むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 処方を決めるとき、ひたすら考える

    以前、医学部の学生さんたちに漢方外来を見学させていたとき、最後に何か質問は?と聞いたところ、「先生は処方を決めるのにいつもそんなに時間をかけるんですか」と言われたことがあります。そうなんです。私は、一例一例結構時間をかけて考えます。ちょうど将棋の対戦みたいに、一手を打つのに10通りくらいの方法(可能性)を考え、それぞれから起こりうる未来を一つずつ検証して、それが患者さんにとって好ましいかどうかを判定します。そして。もっとも良さそうな処方を決めるのです。たまに、診察の最中にどんな処方を出されますか?と尋ねられますが、正確に答えるなら「まだ決めていません」です。患者さんが診察室を出てからもあれこれ考え、パソコンに処方を入れてはもう一度考えて、別の処方に書き替えてはまた考えて、と繰り返します。

    直感も大事なのですが、かなりのところまで理詰めで考えて処方します。結果として、最初に直感で思い浮かんだ処方と実際に出した処方は結構違う場合があります。そうすると、家に帰ってその患者さんのことを思い浮かべても、結局どの処方をだしたか思い出せないことがあります。私はこのやり方で、ずっとやっているので、最近は精度も上がってかなりの難病(どこに行っても治らなかった難しい症例)でも、結構いい感じに改善している印象です。もちろん、私が処方しても治らない時は治りませんけど・・。

    西洋薬も同じです。たとえば血圧を下げる薬にはいろいろあります。アダラート、アムロジン、デイオバン、などなど。どの薬がどのくらいの強さで、何時間ぐらい効果があって、プラスアルファーでどんな効果が期待できるか、みたいな複雑な思考の結果、最適な処方を考えています。一つ一つの薬には、それを選んだ根拠があり、理屈があるのです。我々開業医は調剤薬局に無理を言って使いたい薬をほとんど入れてもらっているので、根拠を持って選んだ薬を実際に使えるのがありがたいことです。

  • 学校心臓検診

    このところ、毎週土曜に学校心臓検診があっています。私も医師会の心臓検診班員なので、精一杯協力しています。今年は学校が6月から再開して、今の時期が健診の真っ最中です。市内の小中高校から心電図が集まってくるので、班員で手分けして判定します。わたしも週500枚ほどの心電図を判定しています。その結果、精密検査に呼ばれた学生さんは土曜日にヘルスケアセンター(地域医療センターとなり)に集められます。

    そこで、もう一度心電図やレントゲンを撮り、必要に応じて運動負荷心電図(自転車漕ぎをしながら心電図を取る)や心エコーの検査があります。多くの場合、異常なしで帰宅となりますが、たまに心疾患が見つかります。今年は学校のスケジュールがタイトなので水泳の授業がありませんが、検診の大きな目的の一つは水泳の授業中の心臓発作などの事故を未然に防ぐことです。

    子供さんを連れてこられるご両親は、我が子の心臓に何かあったら、と深刻な顔をしてこられる人もいれば、忙しいのに呼び出されて迷惑!みたいな人もおられます。我々にできることは、できるだけ速やかに必要な検査を行い、科学的根拠で学校生活のアドバイスをすることです。もちろん、余計な心配をかけず、安心して帰っていただけるよう精一杯気を使ってお話しします。

     

     

     

  • 「自由度が高い」は「自分に厳しく」に通ず

    よく雨が降りますね。今朝、県南で豪雨のニュースが入ってきました。皆さん注意してください。この季節、湿度が高いとか、気圧の変化などでめまいの患者さんがかなり多いです。一日に5-10名のめまい患者さんが来院されます。それから、先週ぐらいから発熱をともなう夏風邪が流行っています。のどが腫れていることが多いですが、咳や鼻水などはたいしたことない人が多い傾向です。この時期、ちょっと熱が出るだけで会社からは出勤停止となり、患者さんも、この熱はいったい何?もしかしてコロナ?とドキドキするみたいですが、例年の夏風邪と変わりないみたいです。コロナではないと思います。

    ちょうど今頃は職場の健診の時期です。外出自粛期間中に家でゴロゴロして運動不足、食べ過ぎ、お酒の飲みすぎなどで糖尿や肝機能が悪化したり、メタボになったりしている人が多くみられます。きちんと職場で働くことは健康にもよいということがわかります。逆に、専業主婦などでいつも家にいる場合、間食しないとかきちんと運動する習慣をつけるなど自制することはいかに難し事かと感じます。

    とりあえず、今回の健診で数値が悪かったのはコロナのせいにしていいですから、非常事態宣言が解除された今、ちゃんと運動して、無駄なお酒や甘いものを食べ過ぎないようにして健康を取り戻しましょう。在宅ワークというのは自由度が高いが上に個人の自己管理能力が問われます。仕事もしないでTVを見て間食をして健康を害すような人は会社からダメ人間とレッテルを張られてリストラの対象になります。どこも経営が厳しいですから、手抜き社員はばれたらアウトです。自由度が高い=自分に厳しく、と認識しましょう。

  • コロナ禍で病院のためにやってほしいこと

    熊日新聞をみたら、保険医協会のアンケートで開業医の外来減9割という見出しです。収入が9割減ったわけではなく、9割の施設で外来数が減ったということです。紛らわしいタイトルです。ミスリードを狙って書いたタイトルかもしれません。こんなコロナ禍で外来数が減らないことなどほとんどあり得ません。9割減と言われても全く不思議ではありません。こんな当たり前の集計を新聞の1面に載せて、なんのニュース的価値があるのでしょうか?もっと掘り下げた議論をしてもらいたい。病院は私的な企業(ビジネス)ですが、診療時間は保健所に開設許可をもらわないといけないし、診察代は厚生局が管理しています。何一つ自分で決めることができません。民間の企業と違って、企業努力がなかなかできない仕組みになっています。

    コロナ禍で患者さんが減ったから24時間オープンにするとか、初診料半額キャンペーンとか、そういうことは許されません。街中は人通りが少ないから臨時で住宅街にに第2クリニックを開設するなんて、全く通用しません。テレビCMなども規制されています。すべて厳しい許認可が必要となっています。病院は利益追求企業とは違って、社会インフラとしての責任があります。儲からないからやめるとか、儲ける部門しかしないというのは良くありません。しかし、これだけ規制されていて企業努力がしにくい医療業界が、コロナ禍で生き残るにはどうしたらいいのでしょうか?

    もちろん、無駄な出費を避けることが大事です。しかし、アルコール消毒やマスクなどは従来の10倍くらい値上がりしており、必要経費がかさみます。清掃や消毒はいつもの何倍も回数を増やし、人件費もバカになりません。換気をきにして窓を開けているとエアコンが効かないので電気代も嵩みます。そういうことを考えると、保険医協会やそのアンケートを集計して記事にした熊日にやって欲しいのは、初診料や再診料など基本料の点数を上げてもらう議論をしてほしいです。それだけコストがかかっているわけですから当然です。

    IPhoneでも一眼レフみたいな綺麗な写真が撮れます。

  • 自分の機嫌は自分で取る

    斎藤一人さんと鴨頭嘉人さんのYouTubeを見ていると、いい生活習慣のすすめがあります。まず、歩きながら「ついてる、ついてる、ありがとう」とこころで呟く。私の場合、犬の散歩で2000歩は歩きます。その際に「ついている、ついてる」と唱えながら歩くと2000回のついてるが心にインプットされます。当然、何が起こっても「ついてる」気がしてきます。もう一つは、歯磨きをしながら「笑顔の練習」です。歯を磨く時は鏡が目の前にあることが多いので、ボーと歯を磨くのはもったいない。笑顔の練習にもってこいです。https://youtu.be/km6zuforLOg

    笑顔でいると、深刻な悩みが考えられなくなります。職場や家庭でいろんな悩みがあってつらい人は、まず、作り笑顔でいいので笑顔になることです。そうすることで、悩みが軽くなります。診察中でも、いろんなストレスや悩みで体調を壊して来院される方が大勢いますが、たまに、診察室で涙を流しながら話をしたかと思ったら、「こんなことで悩んでもしかたないとわかってるんですけどね」と言いながら涙を拭いてニコッとされる方がいます。この、最後の微笑みは、楽しいから笑うのではありません。

    悩んで体調を壊している自分を客観視して、笑っているのですが、実は、ここでにっこりできることで、悩みが軽くなります。作り笑いは、自分へのプレゼントになるのです。こういう作り笑いは女性の方が得意ですが、サラリーマンのお父さんも練習しましょう。社長の機嫌を取る前に、自分の機嫌をとると仕事もバッチリうまく行きますよ。