むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 炭水化物も大事

    昨日入手した三石巌先生の本を読んでいて、気がついたことがありました。三石先生は糖質(炭水化物)もある程度取らないといけないと言っています。藤川理論では糖質を制限するので、三石先生も同じだと思っていました。多分以前別の三石先生の本で読んだと思うのですが、うっかり忘れていました。三石理論でも、体に絶対必要なタンパク質をできるだけたくさん取らないといけないのですが、糖質(炭水化物)の摂取が少なすぎると、せっかくとったタンパク質から糖新生(体内でブドウ糖を合成)するため、蛋白が有効利用されず、エネルギーとして燃やされてしまう。しかも、炭水化物を消化分解して得られるブドウ糖と比べると蛋白から合成される糖新生のステップは複雑です。それだけ無駄なステップを要するのです。したがって、せっかくとったタンパク質を燃やしてしまわないようにするためには、ある程度の炭水化物摂取をすべきだとの理論です。

    もう一つ気づいたのは、三石先生が日頃自分でとっていたサプリの中にレシチンがあったことです。レシチンは私もとっています。卵黄レシチンです。安い大豆レシチンもありますが、私自身飲み比べた感想では、卵黄レシチンがいいです。頭が冴えます。一日中絶え間なく診察していてボーとしないのは卵黄レシチンのおかげです。最近よくあるのが、物忘れがひどくなってきたので認知症の薬を出してほしい、という話です。家族から頼まれることが多いです。

    日本にはいくつか認知症に保険が認められている薬がありますが、どれも殆ど効きません。もったいないので、私はほとんど処方しません。すると、家族は精神科に連れて行って認知症の薬を出してもらってこられます。しかし良くなったケースは殆どありません。そんな家族からなんとかなりませんかと相談を受けると、いつも、一言でこの薬を飲んだらいいとか言えるほど認知症の治療は簡単ではない。説明には本1冊分くらいの情報量が必要となる、といいます。その中で、認知症の予防や治療に絶対必要だと思うのが、卵黄レシチンとDHA/EPA(魚油)、ココナッツ油などです。もちろん栄養だけでなく、運動や脳トレなど総合的に取り組まなければ難しいです。認知症はそれほど手強いのです。保険外(自費)でいくら頑張れるかが大事だと思います。

    肉(タンパク質)を食べよう 当院から車で1分 ドラゴンキッチンにて

  • 三石巌先生の新刊ゲット

    私の実践している分子栄養学(メガビタミン療法など)は通称藤川理論と言います。広島の藤川先生が有効性を確認し、多くの著書を書かれています。私はその本で学んで真似しているわけです。実は、この藤川先生の理論には更に基礎となる先生がいます。それは、三石巌先生です。物理学者なのですが引退後、分子生物学、医学、薬理学、栄養学などを学び、卓越した科学的センスにより独自の理論を打ち立てられ、現在の分子栄養学の基礎を作られた方です。なんと、81歳でビタミンなどのサプリメント会社を起業されています。そして、残念ながら95歳で亡くなられているのですが、92歳のときに書かれた著書が文庫化されて、今月発売となりました。早速アマゾンで予約していたら、今日届きました。「人生100年時代の新・健康常識 医者いらず 老いしらず」というタイトルです。

    私は分子栄養学を学ぶため、三石先生の本はほとんど全部読みました。素晴らしい著書ばかりです。そして、今日届いた本も素晴らしいです。92歳でこんなにすごい本がかけるのですね。三石理論は科学的事実に基づいているので時代がたっても風化しません。いつ読んでも真実で、新鮮なのです。藤川先生の本はドクターらしく実際の症例などから得られた治療のヒントが書かれていますが、三石先生の本はサイエンスです。遺伝子のこと、タンパク質の代謝のことなどが書かれているので、最低でも高校3年生(大学受験)レベルの生物学的知識がないと読んでも理解できないかもしれません。

    私は高校時代から年間50冊は本を読むようにしています。高校時代は三島由紀夫とか渡辺淳一などが好きでした。大学時代は村上春樹、椎名誠などが好きでした。医者になってからは乱読ですが、実用書(医学書)を読むことが多くてこれといってハマった作家はありません。そして今、三石巌先生です。手に入る本は殆ど買って読みました。私の読書人生でベスト3に入る作家(?)です。

  • GoTo試してみましたか?

    この日曜は東洋医学会の役員会があるのですが、このご時世ですからオンライン会議です。例年だと福岡まで行っていたのですが、今年は自宅で参加できます。ありがたいことです。リアルの会議だと、沖縄から出席される先生の都合などもあり午後2時頃から夕方までの会議で、終わりも福岡ー那覇便に間に合う時間で終了していました。今年は、オンライン会議なので飛行機などの心配はないのですが、なぜか例年と同じ時間帯に会議があります。日曜の午後2時から4時にかけてです。これでは日曜が潰れるのはリアル会議のときと同じです。

    WEBのいいところは移動しなくていいところ。それなら、いっそ夜の8時頃から始めてもらいたい。2時間でも夜の10時に終われば十分でしょう。そうすれば日曜はいつもの通りご飯を食べたり床屋に行ったり温泉に行ったりできます。それが、午後の真ん中に会議を入れられると何もできません。まあ、WIFIさえあれば会議に参加できるのでやろうと思えば阿蘇の温泉宿にでも行ってお風呂に入って浴衣姿でオンライン会議なんてありだと思うのですが、まだそこまでする勇気はありません。おとなしく日曜日を潰して自宅待機です。

    そういえば、GoToトラベルの給付金は予算の底をつきそうだというニュースがありました。旅行にいくのも大変だけど、給付金がもらえるならホテルに泊まってみるのもいいなと思い、ネットを検索してみました。そしたら、なんとANAクラウンプラザホテル熊本・ニュースカイが3889円で泊まれるみたいです!これなら、週末一泊してホテルのラウンジでお酒でも飲んで旅行気分を楽しむのもいいかもしれません。

  • ミラクル漢方

    長年漢方をやっていると、ときどき眼を見張るような効果が出ることがあります。今日もそのような症例がいくつもありました。我ながら感動です。症例1;ずっと朝起きができないで困っていた学生さん。しばらくは漢方治療が効いていたのですが、このところまた起きられなくなったとのこと。麻杏薏甘湯を出したところ、スッキリ目が覚めるようになった。学校にもバイトにも行けるようになり、感謝された。症例2:5年前から体が熱くて寝る時布団をはいだり着たりで忙しい。ほてって眠れないが誰に相談しても治らなかった。白虎加人参湯と六味地黄丸を併用したところ、数日で5年来のほてりが改善しました、とのこと。感謝されました。

    症例3:歯肉の慢性炎症で常に化膿している。ひどくなったら歯科で抗生剤などの治療をするが、治ってもすぐまた悪化するとのこと。補中益気湯を処方したところ、それ以来歯肉は化膿しなくなった。やはりしつこい感染症では強い抗菌剤より免疫をアップすることが大切です。症例4:月経不順で1ヶ月のうち2週間位生理の出血がとまらない。当帰芍薬散と芎帰膠艾湯を処方したところ生理は正常化した。症例5:慢性腎臓病(CKD)で腎機能eGFRの低下を指摘された。防已黄耆湯を開始したところ、腎機能は正常化した。西洋薬にはeGFRを正常化する処方はありません。腎臓専門医は塩分制限やコレステロールの治療しかしませんが、実はCKDの多くは漢方が著効します。

    このように、西洋薬ではどうにもならない症例がどんどん来院されますが、奇跡とも思えるような漢方の効果で皆さんには喜んでいただいています。もちろん全例にミラクルはありませんが、大学病院までいっても治らなかったような場合でも諦めないでください。西洋医学は医学のほんの一部です。東洋医学(漢方や鍼治療)という手があるのに試さない手はありません。

  • この冬、インフル検査は省略して処方します

    「COVID-19流行下でのインフルエンザ治療を考える」というタイトルで国立国際医療研究センターの照屋勝治先生の講演があったので参加しました。WEB講演なので自宅から聴講できました。WEB講演は本当に便利でいいです。熊本の耳鼻科の勉強会でしたが、内科の私もパスワードをもらって入れてもらいました。演題の通り、今年の冬はコロナとインフルのどっちかわからないような症例が来院されることは必至です。そういう場合、どのように対応するかというのは今のうちに考えておかないといけません。

    実は、先日、当院でもスタッフミーティングがあり、この冬の発熱患者さんをどう扱うかの対応策を話し合いました。患者さんの治療だけでなく、スタッフの安全も考えないといけないので、正義感や奉仕の心だけで診療するわけにはいきません。皆が安全で最良の結果を得られるにはどうしたらいいか。私の結論は、発熱患者さんで、インフルエンザかコロナかはっきりしない場合、検査はしないでタミフルを処方するというものです。インフルなら2−3日で軽快します。7−8割のコロナ患者は漢方で治ったという武漢からの報告がありますから心配いりません。私は漢方の専門なので、タミフルだけでなく漢方を併用して処方します。どっちであっても効くと思います。ハイブリッド治療です。

    今日の講演でも、防護服のないクリニックでインフルエンザを検査するのは危険。怪しい症例は検査せずに抗ウイルス剤を48時間以内に投与すること。治らなかったらPCRのできる病院に行ってもらうこと、と言っていました。まさに私の考えた当院の方針と一致した見解でした。患者さんにお願いです。検査してくれと駄々をこねないでください。マスクを外して鼻に綿棒を入れる検査がいちばんリスクが高いのです。