むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 漢方の有効性と限界

    気温が下がって快適そのものです。私は日中はエアコンの効いた院内で過ごすので仕事中は快適なのですが、昼に訪問診療すると灼熱地獄の車移動、ついた高齢者の部屋がエアコンが入っていなくてサウナ状態、帰宅後犬の散歩が暑い、と結構暑くて辛い時間もありました。しかし、今週に入って気温が急に下がってきたので、快適です。まだ半袖でちょうどいいです。患者さんに聞くと、暑くて運動できなかったけど、涼しくなったのでまた始めます、と言われます。また更年期で汗があふれるように出ていた人は、ちょっと症状が落ち着いてきています。本当にいい季節です。しかし、熊本の秋は短く、あっという間に冬になります。熊本は内陸性気候で寒暖差が大きいので九州各県の中でも寒さが厳しいところです。貴重な秋の快適な毎日を有意義に過ごしたいものです。

    漢方の話を書こうと思います。漢方は西洋医学と違って診断がついていなくても処方(治療法)があります。それは、西洋医学的な診断ではなく、陰陽寒熱虚実、気血水などのバランスを考えるので、西洋医学的に難しい病名でも体の崩れたバランスを整える処方を考えれば治療法はいくらでもあるということなのです。先日書いたように、コロナ後遺症は西洋医学では太刀打ちできませんが漢方を駆使するとかなりの成績を上げることができます。がん患者さんでも、手術するほどの効果はないにしろ、症状を緩和して気持ちを落ち着け、苦しみを緩和する作用は期待できます。最近の中国では抗癌作用のある生薬も積極的に使われており、当院でも希望者には煎じ薬でそのような処方を行っています。

    一方、万能に見える漢方でも難しいのが、加齢による変化です。耳鳴り、耳が遠い、物忘れなどです。もちろん漢方的な理論で治療法の原則はあるのですが、そのとおりに処方しても効果が出る人は僅かです。歳のせいとはよく言ったもので、それが自然だとすると、自然に逆らう医療というのはそうそう簡単ではありません。