むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • ひきこもりの時代

    引きこもりの時代です。緊急事態宣言は解除されて店の営業は元通りになったはずですが、街の人通りはまだ以前ほどではありません。みんな引きこもり生活に慣れてしまったようです。それでも、外出自粛の間にストレスが溜まってノイローゼみたいになった、という患者さんがたくさん来院されます。逆に、外出自粛で会社にもいかなくて良かったし、ストレスフリーでよかったです、という人もいます。引きこもりの人ほど生きやすい世の中になりました。

    古い世代のお父さんお母さんたちは子供や孫が家に引きこもっていると心配しますが、引きこもりほど最先端なのです。今の時代、率先して家に引きこもります。そして、楽しいゲームや映画などを見て過ごすことでしょう。日頃、引きこもりをバカにするかのように出ずっぱりで友人と会って会食して、旅行して、という生活をしていた人は、することがなくなって辛い毎日です。

    もう一つ皮肉なのは、去年の就活で文系人気ランキング。1位がJTB、その少し下にANA(全日空)、どちらもコロナの影響で旅行が控えられ大打撃です。ついこの前まで人気ナンバーワンだったところが瀕死の状態です。逆に、オタクとか、引きこもりと言われていた人達が生き生きと我が物顔で暮らせる時代になったのです。長い人生、何がいいか悪いか分かりませんね。

    ドラゴンキッチンにて。給付金はパッと使って経済を回しましょう!

  • 新コロの新情報

    Yahooニュース(現代ビジネス6/18配信)を見ていたらとてもいい情報がありましたのでご紹介したいと思います。武漢での最近のPCRを使った研究です。無症状の新コロ陽性患者さんの自宅に行って、その人たちの生活環境からどのくらいウイルスが検出されるかというもの。検査したのはマスク、コップ、携帯、家具、ドアノブ、トイレ、歯ブラシなど合計3343検体。結果は驚いたことにどこからもウイルスが検出されなかったということ。つまり、発熱も咳も何もない陽性患者さんの生活環境には物を介してほとんど人に移すような心配はないということです。

    もう一つ、同じ武漢での研究で、公共施設の生活環境をランダムに調査した検討。バス、タクシー、電車、モール、レストランなど皆が立ち寄る場所からサンプルを2314検体採取してPCR検査した結果、どこからもウイルスは検出されなかったそうです。うれしいニュースですね。身の回りの生活環境はそれほど神経質にならなくていいということです。武漢でこのデータですから、几帳面に掃除や消毒する日本の生活環境はさらにクリーンだと思われます。それにしても中国はすごいです。日本は必要な人の検査も渋っているのに、中国では人の検査は一通り終えて、生活環境の調査に及んでいます。

    >ネタ元:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73360

    もう一つ、車の中で聞いた情報なので、うろ覚えですが、新コロ陽性患者さんのリスク解析で、最も相関関係が高かったのは人口密度だったそうです。やはり、人混みを避けるのが一番みたいです。このように、きちんと情報を得て、自分でどう行動すべきかを考えれば、何も怖いことはありません。神経質になり過ぎて体調を壊しては元も子もありません。

  • 慢性腎臓病(CKD)の管理

    慢性腎臓病(CKD)は検診で指摘されることが多く、将来透析になるかもしれないので注意しなさいと、非常に脅かされる疾患の一つです。あまりに軽症の人が病院で脅されて、栄養指導などを受けた挙句に何を食べたらいいか分からない、あんな薄味では美味しくない、タンパク質をあまりとらずに炭水化物と油ものだけでは辛い、ということで相談に来られます。私が思うに、それほど厳しい制限をしないといけない人はごくわずかで、脅かされている人達のわずか1割程度ではないかと思います。塩分に気をつけるのは必要ですが、蛋白はきちんととらないと足腰の筋肉が弱ってしまいます。日本人は元々蛋白摂取が少ないのであまり気にしないでいいと思われます。残念ながらCKDが進んでしまっても諦めないでください。ある種の漢方はCKDにとてもよく効きます。

    CKD管理で大事なのは、血圧管理、コレステロールの管理、血糖の管理の3つです。こういう疾患(高血圧や糖尿病)は薬での管理が難しくありませんから、是非きちんと治療するべきです。その結果、腎機能の悪化を防ぐことができます。特に糖尿病は糖尿病性腎症といって、長い病歴と共に腎機能が悪くなる例が多いので注意が必要です。最近出たSGLT2阻害剤という糖尿治療薬は腎機能を改善することがわかっているので是非使った方がいいのですが、古いくすりにはそのような効果は期待できません。

    たまに、この薬は高いのでジェネリックに変えてください、と言われますが、残念ながらSGLT2はまだ新しいのでジェネリックがありません。ただ、糖尿は血糖を下げればいいという問題ではなく、どの薬で下げるかによって心不全や腎不全の予防効果に大きな差があるので、安いジェネリックで血糖だけ下げただけでは意味がないということをしっておくべきです。

  • 骨を丈夫にするには

    梅雨の中休みで久しぶりに晴れたら、患者さんが集中して来院されました。待ち時間がいつもより長くなってすみませんでした。新患の場合、どんなことに困っているのかを詳細に聞いて理解しないと、表面上の頭が痛いとかめまいがするといった症状だけを直そうとしてもうまくいきません。その背景にある生活習慣やストレスの問題など、根本的な原因をさぐります。本人が気付いていない場合もありますから、話してくれないところまでこちらから尋ねます。そこで時間がかかってしまいます。

    ところで、当院は内科ですが、骨粗鬆症の検査や治療も行っています。当院の骨粗鬆症の検査は手のレントゲンを撮って指の骨量を計測するものです。治療も、週1回の薬や毎日飲むタイプのビタミンD製剤、半年に1回でいい注射製剤など取り揃えています。一番多いのは、ボナロン(アレンドロン酸)という週1回タイプです。この薬は骨量を増やすのですが、一つ注意が必要です。顎骨壊死という副作用が報告されているため、歯を抜いたりする処置の際には薬を止めておく必要があります。歯医者さんが治療の前にお薬手帳で確認してくれると思いますが、気づかずに処置されるような可能性もありますから、患者さん本人が知っておいた方がいいと思います。

    骨はカルシウムでできているから骨粗鬆症の薬で骨密度を上げて、カルシウムたっぷりの牛乳を毎日飲めばいいと思っているかもしれませんが、それは間違いです。例えば、宇宙飛行士は無重力空間に数日いると急激に骨が弱ってスカスカになります。重力がないと体重を骨で支えなくていいからです。そのことから考えると、きちんと骨に体重をかけて動くことが骨を強くする鍵となるわけです。その場でジャンプしたりするのが非常に有効です。寝たきりとか、一日部屋でTVを見て過ごす、みたいな生活だと薬を飲んでも骨は強くなりませんよ。

    シャワー通りの地中海料理 Cocina Uchida(コシーナ ウチダ)。猪肉の煮込みアーモンドソース

  • 夏バテは漢方で治す

    夏によく使う漢方があります。清暑益気湯といいます。補中益気湯は有名ですが、似たような処方で、全身倦怠感や食欲不振を治療する処方です。補中益氣湯と異なる点は、体を冷ましてくれる(清熱)作用がある点です。したがって、夏バテには最適な薬です。暑さのせいで体がきついとか、食欲がないといった場合に抜群に効きます。しかし、夏バテは1つではありません。いろんなパタンがあるので、それなりに頭を使わないと治療効果は落ちます。

    暑いので冷たい食べ物や飲み物を取り過ぎたら、お腹が冷えて体調不良となります。体は体温を維持するために冷えたお腹にどんどんエネルギーを使って温めます。それだけでもむだに体力を使うのでバテてしまいます。疲れやすい人は常温以上の暖かい飲食をとるようにに気をつけるべきです。夏の水分はできるだけ(冷やしていない)水がおすすめです。お茶やコーヒーではカフェインに利尿作用があります。お酒にも利尿作用があります。すると、せっかく取った水分が尿となり体から抜けるので脱水の補正効果が薄れてしまいます。また、スポーツドリンクやビタミン配合のドリンクなどは健康に良さそうですが、私は飲みません。過剰な甘味料や香料が入っているからです。

    炎天下で仕事をする人(農業、建築、スポーツ、工事現場で働くなど)には清暑益気湯だけでは不十分なことがおおく、もっと多量の清熱剤(黄連解毒湯や温清飲)を使います。口渇がひどい場合は白虎加人参湯を併用します。このような工夫をすることで、夏を快適に過ごせます。備えあれば憂いなし。