むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 丁寧な説明

    ニュースを見ると、最近政治家がよく使う言葉に「丁寧に説明する」というのがあります。耳障りがいい言葉で、ちゃんとしたいという気持ちだけはあるという印象があります。一方、私たち医療人も常に丁寧な説明をすることを求められています。アメリカの場合、説明した、しないというのは後々訴訟のタネになるので、病院に行くと本のように分厚い説明書があり、1ページ1ページ患者の義務と権利、病状についての説明などの説明を受けます。そして、何十回と理解しました・同意しますのサインをさせられます。気が遠くなるほど「丁寧な説明」ですが、患者を思っての説明ではなく、訴えられないための「護身の」説明であることは明らかです。アメリカには、このように患者さんに説明して同意書にサインをもらうためだけの専門職がいるのです。

    日本も医学部教育ではアメリカ風の丁寧な説明をするよう教えられます。説明は丁寧なのですが、患者さんのニーズに必ずしもマッチしているとは言い難いものです。日本人の場合、ある程度の説明はしてほしいと思う反面、一定レベル以上のことはよくわからないからお任せします、という方が多いような気がします。

    私の場合、説明は時間をかけてわかりやすく話すよう心がけていますが、話が長かった割に結局などんな話だったかわからなかった、ということにならないように、ポイントを絞って話が膨らみすぎないように気をつけています。多くの患者さんは自分が大変な病気ではないかと心配しているので、ちょっとした説明から心配の泥沼にはまってしまわないようにと思っています。