むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 漢方整形外科

    整形外科はたいてい手術したりリハビリしたり、関節にヒアルロン酸の注射をしたりという治療です。そういう中、福岡の「みやにし整形外科」では積極的に漢方薬を取り入れられているそうで、熊本に講演に来ていただきました。タイトルは「痛み止めに頼らない漢方整形外科」です。整形の分野は裾野が広く、整体、鍼灸、カイロプラクティスその他色々な病院以外の診療があります。それだけ患者さんが多いということと、標準的な整形外科的アプローチだけでは不十分だということだと思います。

    当院は内科クリニックですが、整形外科に行って治らなかった痛みの患者さんは多数来られます。そういう場合、私なりに考えて漢方を処方したり、鍼治療をしたり、電気(低周波治療器)なども併用します。特に針は整形疾患に有効だと思います。

    今日の講演会では、さすがに整形外科を専門とされているだけあって、症例も豊富で使われている漢方処方も洗練されていました。私たち漢方のプロから見てもきれいな処方というのはいい処方です。逆に、それはないでしょう、というような処方をする先生も世の中にはいます。しかし、患者さんにとってはその見分けは難しいと思います。漢方は案外即効性ですから、1ヶ月飲んで効果がないようならその処方は諦めて他を考えたほうがいいと思います。そういうフレキシブルな治療をしてくれるかどうかで見分けがつくのではないかと思います。

    住吉神社;博多

  • 排尿障害の勉強

    先日に引き続き東区の医師の集まりで勉強会があり、参加してきました。講演は二つ。1つ目はよしむらクリニックの吉村先生が睡眠時無呼吸の解説。当院でもこの検査は行なっています。いびきをかいて家族から寝ているときに息が止まっていると指摘されたならほぼ間違いなく睡眠時無呼吸です。また、自分では息が止まっていると気づかなくても、日中ひどい眠気に襲われる場合、無呼吸の可能性があります。当院では検査機器(睡眠時の呼吸状態を記録する装置)を貸し出します。ご家庭で寝るときに記録開始のスイッチを入れて寝てもらうだけで結構です。無呼吸が気になる場合、一度検査をされてはいかがでしょうか?

    2番目の講演は健軍泌尿器科の新しい院長の高橋先生です。今日初めてお会いしたと思って挨拶したところ、高橋先生が学生時代私の属していた第2内科を実習で回った際に私に出会ったことを覚えていると言われました。恐縮です。講演のテーマである過活動膀胱とは、尿意切迫を伴う頻尿症です。突然尿意があわられ、トイレに間に合わず漏らしてしまうというのが尿意切迫です。男性に多い排尿後のちょっとした尿もれは過活動膀胱とは関係ありません。

    この男性の排尿後の尿もれはとても多く、男性用尿もれパッドも売られています。しかし、実際には排尿後にちょっとした工夫をすることでこの排尿後の尿漏れは治ります。そのコツというのは、排尿後陰茎をどんなに振っても尿道内に残った尿が出切らないのですが、会陰部(睾丸と肛門の間の部分)を押し上げると尿道に溜まった尿を全て出し切ることができるのです。これは非常に簡単で有効ですから、中高年の男性は日頃から排尿後の会陰圧迫を忘れずに行うことをお勧めします。

    博多、住吉神社

  • 夜間頻尿の治療

    90年代に熊大を卒業した年の近い仲間を集めた勉強会があります。年に1回みんなで集まって、自分の専門とは関係ない分野をその道の専門家にわかりやすく解説してもらうという企画です。昨日は、川野病院から前立腺肥大の講演とエコーを使った検査の実技がありました。私たちのように内科クリニックをやっていると、頻尿に関する相談もしょっちゅうあります。男性なら前立腺肥大、女性なら過活動膀胱が疑われます。

    しかし、場合によっては膀胱炎だったり、男性の過活動膀胱だったり、いろんな疾患が隠れていることもあります。当院でも検尿、前立腺のエコー検査、前立腺の腫瘍マーカー(PSA)の血液検査などはいつでも行なっています。前立腺のエコーは臍の下(下腹)から見るだけですから、恥ずかしいことはありません。お気軽にご相談ください。

    夜間、トイレに何度も起きてしまうという夜間頻尿は治療に難渋することがあります。前立腺の薬や過活動膀胱の薬で治ればいいのですが、心不全で足のむくみが夜に利尿される場合や、冷え性、不眠症などいろんな原因で夜間頻尿となります。一晩に3回以上トイレに起きるようなら睡眠不足になり日常生活にも支障が出ます。そのような場合はあきらめずに一度ご相談ください。

  • 骨を丈夫にする方法

    骨を丈夫にするため何かやっていますか?50歳過ぎたらだんだん骨密度が低下し、骨粗鬆症になります。70歳過ぎた頃には、ちょっと転倒しただけで大腿骨骨折なんてことがざらに見受けられます。骨粗鬆症対策は少しでも早いに越したことはありません。もう対策していますという人も多いと思いますが、なにをやっていますか?牛乳を飲む、カルシウムを摂る、ビタミンDをとる、骨粗鬆症の薬を飲む、などいろいろあります。しかし、どの薬も大した効果はありません。骨折の頻度は治療した群としない群でわずか数%の差です。

    寝たきりとか、膝が悪くて歩けないような場合は薬に頼るしか方法がありません。しかし、通常の人にとっては、いろいろ対策はあります。まず、カルシウムで骨が丈夫になるという認識が間違っています。骨はコラーゲンの繊維にカルシウムがついているのです。つまり、鉄筋がコラーゲンでコンクリートがカルシウムです。したがって、コラーゲン(鉄筋部分)がしっかりしていないと、カルシウムが足りていてもポッキリ折れてしまいます。コラーゲンは豚足にふんだんに含まれることはご存知の通りです。

    漢方の世界では昔から自分の悪い部分を摂取すると薬になるといいます。肝臓が悪い人はレバーを食べる、関節が悪い人は豚足を食べる、という感じです。豚足が苦手なら焼き鳥(とり皮など)や豚骨スープでいいと思います。コラーゲンたっぷりです。摂取したコラーゲンはビタミンcを飲むことで体内で再度コラーゲンに再構築されます。あとは、骨の再生に必要なのは重力です。出来るだけ全身に重力(衝撃)をかけるようにどんどんんと背伸びをしてかかと落としをするといいみたいです。同じ理屈で、ランニングも骨を丈夫にします。

    中洲

  • 冷え性の治療

    冷え性は西洋医学ではなかなか治りません。西洋薬には解熱剤みたいに体を冷やす処方はいろいろあるのですが、温める薬がほとんどないからです。一方、漢方薬では、生姜や附子など温める薬がいろいろあります。冷え性の患者さんにはそろそろ始めましょうか、と冷え対策の漢方を始めています。毎年しもやけができたりするような冷え性なら早めに対策したほうがいいと思います。

    西洋薬であまり温められないと書きましたが、理屈を考えればいろんな対策が考えられます。冷えがエネルギー不足と考えるとダイエットはいけません。私も以前ダイエット目的で少食にしたらすごく冷えました。では何を食べるべきか。まず熱となるものとして炭水化物や脂肪分です。過剰摂取はいけませんが、冷え対策にある程度は取る必要があります。冷えが血流の問題だとしたら、血行を良くするもの。まずはビタミンEです。効果は相当期待できます。次に魚の油(EPA: エイコサペンタエン酸)です。血液サラサラ効果で末梢循環改善が期待されます。

    そして忘れてならないのが、一酸化窒素(NO)です。NOは血管拡張物質です。運動すれば血管内皮から産生されます。NOの材料はアルギニンというアミノ酸です。食べ物で言えばタンパク質、つまり肉です。コレステロールが高い人は肉を食べすぎると良くないので、スポーツ選手みたいに(ホエイ)プロテインがオススメです。