むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 科学的でない健康番組

    火曜日にある「たけしの家庭の医学」は話題も豊富で真面目に作られている番組なので、毎週欠かさず見ています。しかし、仮説を検証する段階になると、いつも怪しくなります。科学的でないのです。まず、医学論文にするには統計学的に効果を証明しないといけないので、たくさんの症例でデータを取らないといけませんが、番組ではせいぜい2ー3人で検証しています。それは、論文ではなく番組の信ぴょう性を示すだけという意味では目をつぶってもいいところです。しかし、問題ある論理性に欠ける展開はちょっといただけません。

    <今日のテーマ>肝臓がアルコールと関係なく線維化している人がいる。その線維化はビタミンEで改善する。<検証>肝臓に繊維化を認めた女性1名(n=1)に対してアーモンドやお茶の出がらしを炒めたものを食べてもらった。よく噛んで間食を減らした。<結果>繊維化が改善した。という展開でした。ここで問題あるのは、ビタミンEが効いたかどうか全く検証になっていない点です。ビタミンEが効くかどうかは食生活を変えることなく純粋なサプリメントの摂取で確かめなければ分かりません。

    番組でアーモンドを食べたりお茶の出がらしを炒めて食べたりしていましたが、それが効果があったかは全く不明です。むしろ間食を減らして体重を落としたことが効果的だったと思われます。なぜなら、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)という疾患があります。以前は脂肪肝は肝硬変や肝がんになることはないと信じられていましたが、現在、NASHは線維化する(肝硬変へ進行する)とわかっています。したがって、間食を減らして体重を落とすとNASHが改善して肝臓の繊維化も改善したと考えるべきなのです。昨日の晩にテレビを見た後お茶の出がらしを食べた方はいませんか?それより間食を減らして脂肪肝を改善するのが先ですよ。

    金峰山に沈む夕日。まだまだ暑いですが、日暮れも早くなり秋を感じます。