むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 朝鮮人参(高麗人参)はすごい

    人参は昔から高価な生薬です。栽培は可能ですが、北朝鮮や中国の一部でしか育ちません。しかも、植えてから収穫まで4ー5年かかります。大変貴重なものです。この人参が重宝されるのは、素晴らしい効果があるからです。特に虚証(体が弱った人)には抜群の効果があります。

    ガンで体力を補いたい、仕事が忙しくて疲れが溜まっている、更年期で体を動かしたくても疲労倦怠感が強い、夏バテ、胃腸虚弱、冷え症、などなど使える場面は数多くあります。漢方薬には人参を含む処方がたくさんあります。一方、人参だけをコウジン末と言って処方に加えることができます。通常の人参を含む処方には人参を3−4グラムほど使っているのですが、私がコウジン末を処方する際には多くても2グラムまでです。それでも十分素晴らしい効果を発揮します。特に、抗がん剤の治療中の患者さんに使うと抗がん剤の副作用が軽くてすんでいるし、夏バテなどの症状なら少量でも驚くほど元気になります。

    このように効果的な人参ですが、クリニックで処方する場合は保険適応ですので、1−3割負担ですみます。一日1グラムでも劇的な効果があるので、本当に困っている場合は使わない手はありません。

  • 夏休みの体調維持は・・・

    いよいよ夏休みですね。熊本は梅雨明けしたのかしてないのかよくわかりません。通常は梅雨明けすると太平洋高気圧が安定して晴れの日が続きますが、今日は早速夕立でした。まだ不安定な天気です。ところで学校が休みになると、皆さん体調を崩しがちになります。

    お母さんは、子供の昼ごはんを心配します。共働きの場合、子供の昼ごはんを朝から準備しておいたり、買っておいたりしないといけないので何かと気を使います。おじいちゃんおばちゃんが子守という場合も多いと思います。おじいちゃんおばあちゃんも夏休みに体を壊して休みが終わった頃にボロボロになって病院に来られるケースがよくあります。お母さんは、子供が家にいると気を使ってイライラしたり、眠れなくなったり、とにかく体調を壊すようです。仕事に出ていてあまり気にしていないお父さんはいつも通りのことが多いですが、これは決して褒められたことではないですね。

    そして子供さんですが、部活がいつも以上に厳しくなったり、学校の課外があったり、塾も夏期講習だったり、大忙しです。熱中症になるという危険性もありますが、通常の授業以上にハードな毎日を過ごす子供がたくさんです。さらに、学校がないとゲームにはまって夜遅くまでだらだらと起きていて、朝起きられなくなる昼夜逆転も起きやすい時期です。体調維持が何かと難しいのがこの夏休みですね。

  • のどが詰まった感じ

    のどが詰まった感じ、というのが結構あります。耳鼻科に検査に行ったけど何もなかった、ということが多いです。私たち漢方の世界では、この喉の症状を梅核気(ばいかくき)と言います。のどに梅干しの種(梅核)が引っかかった感じという意味です。気の巡りが悪くなった時の症状です。

    梅核気はストレスによっておこってきます。私もなったことがあります。とあるストレスで、ずっとのどがつかえていました。なんとかそのストレスから解放された時には症状は嘘のように取れました。私のようにストレスの元から解放されたらラッキーですが、なかなかそう簡単にはいかない症例が多いと思います。そういう場合、簡単には症状は取れません。西洋医学では全く太刀打ちできないと思います。

    漢方では、半夏厚朴湯という処方がこういう症状に有効とされています。しかし、当院のように漢方を専門に扱っていると、前医で半夏厚朴湯をもらったがきかなかった、という症例が結構来院されます。そういう場合は、ほかにもいくつか使える漢方がありますのでご安心ください。

  • ロコモ

    私は、毎日針治療などで体の痛みの治療を行なっているため、痛みに関する勉強会に参加してきました。最近、整形外科分野ではカタカナを使った疾患概念が流行っています。ロコモ、フレイル、サルコペニアと言った言葉です。素人には何のことかさっぱりわからないと思います。今日の講演で知ったのですが、ロコモという言葉を知っている人は1−2割程度の人だそうで、今後7割以上の人にロコモという疾患概念を十分理解してもらいたいと政府は考えているそうです。「知ってるよ」という人はもしかしたら、携帯電話の会社とか、ハワイの食べ物を想像しているのではないでしょうか?正解は、運動機能の低下を意味しています。

    昔は映画も洋楽も本来のタイトルとは別に日本語のタイトル(邦題)がついていました。英語のタイトルがわかりにくくても、邦題を聞くと心の奥深くまで響く、そんな効果があったと思います。

    シカゴの「素直になれなくて」という曲。英語のタイトルはHard to say I’m sorry ですが、邦題の方がピンときます。整形で流行りのロコモとかフレイルとかいう単語も、カタカナで流行らせようとするのではなく、日本語でみんなにわかる言葉を考えてほしいと思います。メタボ(リックシンドローム)という言葉がたまたま広く認知されたのをいいことに、整形疾患も便乗してカタカナで流行らせようとしている浅はかなことだと思います。メタボはたまたま流行っただけだと思って欲しいのです。日本では不思議と略語を使った方がカッコイイ(ツウっぽい)と感じるところがそもそもの間違いだと思います。

  • 丁寧な説明

    ニュースを見ると、最近政治家がよく使う言葉に「丁寧に説明する」というのがあります。耳障りがいい言葉で、ちゃんとしたいという気持ちだけはあるという印象があります。一方、私たち医療人も常に丁寧な説明をすることを求められています。アメリカの場合、説明した、しないというのは後々訴訟のタネになるので、病院に行くと本のように分厚い説明書があり、1ページ1ページ患者の義務と権利、病状についての説明などの説明を受けます。そして、何十回と理解しました・同意しますのサインをさせられます。気が遠くなるほど「丁寧な説明」ですが、患者を思っての説明ではなく、訴えられないための「護身の」説明であることは明らかです。アメリカには、このように患者さんに説明して同意書にサインをもらうためだけの専門職がいるのです。

    日本も医学部教育ではアメリカ風の丁寧な説明をするよう教えられます。説明は丁寧なのですが、患者さんのニーズに必ずしもマッチしているとは言い難いものです。日本人の場合、ある程度の説明はしてほしいと思う反面、一定レベル以上のことはよくわからないからお任せします、という方が多いような気がします。

    私の場合、説明は時間をかけてわかりやすく話すよう心がけていますが、話が長かった割に結局などんな話だったかわからなかった、ということにならないように、ポイントを絞って話が膨らみすぎないように気をつけています。多くの患者さんは自分が大変な病気ではないかと心配しているので、ちょっとした説明から心配の泥沼にはまってしまわないようにと思っています。