むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 不眠症から末期ガンまで

    土曜日は、平日に来院できない現役世代の若い患者さんでいっぱいですが、遠方からわざわざ来院いただく患者さんもおられます。できるだけ時間をかけて丁寧にお話を伺うようにしていますが、風邪や血圧のお薬だけでいい方にはお待たせして申し訳ございません。

    末期ガンで抗がん剤にするか漢方などにするかは本人のとっては命がけの選択です。抗がん剤が抜群に効くのなら悩むことはないのですが、今の段階では抗がん剤でかえって体力を奪われて肺炎などのために命を落とすこともあるし、抗がん剤が効いて半年くらい長生きしたとしてもその半年が合併症で寝たきりだったらあまり価値のある半年ではありません。そのような相談を持ってこられたらどうしても3分診療というわけにもいかず、時間をかけて話を聞いてしまいます。体力をつける人参、免疫力を上げる霊芝、抗がん作用のある白花蛇舌草などを組み合わせて処方します。一部保険が効かない生薬もありますが、薬局にもあまり高額にならないように頼んでいます。

    不眠症も単純な不眠からうつ病までいろいろありますから使う薬は人それぞれです。最近は眠剤の習慣性や依存性に注意喚起されており、できるだけそのような薬を使わずに眠れるような工夫をしています。

    そんなこんなで土曜日は混み合っていますが、どうぞご容赦ください。

  • 便秘には漢方

    4月21日の熊日新聞に便秘には漢方という記事が載っていました。ご覧になりましたか?

    私は多くの便秘に漢方を処方しているので、その記事は当たり前と思っていたようなことなのですが、漢方便秘薬というのは本当に良く効きます。西洋薬の新薬もありますが、そのようなものは全く必要ないくらいよく効きます。また、漢方の歴史は2000年から3000年はあります。昔から便秘は困っていたでしょうから、そういう時にどんな薬を飲んだらいいかというのは試行錯誤で経験してきたことです。人体実験2000年の集大成ですから、今更誰がなんといっても効くに決まっています。また、安全性もその歴史が物語っています。

    新薬は動物実験や人体実験(治験)で安全性が確認されてはいますが、せいぜい数年の蓄積です。漢方とは安全の度合いが違います。また、漢方が面白いのは、ただ単に腸を刺激して便通を良くするのではなく、植物性の油を多く含む成分を配合したり、便が硬くならないようにする成分が配合されたりしています。いろんな作用の成分が少しずつ入った合剤になっているので、作用が複雑で効果も確実で、しかも長く飲んでも効果が薄れないような工夫がされています。ついでに、精神安定作用や生理痛に効く成分なども入っていますので、単に下剤というわけでなく、そのほかの作用も期待できます。漢方って本当に面白いですね。

  • 閉塞性動脈硬化症

    今日は閉塞性動脈硬化症の最新治療について勉強会に参加してきました。動脈硬化とは読んで字のごとく血管が硬くなる病気ですが、硬くなるだけではありません。血管径が細くなり、血流が悪くなります。多くは糖尿病や高脂血症を長年患い、だんだん動脈硬化が進んできます。気がつくと足の血流が悪くなり、ちょっと歩くと痛くなります。痛くなり休憩すると、また歩けるので、間欠性跛行と言います。

    閉塞性動脈硬化症は血管造影で確定診断となりますが、最近はMRIでも血管の評価ができます。また、私たちのようなクリニックではABIという検査があります。健診などで血管年齢を測定する機械で大体の診断が可能です。糖尿病やコレステロールが高い場合は定期的にABI検査を受けた方がいいと思います。

    ABI検査は簡単です、手足4カ所に血圧計を巻いて、両手両足に到達する脈波を測定します。10分ほどで検査終了です。半年に一度くらい経過を見ておくことで、動脈硬化が進行していないかがわかります。もう一つは、頚動脈エコーの検査があります。超音波で頸から頭へ流れる大きな血管が狭くなっていないかを調べます。これも当院で検査できます。大して時間もかかりませんし、痛くもなんともない検査ですのでオススメです。全く健康な人が検査したい場合は健診扱いで全額自費ですが、コレステロールや血糖が高い場合や、歩くと足が痛くなるような症状がある場合は検査に保険がききます。

  • 腰痛の内科的治療

    当院は、漢方やはり治療を積極的に取り入れているため、腰痛や五十肩のような整形外科疾患も結構受診されます。内科的にもいろいろやれることがあるので、整形外科でブロック注射をしたとか、リハビリに通ったとかいろいろ試して思うような効果が出ていない場合もまだまだ治療法がないわけではないと思っていだだきたいです。

    痛み止めの内服にしても、ロキソニンやリリカまでは使ったけどよくならないという場合、それはまだ痛み止め内服治療のうち5段階で言えばロキソニンが1段階、リリカが2段階目です。さらにまだまだ鎮痛剤の内服だけでも奥深い治療ができます。

    内服があまり好きでない場合、整体や鍼治療があります。今日来院された患者さんでは、針はちょっと苦手だからできれば他の方法を、というリクエストでした。その場合、漢方薬の内服と指圧と整体で経過を見ることにしました。また、皮内鍼といって、皮膚に0.6mm程度刺さって刺激するシール型の針もあります。これは全く痛みはなく、気がつけば痛みが楽になっているという優れものです。難しいのはこのシール型の針をどこに貼るかということです。痛い場所に貼ったり、痛みからは遠いツボに貼ったりします。例えば四十肩の場合、足のツボに貼ることでかなり肩は動くようになります。まだまだいろんな治療法がたくさんあります。諦めないでご相談ください。

  • 月経前症候群

    一日中すごい雨でした。やっぱり地球温暖化の影響で大気中の水分含有量が多いため、降る時の量が半端ないのでしょう。これほど雨がひどいと来院される患者さんも少なく、時間がゆっくり流れます。患者さんの悩み事もゆっくり聴く時間ができました。

    女性の月経前症候群という疾患があります。生理前になると頭痛、吐き気などがひどいとか、イライラするとか、症状は人それぞれですが、多くの女性がこういう症状に困っています。そして、どの診療科に行けばいいかもよくわかりません。婦人科?ムカムカするから消化器内科?頭痛だから神経内科?困った患者さんはネットでいろいろ調べた挙句、漢方かもと思って来院されます。

    私の漢方処方は来院ごとに処方を変えることがあります。それは、患者さんの状態が来るたびに少しずつ変わるからです。特に月経前症候群の場合、月経周期に応じて月経前の不安定な時期と、月経後の安定した時期では処方を変えるのです。基本的にずっと飲んでもらいたい漢方薬と、その時の状態(周期)に応じて使いたい薬とを併用したりします。これこそ、オーダーメイド漢方です。他の人に効いたからといっても、誰にでも同じ処方でいいとは限りません。