むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 古方と中医

    漢方の定例勉強会に参加しました。講師の先生は東京在住の中国らかきた中医学の先生です。季節柄、冷え症の治療、食養生、風邪の治療などを習いました。

    私はこの先生から習い始めてからすでに15年以上経っています。おそらく過去に何度も同じテーマで話していただいたことと思いますが、漢方があまりに奥深いことと、私たちドクターは医学部の医学教育では全く漢方を系統だって習っていないために、何度も同じことを聞かないと理解できないのです。

    しかし、今日改めてこのテーマでの話を聞いて、自分が今まさに冷え症や風邪の患者さんに処方している漢方薬は中医学の先生の話される内容に完全に一致していることが確認できました。面白いことに、日本の漢方は中医学とは別に日本古来の古方という流派が存在します。この流派は江戸時代に日本が鎖国していた時代に中国のもともとあった漢方医学が日本独自の解釈で発展し、今に伝えられているものです。富山の漢方や東京の慶應や女子医大などの漢方教室はこの流派です。一方、熊本はわりと中医学の人が多く存在します。

    古方と中医学のどちらが優れているかという議論はさておき、漢方外来での診察方法から処方に至るプロセスが全く違うので、とても興味あります。同じ漢方を専門とする仲間の間でも同じ土俵で話しができないくらい違うのです。実は来週熊本で東洋医学会があるのですが、こういう学会でも、古方と中医では全くと言っていいほど議論が噛み合いません。治療を受けられる患者さんには関係ないかもしれませんが、漢方を専門とする私たちの裏事情としてそんな世界があるということをご紹介しました。

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