漬けにまぶして漬け込むとキムチができる)を買ってきていたのですが、キムチを一から作るのは面倒。買ってきたキムチに混ぜてみたらすごく本格的な味になるのですが、少し塩気が強くなりすぎる。しばらく使いみちを考えていました。先日スーパーで摘果メロンが売ってあったので買ってきました。きゅうりよりほんのり甘くて上品なウリの味。これを薄切りにしてキムチペーストと混ぜて重しを載せて漬け込んでみたところ、素晴らしい味のキムチができました。早く乳酸発酵するように、できているキムチの汁をスプンですくって混ぜたのも良かったみたいです。みんなに振る舞ってあげたいくらい美味しい!ご飯が進みます。

    ところで、当院で私がよく使う漢方のNo1が苓桂朮甘湯です。通常はめまいの薬として、めまいがしたり立ちくらみ体質の人が飲むと良くなります。しかし、私はこの漢方をいろんなところで使い、素晴らしい効果を上げています。いくつかご紹介しましょう。まずは、慢性頭痛の28歳の女性。年中頭痛がするのでイブなどの頭痛薬を欠かせない。生理前や雨が降る前は特に調子悪い。苓桂朮甘湯を朝夕飲み始めたら頭痛が減って、ほとんど鎮痛剤を使う必要がないくらい良くなりました。

    次に、中学3年生の男子。2年生の2学期頃から朝起きられなくなりいちど目が冷めても昼ごろまでエンジンがかからずゴロゴロしている。午後になりやっと体が動くようになり、時々学校に行くが、休むことが多く出席日数も心配。受験生なので、勉強の遅れも気にしている。起立性調節障害の診断ですが、漢方的にはフクロウ体質と呼びます。漢方の粉薬は苦手とのことで、錠剤の苓桂朮甘湯を始めたところ、朝起きもできるようになり、遅刻せず学校に行けるようになりました。

    次に、35歳女性。家庭のストレスで動悸がするようになった。突然心臓がバクバクなって何もできない。これは漢方では奔豚といいます。苓桂朮甘湯を始めたら動悸の発作はかなり減って来ました。苓桂朮甘湯はこのようにいろんなコマッタを助けてくれる魔法の薬です。

    ボタン:根っこは漢方薬になります。中国の国花ですね