むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 白内障の原因と予防

    うちの犬は9歳半くらいなのですが、眼をよく見ると白内障が始まっています。もう歳なんだなーと思います。しかし、白内障は単なる加齢現象ではありません。水晶体という目のレンズの部分が紫外線などの影響で濁ってくる病気です。放射線を目に浴びたり、眼をケガした場合も白内障になりますが、多くは酸化だと思います。そこで、うちのゴンのことを考えると、散歩は私が仕事から帰って夜にしか外に出ませんから、ほとんど紫外線を浴びることはありません。昼間も室内犬なので直射日光は当たりません。では、どうして9年ぐらいで白内障が出てくるのでしょうか?

    犬は人より歳を取るスピードが早く、1年が人の6年分くらいとか言いますから、9歳の犬なら54歳です。私より年寄りです。でも、不思議です。眼のタンパク質の歳は6倍することなく、紛れもなく9歳なのです。ということは人なら小学生です。ふつう白内障などあり得ません。では、何が眼の老化を促進しているのか?考えたら、やはり食事だと思います。

    ドッグフードは高脂質食です。犬は肉食動物なので高蛋白食であって欲しいのですが、ドッグフードは小麦やトウモロコシに鳥などの食肉にならなかった部分(とさかなど)と大量の油を混ぜて作ってあります。体にいいわけありません。油は酸化するので食べさせるときにはかなり劣化していると思われます。結局こういう食事ばかりとっていたらあっという間に老化するということです。抗酸化物質としては、ビタミンC(野菜、果物), ビタミンE(アーモンド、アボカド), 尿酸、コエンザイムQ 10、βカロチン(にんじん、カボチャ)、カテキン(緑茶)、アスタキサンチン(サーモンや蟹)などがあります。こういう物質(サプリだけでなく新鮮な食材)をしっかり取らないと老化するということだと思います。

  • 堂々巡りの話を根気強く聞くコツ

    老人ホームへ往診(訪問診療)に行くと、2週間分のつもる話が待っています。2週間ごとに訪問するからなのですが、日頃ホームで感じた疑問は、誰に聞くでもなく悶々とうちに秘めていて、私が訪室したらここぞとばかりに質問の嵐です。お年寄りは同じ話を何度もされるので、本当は、それはさっき言ったように・・と答えたいのですが、根気強く何度も同じ質問に答えます。いつこの堂々巡りは終わるのだろうと思いながら、患者さんが満足するまで話を聞きます。同じことを4回か5回くらい聞いたら、だいたいわかったような顔をして満足されます。耳が遠いのもあると思いますが、一度だけ答えて、後の話の腰を折るようにすると、患者さんはきちんと答えてもらえなかったと思います。同じことを5回くらい聞き直し、こちらもその質問に5回答えてはじめて、わかりました。ありがとう、と言われるのです。

    私は仕事ですから根気強く話を聞きます。ほとんど修行と思って同じ話をなんども聞いています。しかし、家庭ではさぞ大変だろうと思います。その話はさっき答えたでしょう、といって、家族が腹を立てると関係性は悪くなります。忙しい、時間がない、お年寄りの質問が非科学的だ、と、聴く側の言い訳も山ほどあると思います。

    最終的に大事なのは心の余裕、時間の余裕、そして相手に対する尊敬と愛情だろうと思います。私の場合、高齢患者さんに限らずよくわからない話を延々される患者さんが来院されますが、根気強く話を聞いているつもりです。そのコツは、話の内容だけではなく、相手がその話をしたいと思った背景や動機、心理状態などに注目しながら話を聞いているところです。

     

  • めまい、頭痛の季節

    昨日は部分日食だったとのことですが、私はほとんどTVを見ないので日食のことを知りませんでした。せっかく晴れていたので、知っていたら天体観測したと思うのですが、残念でした。また、昨日は夏至でした。あたりは夜の8時でもかなり明るい。不思議な感じです。昔ノルウェーのTrompsoという北極圏の街に学会で行ったときは白夜でした。全く日が沈まないので、夕食後にまだ観光できます。観光客が夜通し騒いでいる声が聞こえていました。白夜とはいえ、ずっと日が高いわけではありません。夜12時ごろになると北の空に夕陽のように赤く染まった太陽があるのですが、それ以上は沈まずに夕日なのか朝日なのかわからないようにして次の日に突入するのです。

    ところで、最近はめまいの患者さんが増えています。めまいと同時に頭重感や耳鳴りを伴うことも多いようです。気圧や湿度の問題なので、気象病と言えると思います。外的な要因を受けやすい体質があるのです。こういう体質は当事者からすると困った物ですが、野生の動物にとっては欠かすことのできない優れた才能です。天気予報を見ないでも明日の雨が分かるのですから、自分の身を守ることができます。

    このような梅雨時の体調不良には、五苓散がよく効きます。実際には患者さんの証を見ていくつかの処方を使い分けるのですが、基本処方の五苓散があればなんとかなります。難治性のめまいや頭痛にはハリもいいと思います。針をすることでめまい体質が改善します。

    田植えが終わったばかり。夏至で夕方遅くまで明るい空

  • 発見!指は自律神経の切り替えスイッチになる

    涼しくて快適な週末でした。いかがお過ごしですか?私は久しぶりに久木野まで行ってきました。四季の森温泉でゆっくりサウナに入ったり、散歩をしました。中岳からの噴煙は全く上がっておらず、しずかな風景でした。サウナの中で一人静かにリラックスする方法について考えました。そして、一つ発見したことがあります。人さし指と親指で丸を作るとオッケーのサインになります。この状態は交感神経にスイッチが入るようです。集中したいときには最適です。指を一つずらして中指と親指で輪を作ると交感神経と副交感神経の中間でニュートラルのポジションです。もう一つずらして薬指と親指で輪を作ると副交感神経にスイッチが入るようです。

    サウナの中で瞑想していたら突然こういった指のポジションでスイッチが切り替わることがわかりました。これは、肘から手首にかけてのひねりが鍵となります。肘から先が外向きにねじれていると交感神経です。パソコンを打つときも肘から先は外に向けてねじれているので交感神経緊張状態です。意識的に肘から先を内側に捻ってみましょう。椅子に座って手をテーブルに置いたら、掌(てのひら)が上を向いた状態になると思います。このとき、親指と薬指で輪を作ると仏像みたいな手になります。数秒で心がスーとおちついてくるのがわかると思います。

    実は、この指の輪っかのことは昔私に整体のことを教えてくださった坂本先生にちらっと教わったのですが、先生の整体教室に数回しか通わないうちに坂本先生が亡くなってしまい、詳しく聞けなかったのです。しかし、今日ふと思い出して指を輪にしてみて、こんな簡単なことでリラックスのスイッチが入るんだと気付いて、自分でも驚きました。ぜひお試しください。

  • 分子栄養学実践講座

    分子栄養学実践講座という講習を去年から受けていたのですが、膨大な講義(動画)ライブラリーがあり、しばらくは根気づよく見ていたのですが、このところ韓流ドラマ「愛の不時着」などにハマってしまって、勉強どころではなくなっていました。ところが、最近メールが来て、この分子栄養学講座は視聴期限があと1ヶ月半だということがわかりました。これはいけない、と反省して、まだ見ていない講義をあわてて勉強再開しています。

    この勉強会は精神科の藤川理論やその基礎となった三石先生の理論を発展させた物です。非常に論理的で実践的なのでとても役に立ちます。私たち医師は基礎医学で生化学を学んでいるので、聞いた内容はスッと理解できるのですが、基礎医学を学んでいない人が見てもチンプンカンプンだと思います。非常に複雑な代謝を理解していないと全く歯が立ちません。

    それでも、患者さんの中には藤川先生の本などを一生懸命に読んで自力でサプリなどを買って実践している人が結構おられます。きちんと理解していれば問題なく自分の健康管理ができます。しかし、理論的背景がよくわからず表面的理解で実践するのはあまりお勧めできません。また、採血データなしに思い込みで突き進むのもお勧めできません。こういった分子栄養学的治療をやってみたい場合、是非我流に陥らずそのやり方で合っているかをご相談いただけたらと思います。