むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 風邪の治療

    風邪は内科医にとって簡単なようで難しい疾患です。インフルエンザこそ検査で診断がつく時代ですが、たいていのウイルスは検査の方法はあっても通常の外来で検査することはなく、経験と勘で治療することの方が多いのです。しかも、大学では肺がんの治療法は習っても、風邪の治療法は習いません。そもそも治療学としての体系ができていないのです。

    一方、漢方ではインフルエンザのような流感のことを「傷寒」と呼び、「傷寒論」という本が出版されたのが今から2000年ほど前の漢の時代です。それが数百年経って日本に入ってきたので「漢方」と呼ぶのです。(ちなみに西洋医学を蘭方と呼びました。オランダから入ってきたからです)

    傷寒論は風邪のような流行病をいかに治療するかを体系だって書いてあります。漢方を勉強する人は必ず読む古典です。私もなんども読みました。

    この正月から救急当番などで相当数の風邪の患者さんと接触しました。我ながらよくうつらないものだと思いますが、もちろん全くどうもない訳ではりません。日々いろんなウイルスを体に浴びながら免疫を獲得しているのです。その過程では、喉がイガイガしたり、鼻水が出たり、寒気がしたり、何らかの反応があります。ひどくならないだけです。もちろん薬を飲むこともあります。私の場合は漢方です。今日も仕事が終わり、何となく喉の違和感と寒気がありました。早速うちに帰ってから桂枝、芍薬、甘草、生姜、大棗、(この5味で桂枝湯と呼ぶ)に菊花、板藍根、を加えて煎じました。やっぱり風邪には漢方です。歴史が違います。人類の経験と英知の結晶です。