むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 登山は正面突破だけではない

    お盆休み明けは予想通り相当多くの患者さんで混み合いました。休みに入る前にこられた患者さんで、とても変わった症状のためいったいどう治していいのかその方法が謎の患者さんがいました。詳しくはかけませんが、病態を類推して、治療仮説を立てます。こうやったら治せるかもしれない、とひらめいたら、次に2ー3パタンの治療法を考えます。登山でも正面からアタックするだけが道ではなく、東西南北どちらからも道があり、どれか一つが正解ということはありません。したがって、最も効果的で副作用の少ない方法を考えるのです。正面突破しか思いつかなかったときは、あとで考えればなにか考えが足りなかったりとらわれやこだわりに惑わされていた可能性があります。

    そんな感じで治療方針をあれこれ考えた挙句、これで行こうと処方した患者さんが、休み明けて来院されたわけです。聞いてみるとずいぶんよくなっていました。病態の把握と治療方針が間違っていなかったということです。謎の病気だなーと思っていても、こうして元気になってくれると嬉しいものです。そして、こういう経験の積み重ねが、次に来る謎のような難病患者さんの治療方針を解く鍵となってストックされます。

    わたしたちでさえいろんな情報にとらわれたりこだわったりします。もちろん患者さんもそういう傾向が多分にあります。睡眠薬は怖いとか、漢方は安全とか、思い込んでいます。治療の方針にはいくつもあり患者さんごとに最適と思われる方法を一緒に考えていくのが一番であり、過剰なこだわりやとらわれはメリットが少ないと思います。