むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 忘年会シーズンを漢方で乗り切る

    忘年会シーズンですね。私が大学を出た頃はまだバブルの名残で相当景気がよく、毎晩大騒ぎでした。どこの会社も経費が余りすぎて、使え使えの大合唱でした。タクシーも全くひろえない程賑わっていました。アッシー君(足代わりに呼びだして送ってくれる便利な彼氏)みたいな言葉も流行っていました。それに比べれば、今は本当におとなしくなりました。日本全国うつ病みたいな感じです。今後も急激に人口が減っていきますから、景気が良くなることは望めません。

    そうは言っても、年末です。昔ほどではなくても友人や親戚と会って会食したりお酒を飲む機会は多いと思います。そこで、そのようなときに体調を崩さないコツを書いておこうと思います。まずお酒。二日酔いの予防には黄連解毒湯と五苓散がよく効きます。予め飲んでおくとあまり酔わないので、シラフに近くて楽しく酔えないという人もいるほどです。また、アルコールを分解するアルコール脱水素酵素とアルデヒド脱水素酵素の2つはナイアシン(ビタミンB3)が補酵素として必要です。ナイアシンのサプリも良いし、ビタミンBミックスにも含まれているものがあります。

    飲みすぎてむくんだり目が腫れるようなときは五苓散。二日酔いでムカムカしたり頭痛がするときも五苓散です。ビールやハイボールのような冷たい飲み物をとりすぎて下痢するときも五苓散。お腹が冷えて痛くなったら安中散(大正漢方胃腸薬も同じ)。食べすぎて胃もたれするときは半夏瀉心湯や黄連解毒湯が効きます。TVのCMでは飲み会で胃が不調なときに大正漢方胃腸薬と言いますが、実はこのような使い分けがあるので、うまく使ってください。

    博多駅前

  • 西洋医学を補完することがライフワーク

    月曜日は熊大の東洋医学研究会(漢方サークル)の忘年会でした。先週まで当院で実習していた学生さんもこのサークル所属なので、当院での経験をみんなに語ってくれました。あまり教える暇はなかったのですが、とても刺激になった、勉強になったとのことでした。来年もサークルメンバーが実習に来たいといってくれています。ありがたいことです。自分の子供と同じくらいの年の学生さんたちと話していて、自分が今の診療スタイルになった経緯を改めて考え直すいい機会となりました。

    私は、大学卒業後第2内科という一般内科に入局しました。専門は血液内科だったので、白血病などの重症患者さんが多いところでした。当時の最先端の抗癌剤治療などいくら頑張っても良くならないのですが、漢方を併用すると元気になってくれました。もともと漢方をしたくて医者になったのですが、最初に漢方を使う機会を得たのが第2内科でした。結局、最先端の西洋医学をもってもなおせない病態(元気が出ない、食欲が出ないなど)を漢方は治せたわけです。

    私は、漢方と西洋医学で内科系のかなりの患者さんを治せるようになったのですが、それでも治せない患者さんがいます。それが心療内科の領域です。ストレスや精神的な理由で体調不良となる場合、内科的なアプローチでは治療困難です。漢方を使うとかなりのところまで対応できるのですが、抗うつ剤には及びません。抗うつ薬を自由につかいだして、治せない患者さんは更に減りましたが、まだ治らない人がいます。それが、現代的栄養失調です。ちゃんと食べても栄養の偏りなどの問題で病気になっています。糖質を制限し、蛋白と鉄、ミネラル、ビタミンをしっかり取っていただくことで更に治せない人が減りました。このように、西洋医学をいかに補完するかが私のライフワークとなっているのだと気づきました。

    クリニックにも初霜

  • 冬はビタミンDで元気に過ごそう

    会社で嫌な上司がいるとか、残業や休日出勤が多すぎて体を壊したとか、いろんな理由で休職せざるを得ない人がいます。何ヶ月か休むことで元気になって復職する人もいますが、職場環境は前と同じなので、復帰したときは元気でもすぐにまた会社にいけなくなってしまいます。可能なら、配置換えとか違う事業所に移してもらうとか、職場環境を変えることをおすすめしています。そんな中、最近見事に転職されて元気になった方がいます。それを聞いたときはとてもうれしかったです。

    その転職というのは、農業を始めたというものです。農業は自然が相手なので、嫌な上司もいないし、お客さんに気を使うこともありません。それから、最もいいと思うのは、太陽に当たることです。陽に当たるとビタミンDが増えます。ビタミンDにはうつや睡眠を改善する働きがあります。農家の人はうつになる人が少ないと言われています。たしかにそうではないかと思います。

    秋から冬にかけて日照時間が短くなると陽に当たる時間が減るため、みんな体内のビタミンDが減ってきます。これが冬に活動性が落ちて冬眠モードになる原因です。秋ごろからうつが悪化する人がたくさんいます。そのような人は、ビタミンDをとれば元気になります。冬に風邪ばかり引く人、花粉症などアレルギー体質の人もビタミンDが足りていない事が多いので、ビタミンDをおすすめします。

  • 体操で外から「気」を取り込む

    毎朝6時半に家を出て歩いて通勤しています。近くの公園ではいつもラジオ体操をしている人たちを見かけます。夏はいいのですが、この時期あさの6時半は真っ暗です。照明もまばらな公園でよく体操していると感心します。ちょっと気になるのは、夜明け前に体操するのが健康にいいのかということです。というのは、中国では公園でラジオ体操はしませんが、太極拳や気功が盛んです。気功などは環境の良いところ(公園の樹の下など)ですることで外からの気を体内に取り込みます。自然界は気にあふれていますが、日中は陽の氣、夜は陰の気です。夜明け前というのはまだ陰の気の時間です。

    したがって、夜明け前にラジオ体操をすると、体には陰の気が入ってくると考えるのです。別に、陰と陽とどちらがいいとか悪いとかではありません。人によって足りない方を入れてバランスをとればいいことです。ただ、寒い冬空のもとまだ暗い時間のラジオ体操で体内に陰の気を充満させるのは、おそらく健康に良くないのではないかと想像します。江戸時代頃の日本人の時の概念は、日の出から日暮れまでの時間を何等分かすることで決めていたそうです。したがって、季節により時間の長さが違ったということです。自然に逆らわない賢いやり方だと思います。

    ところで、土曜日は診療で疲れましたが、いい天気だったので、仕事が終わってすぐそのまま俵山へいきました。萌の里の駐車場で地鶏の炭火焼きを売っていたのでそれをつまみにオールフリーを飲んで、しばし休憩しました。天気がいいので野外のベンチでも寒くはありませんでした。その足でグリンピア南阿蘇の温泉に入ったら、一週間分の疲れが飛んでいきました。

    萌の里

  • 藤川先生の新しい本がでました

    私が治療の大きな柱として取り入れているのが藤川理論です。藤川先生は広島の精神科の先生ですが、分子栄養学のパイオニアである三石巌先生の最大の理解者であり、実践者です。三石先生は物理学者で医者ではありませんが飛び抜けた頭脳で生物学、栄養学、内科学をマスターしただけでなく、分子栄養学を使って理論的に治療法を確立されました。その理論を医者の藤川先生が臨床に取り入れたことで、精神科領域を超えてすばらいい治療成績を出されています。そのことは、藤川先生のブロクなどを読むとよくわかります(こてつ名誉院長のブログ:https://ameblo.jp/kotetsutokumi/

    この、藤川先生の新しい著書「すべての不調は自分で治せる」が上梓されました。私はアマゾンの先行予約をしていたので、発売初日に手元に届きました。早速読み始めましたが、この本は素晴らしいです。「うつ消しご飯」など過去の著書を読んでいれば、それほど新しくはないのですが、読みやすくて実践的に書かれています。そもそも藤川先生がこの本を書かれたのは、日本全国から藤川先生のクリニックに予約の電話が入りパンク状態のため、まず本を読んで自分で実践するようにというメッセージです。

    当院にも、藤川理論を実践している患者さんから問い合わせがあります。とりあえず来院する前にしっかり鉄、蛋白、ビタミンなどをとっていただくようにお願いしています。その結果、治療がうまくいったかは採血すればわかります。採血をしなくても体調が良くなってくるので自分でもいい感じだとわかると思います。当院ではアドバイスは初診料、再診料に含まれます。採血は保険でできる範囲で血清鉄、フェリチン、尿素窒素などを測っています。