むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 葛根湯

    風邪に葛根湯というのは誰でも知っていると思う。しかし、葛根湯の特徴や使い方はあまりきちんと知られていない。

    葛根湯は寒気(悪寒)と頭痛がするときに飲む薬なので、イメージとしてはインフルエンザの初期。ゾクゾクしてきて、後頭部が重く痛む。熱を測ると38度くらいある。鳥肌が立っていて、汗ばんだ感じはない。

    そういう状況で一服飲むと、体が温まり、寒気と頭痛が和らぎ、ほのかに汗ばんできて熱が下がる。

    ところが、今の季節の夏風邪は、症状が全く違う。熱い。熱を測ると39度。気温が高いから鬱熱している。だるい。寒気はない。じっとり汗をかいていて気持ち悪い。こういう症状は決して葛根湯の適応ではない。葛根湯で体を温め、汗をかかせる治療というのは、最初から病態にあっていない。それを「風邪には葛根湯」と思って飲んでも全く効かないばかりか、かえって調子が悪くなるかもしれない。夏風邪には日本にある漢方薬ではなかなかいい処方がないのが現状だ。中国には桑菊飲や天津感冒片という処方があり、日本でも横浜や神戸の中華街の漢方薬局には売ってあったので、買ったことがあるが、扱っているところは少ない。保険適応でもないので、病院では処方できない。

    そこで、夏風邪は僕の場合西洋薬治療が多い。そこは、漢方にあまりとらわれずに、ベストの治療法を考える。

    今朝NHKを見ていたら夏型過敏性肺炎というこの季節独特の肺炎の話をしていた。僕の外来にもちょうど昨日それを疑う人がいたので、印象的だ。その患者さんは、この春に京都から熊本に引っ越してきて、それ以来微熱と咳が止まらないと言っていた。京都に帰ったら咳が止まったりしませんか?と聞いたが、はっきりしなかった。しかし、高温多湿の熊本では、カビが原因の肺炎が見られる。特にキッチンや風呂場の風通しを良くして、拭き掃除など丁寧にしたほうがいい。テレビでは、アルコールスプレーが除菌に効果的だと言っていた。

    また、最近マイコプラズマによるしつこい咳も結構多い。以前からオリンピックの年にマイコプラズマは流行していたが、今年はオリンピックもあるしなんとなく多い気がする。これも適切な抗生剤を使わないとうまく治らない。

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    クリニックの玄関周りには植栽が植えられた。暑い日が続くので水やりが大変そうだ。枯らさないようにしないと・・・。