むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 刑事コロンボ

    土曜日はいつも混雑するので、朝から気合を入れて準備します。今日も午前の診療で70名を超す患者さんで、通常の平日の人数が午前中に一気に来院された感じです。ほとんどの方が血圧や糖尿の再診なので、あまり時間はかかりませんが、なかにはいろんな相談事や体調不良のために時間がかかる場合があります。せっかく遠方から、ここなら話を聞いてもらえるかもしれないと来院される場合もあるので、できるだけ丁寧に時間をとっているつもりです。なかには、いつもの薬さえもらえれば、無駄に話などしなくていいという場合もあるので、それぞれの患者さんがどちらを望んでいるのかを見極めながら、テキパキと診療を進めるようにしています。

    それでも、一見雑談風に見えても、その中から患者さんの健康状態や精神状態を把握することができる場合もあるし、家族構成やその家庭内での問題点などが明らかになる場合もあるので、忙しくて患者さんを次次に診たい気持ちを抑えながらちょっと一言話題を振ってみたりもしています。漢方の処方を決める時などは、そのちょっとした一言がとても重要な情報であることがあります。むかし、T Vで日曜洋画劇場という番組があり、刑事コロンボという映画をよくやっていました。そのコロンボは情報を集めるためにいろんな聞き取りをするのですが「それでは失礼」と玄関を出て行ったかと思った瞬間、「あっ、すいません、大事なことを聞き忘れていました」と頭をかきながら戻ってきて決定的なことを聞きます。これと同じ。刑事さんがやっと帰ったと気を抜いた瞬間戻ってきて質問されると、不意打ちをくらったようにぽろっと大事なことを話してしまうのです。

    私たち医師は別に患者さんの秘密を探っているわけではないのですが、たまにこの刑事コロンボの手法を真似することがあります。実は、大学で問診の仕方を習う授業でこういうテクニックを習ったことがあります。多弁な患者さんは情報をたくさん提供しているかのように見えて、実は大事なことを言わずに隠していることがあります。診断に必要な場合は、それをいかに聞き出すかが、駆け引きみたいになる場合があります。医者や弁護士は守秘義務があるし、クライアントの味方になる仕事をしているので、大事なことを隠さず話していただいた方が解決への近道です。